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出会い
俺と君の運命の日
しおりを挟む「――――…、」
は…と浅い息を、吐く。
目の前には、見慣れた光景。
…見慣れていたはずの、景色。
右側には靴を入れる棚。
真下には、靴を脱ぐ場所。
そこからすぐ先には、靴を脱いだ後、部屋に向かって歩きだすための床で、
今日も、その凍結した時間を繰り返す、予定だった のに
「……、」
嗚呼、頭がうまく働かない。
ここで倒れこんでしまえば、気絶してしまえれば、きっと楽になれるのに。
倒れこむことすらできず、ただ目の前の光景を茫然と眺めていた。
(…別に、俺は何かを望んでいたわけじゃなかった…はずだ)
全てが灰色に翳って、その更に暗い部分をぐるぐるループしているみたいな、そんな日常を誰かに変えてほしいとか
永遠と続く同じような日常に、言葉にしようのない不満を感じているとか、
胸の深い部分を殴られて抉られ続けたせいでぐちゃぐちゃになった心のどろどろとか気持ち悪さとか、
そういうのも、なかったことになってるぐらいにはもう慣れたから、
…だから、
今更誰かに救いを求めたり、してなくて
誰かによる日常の破壊なんて、
…望んでいないはず、だったのに。
ただ、すべてがどうでもいい…とそれぐらいのことを思っていた、だけで、
「………だれ?」
玄関先
先程からずっと嫌でも目に映っていた人物に対してやっと発した言葉は、
喉を指で押し潰されているように掠れていて、ほとんど音になっていなかった。
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