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六話、【合コン】(流羽ver)
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場所は居酒屋。
「「カンパーイ!!」」
まずい、と思った。
冷汗はだらだらだった。
どうしようと、正直焦っていた。
「逢坂、これを機会にお互い良い彼女見つけようぜ!」
「…う、うん…」
飲め飲め、と目の前のグラスに注がれているお酒を少し口に含みつつ、居心地の悪さで死にそうだ。
”彼女”
言えていないけど(というか、言えるはずもないけど)、俺にはそれを作るまでもなく、優さんというこれ以上ないほど大好きな恋人がいる。
今回の集まりは、いうなれば合コン、のようなものだった。
誘われた時は「仲が良い奴だけでの簡単な飲み会だから!」と言われたはずなのに、そこに行けば見たことのない女子が数人いて
え、と戸惑っていると「ごめん!逢坂彼女いないみたいだしさ、セッティングしちゃった」と言われて、…すべてを把握した。
本来なら、ここに参加するのは良くない。
相手がいる身としては、非常によろしくない。
(…怒ってる、かな…)
普段だったら優さんが車で迎えに来てくれる。
けど、大学での講義終了後「今まで何回も誘ってたのに一回も来なかっただろ?なぁ、今回だけ!親睦深めるためだから!」と確かに今まで何度も声をかけてくれてたのもあって、断り切れずに来てしまった。
「逢坂…えっと、下の名前って流羽くん…だっけ」
「へ、あ、うん。あってる」
少し気遣うようにかけられた声に、ぐるぐる悩んでいた思考を止め、最早条件反射で答える。
しまった。
頭半分で反応したせいで、敬語じゃなくため口になってしまった。
顔を上げれば、中腰でこっちを見下ろしている女子がいた。
ドク、と変に鼓動が速くなる。
「あ、でも俺やっぱり帰ります、」早く学校に戻って優さんに謝ろう。それにこれ以上この人達の邪魔をするわけにはいかないと目を逸らしたまま立ち上がろうとして、
「待って。」
腕を掴まれた。
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