VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第146話 マヨイは援護する?

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⚫︎マヨイ

 訓練場でストレスを発散させた僕は暁たちと合流してダンジョン"不忍の杜"に向かう道中、僕らは大まかな今後の予定について話し合っていた。

「──というわけだからパーソナルの所属ギルドの欄はしばらく非公開にしておいてね」

「やっかみが酷そうってのは分かるけど……」

「なんか悔しいです」

 この手のランキング形式で上位に入ったギルドというのは良くも悪くも広く名前が知られることになる。そうなれば嫉妬や興味本位で絡んでくる手合いは今よりも増えるだろう。

「というか先輩たちがランキング1位って……」

「織姫ちゃん、もしかして知らなかったの?」

「う、うん……今知った……」

 僕としては織姫がギルドランキングを確認していなかったことにビックリだけどね。どうやら単純に僕や暁たちがいるという理由だけでギルドへの加入を希望していたらしい。

「あと言ってなかったけど偶に動画配信もするからね」

「えっ」

「あ、なら今から配信しようよ」

 そう暁が提案したが僕は首を横に振るとクレアと織姫があからさまにホッとしていた。

「えー」

「しばらくは手の内を隠しておきたいからな」

「そっか、そうだよね」

「え、なんで手の内を隠すんですか?」

「たぶん近いうちに対人戦のイベントがあるはずなんだよ。その前に手の内がバレてれば不利になるでしょ?」

 というのは半分建前。実際は藍香との対戦を見越してのものだ。ステータス的には僕がやや有利だけど、おそらく藍香も色々と隠している。対人戦で戦うまでは何となく秘密にしておきたいのだ。

「なるほ……ってテコの訓練場で決闘しちゃいましたよ!?」

「僕は技能を使ってないし、アカトキやクレアも全部の技能を使ったわけじゃないだろ?」

 特に暁は縮地と飛撃の2つしか技能を使っていない。本人は無自覚なんだろうけど盾も仕舞っていたから情報面では上手く隠せていた。
 クレアや織姫はテコの訓練場で御披露目したものを見せ札として使えるくらいには強くなって欲しい。

「クレアと織姫と私で対人戦の特訓しようよ!目標は妥当兄さんで」

「「無理じゃない?」」

「……いや、そこは無理だと思っても同意してよぉ」

「5mしか離れてなかったのに矢を杖で落とされたんだよ?」

「それはクレアが狙ってる場所をガン見してたからだよ」

「え」

「狙ってる場所が分かってれば何とかなるものなの?」

「それは兄さんだから」

「「なるほど」」

「なるほどじゃないが」

「いや、だって兄さんだよ?」

 暁の中では"兄さん"と"人外"は同じ意味らしい。
 薄々思ってたかけど僕って暁から化け物だと思われてたりする?

「そういえば先輩」

「ん?」

「パーソナルの所属欄を非公開にする理由は分かったんですけど、それっていつまでですか?」

「そうだね。トリスもタクヤもアイに取られちゃったから今回は僕が動こうと思ってるんだ」

「「「?」」」

 わざわざ僕の前で『タイタン』だなんて名乗ったんだ。我ながら論法がおかしい気もするけど、ギルドの名前を出したからには連帯責任ってやつを取って貰わなくちゃね。


…………………………………


……………………………


………………………


 森の手前に設営されていた関所で許可証を提示した僕らが不忍の杜に入ってから約30分、暁と織姫は森から数百mほど進んだ場所で当初の予想よりも遥かに強いモンスターたちと戦闘を繰り広げていた。

「ねぇ……これってレベル詐欺だって!?」

「あ、こらっ!逃げるなって!」

 暁と織姫に襲い掛かってきているのは影猿という名前の猿型の魔物だ。位階は10~20と資料の通りなのだけど補正値の高い覚醒を3つ持っているせいで位階のわりにステータスが高い。

「お兄ちゃん!クレア!助けてよぉ!?」

 位階が低いからと油断して「位階20以下とか私だけで十分だから!」と意気揚々と突っ込んで行った盾役が何か叫んでいる。

「いや、だって……ねぇ?」

「援護要らないって言ったのアカちゃんですよ?」

 クレアは珍しく不機嫌そう……な振りをしている。盾役が仲間を置き去りにして突っ込むなんて初心者でも少し考えれば愚策な行為を自覚させるために僕からお願いしたのだ。それに自分の援護が不要だと言われたことにクレアも少し思うところがあったらしい。
 ちなみに織姫はリンチされている暁の様子を見て我慢できず飛び出して行った。この状況で織姫が助太刀に行っても焼け石に水なんだけどね。

『危なくなったら助けるんですよね?』

『アカトキだけなら放置するんだけどね……ここで織姫を見捨てるのは気が引けるからピンチになったら助けるよ』

『今も充分にピンチだと思いますけど……』

 織姫も不利な状況のわりには善戦している。ただ技能を使うのが苦手なのかほとんど素のステータスだけで戦っているのが気になる。

「あー、もう!」

 しばらく様子を見ていると影猿から攻撃を受け続けていた暁が痺れを切らしたようだ。何かの技能を使ったのか体力と魔力を示すバーが急速に減っていく。満タンだったそれらはあっという間に2割ほどになった。

「アカちゃん、キラッキラッしてます!」

「なにあれ?」

「セルフサクリファイスって技能だと思います。効果は──」

 暁が使ったのは"セルフサクリファイス"という自身の体力と魔力を最大値に対する任意の割合消費することでステータスを爆発的に上昇させる技能らしい。効果時間中は時間経過やアイテムでの体力や魔力の回復が発生しないなどのデメリットもあるが暁にとっての切り札的なもののようだ。僕との模擬戦で使わなかった理由が気になるけど、たぶん手札を隠す云々ではなく縮地を使うための魔力が足りなくなるからかな。

「あれって2倍どころじゃないよね?」

「アカちゃんは1割で全ステータスが5倍になるっていってました」

「ってことは8割消費すれば40倍か。とんでもないな」

 その技能を使ってからは今まで手こずっていたのが嘘のように暁は影猿の群れを蹂躙し始めた。織姫に襲い掛かっていた影猿の一部を引き付けるなど盾役としての役割もしっかりとこなしているので本当に僕やクレアの援護がなくても問題なくこの場を切り抜けられるだろう。

「うぅ……ほんとにアカちゃんだけで勝てちゃいそうです」

「そうだね。でも──」

 暁にドヤ顔されるのを想像してイラッとした僕は魔力弾を放って影猿の群を一掃した。ちょっと森が禿げちゃったけどしょうがないよね。


───────────────
お読みいただきありがとうございます。



※ジャスティの容姿に関して
身長は177㎝の長身
髪の長さは腰まであるロング
→普段は纏めているものとさせてください。
胸のサイズはA

ダイスの◯神「私より巨乳とか許さないから」
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