手足を鎖で縛られる

和泉奏

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結局、離れることなんてできない

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抱き抱えられたままの俺が、連れてこられたのは目を見張るほど大きな大浴場だった。

……今まで個室の風呂を使っていたから、ここに来るのは初めてで。

タイルが数え切れないほど下に引いてあって、幾つも鏡とシャワーが設置されている。


「ぁ、蒼…っ、ちょっと待っ、」


(……どうして、こんなところに)


戸惑いながら蒼を見上げると、タイルの上におろされた。
え、え、と慌てていると中途半端に上だけ服を着たままの俺に、蛇口を回してシャワーの先を向けてくる。



「わっぷ…っ、冷た…っ、?!…げほっ、ん…っ」


突然降りかかってくる水に目をつぶって、口に入ってきた水を吐きだした瞬間、ぐいと襟を掴まれて強く唇を塞がれた。

呼吸を止めていたせいで、ただでさえ少ない酸素がさらに少なくなる。

降り注ぐ水が服を濡らしてすぐに身体が重くなった。

身体に吸い付く。


「ん…っ、は…っ、あお、っ」

「……」


彼の舌が反射的に逃げようとする俺の舌を無理矢理絡めとる。
さっき、あの男にされそうになっていたからか、一瞬無意識に身体がびくりと震えて引き離そうとした。

でも、それを許すはずもない蒼にさらに強く襟元を引っ張られて、逃げようとすればするほど強く激しく噛みつくように押し付けられる唇。
あまりにもその口づけが長くて、酸欠になって、酸素を求めるために口を開けると更にキスは深くなる。
そんな繰り返しに自然と目に涙が滲んだ。


「……ふ…ぅっ、んん…っ」

「…は…っ、」


いつもより熱く嬲るような蒼の舌に、自分の身体も熱くなってくるのを感じた。
でも、それとは対照的に冷たくて暗い色で俺を無表情に見据える彼の目。


「や…っ、ぁ゛ッ、ぁ…っ」


あの男にズボンを脱がされてむき出しだった性器にいつのまにか触れていた手に、上下に激しく擦られる。
扱かれる股間から響く快感に腰を揺らす。ぬぢゅぬぢゅ鳴る水音が、キスの合間に零れる鼻にかかった甘い吐息が、浴室に響く。…恥ずか、しい。


「なんであんなことしてた?」

「ぁう゛…っ」


亀頭をぬぢぬぢ指の腹で強く擦られる。その強すぎる刺激に反射的に尻を引こうとすると、腰に回された手にぐいと抱き寄せられた。

上から降り注ぐ水が目に入りそうになって目をつぶった瞬間、再び呼吸をする暇もないキスをされる。


「…っ、んは…っ、ぁ、おい…、くるし…っ」

「何?他の男ともヤッてみたかった?きもちいーこと、したかった?」



窒息しそうなほど苦しい口づけに加えて水も同時に口に入ってきて、げほげほと咳き込んだ。
タイルに押し倒されて、両方の太ももの裏を手で掴まれて股を開かされる。
両足を頭の方に向けて、膝が床につきそうなくらい持ち上げて尻を浮かせられ、丸見えの恥部が真上をむくような格好にされた。

全部、見えてる。


「…っ、――や、」


そんな恥ずかしい体勢に羞恥心でカッと頬が熱くなって、同時に恐怖で声が上擦る。

解かしてもない後孔にぐちゅ、と何かが押し付けられる。

(…俺のより、大きくて、硬くて、…)

…嫌でも記憶に残ってる鮮明な感触。肚の中で何度も覚えさせられた形。

それが何か分かって、「ひっ」と小さい悲鳴が喉から漏れた。

恐々と濡れた感触の方を見れば、その、硬い性器の先端が、お尻の穴に――、
押し付けられながら軽く擦り、亀頭の形を歪ませるように、ぬぷ…と軽く埋められだけで腰が引く。

冷たい表情を浮かべる蒼を見上げて、必死に首を横に振る。


「…っ、待って、やだ、」

「待たない」

「ほんとに、俺…むり、だから…やめ、…――ッ!!」


俺の声を消すように、唇をキツく塞がれる。舌を絡ませられて、無理矢理思考を奪われた。

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