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五話、【昔の友達】(流羽ver)
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しおりを挟む…どうしてその女の人を振り払ってくれないの?
どうして、俺は嫌だって言ってるのに正樹に犯されて、身体を全部舐めまわされて、…何度も何度も出されないといけなかったの?
どうして、俺が正樹との行為でイッたら、優さんが女の人とキスすることになるの…?
いつも、優さんの前で誰かとセックスさせられるたびに、…思う。
「…お、れ、…」
(優さんの、恋人じゃ…ないの…?)
優さんが望むなら、俺は優さんのことが何よりも大事だから、セックスさせられるのは…どうでもいい。
俺なんかどうでもいい。一番大切なのは俺じゃない。優さんだ。
嫌だけど、頭がおかしくなるくらい嫌でも、…他の誰に犯されたって、優さんが俺を恋人として扱ってくれるなら、…それで十分なんだ。幸せだって思える。愛されてるんだって信じられる。
だからこそ、聞きたくなかった。
優さんが、女の人にキスするって、そんなこと聞きたくなかった。
「傷はつけちゃだめって…言わなかった?」
正樹をやっと、優さんが止めてくれた。
俺を助けてくれた。
やっと、あの女の人のところから俺の傍に戻ってきてくれた。
はずなのに、
(…優さんが止めたのは、俺と正樹の行為じゃない。俺の身体に…”傷”を、つけないことだけ)
「…は、は…」
笑ってしまう。
溢れた涙が頬を伝い、唇から口の中に垂れてくる。
苦い。
涙だけじゃない。
さっき顔に出された正樹の精液の味に、また泣きながら笑ってしまう。
…わかってる。
わかってたよ。
優さんは、本当は俺のことを好きじゃない。
俺の正樹への気持ちと一緒なんだ。
…俺がしつこいから、”付き合ってくれてる”だけ。
だって、『友達』って言ってた。
あの女の人に…正樹の彼女に、俺のことを『友達』って言った。
それに、可愛らしい女性って言った。
滅多に女の人にそんな言葉をかけないのに、あの時だけはそう言った。
(…好きに、なった…?)
「…や、だ…」
苦しい。
苦しい。
その人を、
好きだから、その人が好きだから、誤解されたくなかった…?
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