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五話、【昔の友達】(流羽ver)
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しおりを挟む驚いて振り向く。
…と、見知った顔の男の人がいた。
「…まさ、き…?」
「おう。…久しぶり、だな」
「…うん」
昔を思い出して、どこか気まずい雰囲気でお互いに会話をする。
じっと彼の視線が俺と優さんの繋いだ手に向けられているのを感じて、なんだか知り合いに見られてると思ったら無性に恥ずかしくなって、パッと離してしまう。
「…知り合い?」
「高校の時の、…友達、です」
優さんの声に、俯いたまま、こくこく頷いた。
目を伏せ、感情の揺れを隠すように地面を見てしまう。
…さっきまでのデートの気分が嘘みたいに沈むのを感じた。
「お前、あれからどうしてたんだよ。ずっと連絡もしないで。心配してたんだぞ」
「…あ、ごめん。色々あって…」
その言い方に、責めるような色が含まれていて、…無意識に手を優さんの方に伸ばしかけて、とめる。
どうしたらいいかわからず、更に視線を下に下げてしまった。
「へぇ…仲良かったんだ」
「…っ、あ、あの、でも」
零された優さんの声音に、ハッとして焦る。
別に何の関係でもないんだけど、過去にあったことがそれだけ大きく頭の中に残ってて、ちょっと戸惑ってしまった。
本当に、ただの友達で、とそんな良く分からない言い訳、?というか否定をしようとすると、俺に向いていた正樹の視線が優さんの方に向けられたのがわかった。
「…てか、さっき、手繋いでたよな?」
「っ、」
やっぱり見られてたらしい。
いや、見られても全然俺は良い。むしろ大歓迎だ。
けど、優さんが嫌かもしれない、と不安になって、露骨に変な反応をしてしまった。
「……もしかして恋人、か?」
「…っ、ぁ、こ、この人は…えっと」
…恋人って言ってもいいのかな。
嫌じゃないかな。
優さんが良いっていってくれたら、喜んで恋人って言うんだけど、
ああ、朝出る前に確認しておけば良かった。
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