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本編
第215話 マヨイは圧を感じる。
しおりを挟む⚫︎マヨイ
「というわけでククルに進化して貰うね」
「ククルって男の子だよね?カッコいいドラゴンになるのかな?」
「あ、言い忘れてたけどククルは女の子になったぞ」
「「なんで/なんでですか!?」」
「友好度云々らしいけど詳しくは知らん」
「ククルくんからククルちゃんになったんですね」
暁と織姫は混乱しているみたいだけど、クレアは特に混乱することなく受け入れたようだ。やっぱりクレアも少し変わってるよね。
「この情報、あとで掲示板に上げておきましょ。たぶん嘘だと叩かれるだろうからステータスをスクショして貰えないかしら」
「え、公開する必要ある?」
「テイム関係はTTTっていうテイマー専門ギルドが情報を出さないようにしてるから掲示板も攻略サイトも情報が少ないのよ。少しは情報を出さないと余計にTTTへテイマーが流れるわ」
「なるほど。これをTTTの人らに叩かせて後から証拠を提示してイメージダウンと情報隠しについて突きたいんだ?」
「イベント後に私たちもテイムするわけだし、少しでも情報が流して貰える下地を作らないとね」
テイマーが集まって出来たギルドがテイマー関連の情報を秘匿するのは単に前回イベントの開始直後の混乱が原因だと思う。テイマーの大幅な弱体化とテイマーお断りを掲げるパーティやギルドの増加は彼らにとっては腹立たしかったに違いない。そんな彼らが前回イベントで上位に入ったことでイベント終了後から「テイマーお断りとか言っといてテイマー以下じゃねぇか」と他のプレイヤーに横柄な態度を取っていると掲示板で目にするようになった。
TTTには単なる動物好きなプレイヤーも多いらしいし、聞く限り真っ当な人も多いようだ。だけど藍香のお願いを断る理由には足りないかな。
「OK。せっかくだし録画しちゃおう」
「しんかするのー?」
「もうちょっと待ってね」
そう言って僕は録画機能をオンにしてからメニューを開きククルのステータス欄から進化のタブをタップした。
「それじゃククル。進化しよう」
「みゃぁ!」
「Bキャンセル?」
「ルイ?」
「そう言えって、誰かが、言ってる気が、したから」
ルイがよく分からないことを言い出したけど、そんな間にもククルの身体はみるみる大きくなっていく。具体的には未就学児の子どもの姿に……
「「「は?」」」
「「「えっ」」」
「……髪色以外は小さな頃のアカトキにそっくりね」
「でも目付きは昔のアイっぽいね」
まごうことなき銀髪碧眼の幼女だ。
慌てて技能欄を確認すると『人化』が生えていた。
いや、覚えてるからって最初から人化してるのなんで?
「ククルちゃん可愛い!」
「そんなことより服!服ないの!?」
「私の、初期服なら、着れるかも……不本意だけど」
「ワウゥウ!」
聞き慣れないハスキーボイスは小次郎の声かな?
「お兄ちゃんは後ろ向いて!変態!」
「何処となく先輩に似てません?」
「パパ!」
素っ裸の幼女をガン見する訳にもいかないので部屋から出ようとしたのだけど、扉に向かったところで膝裏に衝撃を受けてそのまま派手にに転んだ。原因は言うまでもやく幼女だ。
「パパだいじょうぶ!?」
「大丈夫、大丈夫だから背中からどいてくれないかな?」
「どこかいかない?」
「ククルが服を着たら戻ってくるよ」
「やだ!いっしょにいるの!」
「ククル。お着替えしましょうね」
「ママ?」
「っ……ルイが服をくれたからククルに着せるわよ?」
「ルイありがとう」
「「「真宵/お兄ちゃん/マヨイは立っちゃダメ!」」」
「あ、はい」
そんなこんなで僕はククルが着替え終わるまでの間、部屋の床でうつ伏せのまま待機することになった。
「もういいわよ」
「ふぅ……やっぱ昔のアイに似てるね」
「そうかしら」
「パパ!おめかししたよ」
「……うん、かわいい、かわいい」
「えへへー」
トコトコと嬉しそうに近づいて来たククルの頭を撫でる。
すると藍香が珍しくジーッと僕を見つめているのに気がついた。普段よりも粘度が高いというか、負の感情が強いというから何となく圧を感じる。
「アイ?」
「…………」
「……そういえばしばらく撫でてもらってないわね」
「そうだね」
「次はいつ撫でてくれるのかしら」
「…………」
おいこら織姫。両手で顔を覆っておいて指の隙間からこっち見るのやめろ。シキたちも顔を赤くして息を呑んでないで会話に混ざってくれない?
「いや、ここにはみんないるし……」
「なら誰も見てないところなら身体の隅々まで撫でてくれるのかしら?」
「……アイ、どうしたの?」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんが状態異常になってる!」
「は?」
「クレア、状態異常回復薬ない!?」
「あるよ!」
クレアが取り出した状態異常回復薬──ギルドで市販されてるものらしい──を暁はひったくるようにして受け取ると、その蓋を開けて藍香の口に突っ込んだ。
「ん……あっ…やめ……」
「うわ……エッロ……ほんと年下?」
試験管のような形をした状態異常回復薬を口に突っ込まれた藍香が目を半開きにして試験管をクチュクチュと舐め始めた。うん、薬を飲ませてるだけなのに何かエッチだ。
「ママどうしたの?」
「ママは少し体調が良くないみたいなんだ」
藍香のステータスを確認すると【魅了】という状態異常になっている。いきなりギルドホームで状態異常になった原因は分からないけど、不具合の可能性もあるし運営に報告しておくか。
「──っ!?やっと戻れたわ……」
「大丈夫?」
「……精神的なダメージが凄いわね」
「ママのかおまっかー!」
「──────ッッ」
「ククルちゃん、それトドメだから!」
「お姉ちゃんしっかり!傷は浅いよ」
……僕は今のうちにククルのステータスでも確認しておこうかな。
───────────────
お待たせして申し訳ありません。
体調不良が続きストックが増やせない状態であった上、スマートフォンがぶっ壊れるなどのトラブルが重なり更新が止まってしまいました。
しばらく不定期更新となりますことお許しください。
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読み返していて第3話の中ほどにいきなりデスマス調に文体変わってる箇所あって ? てなった。
意図的にしても不自然な?
次回話も楽しみにしています‼
リエル視点不憫すぎて読むの辛かった