VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第91話 マヨイたちはプレゼンする。

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⚫︎マヨイ

 コメント欄にシブンギに対する痛烈な非難の言葉が表示された。僕は流星群の関係者のIDを把握しているわけではないけれど、こういう毒を吐く流星群の関係者を1人知っている。ソプラまで護衛したオリオンだ。確かに藍香と仲が良いし、こちら側に協力してくれてもおかしくはない。
 ただ藍香のことだからシブンギと彼の取り巻き以外の全員に声を掛けてたりしそうだったので、協力者がオリオンだけなら予想した範囲では最も穏当だ。

「ぷっ……ごめんなさい、あまりにもストレートな罵倒がコメント欄にあったものだから笑ってしまったわ。それで制裁内容なんだけど、私たちは彼らからの報酬を受け取らないことにしたの。買い占めや詐欺行為の片棒を担いでたなんて思われても嫌だしね」

「そうだね。でも、それだけだと流星群に協力したプレイヤーには罰にならないよね」

「そうね。だから迷い家のブラックリストに追加したわ」

「なるほど、僕らの売るアイテムが買えなくなるわけだね」


【名無し:アイテムを売るの?】
【名無し:クレアの装備か!】
【名無し:それだけじゃ軽くない?】


「ねぇ……真宵。あのアイテム、公開して貰っていいかしら?」

 ウーバーヒール・ポーションやアンチカース・ポーションのことだろうか。僕としては隠匿しておきたい気もするけどアンチポイズン・ポーションとかだけだとインパクト少ないから仕方ないかな。

「仕方ないなぁ。まずはウーバーヒール・ポーションからね。口に出して効果を説明するより見てもらった方が早いかな」

 そう言ってアイテム欄から取り出したウーバーヒール・ポーションのアイテム説明を公開する。


名前:ウーバーヒール・ポーション
分類:薬品 錬金術 ポーション
説明:錬金術によって体力回復の性質を強化されたポーション。
効果:体力を最大値を超えて回復する。
   服用時[免疫:ポーション]の状態異常を受ける。
状態:新品
分量:150
性質:体力回復(100000)


【名無し:ウーパールーパー?】
【名無し:ウーパールーパーは草】
【名無し:ポーション作れるのか!?】
【名無し:いや、強すぎだろ】
【名無し:[免疫:ポーション]ってなんぞ】


「免疫は対象──この場合はポーション──を飲んだ時にダメージを受ける状態異常だね。分類的には毒らしいから解毒薬やアンチポイズン・ポーションを飲むことで軽減できるよ。ってことで次はアンチポイズン・ポーションね」


名前:アンチポイズン・ポーション
分類:錬金術 薬品 ポーション
説明:抗毒作用の性質を持った特殊ポーション。
効果:[分類:毒]を祓い遠ざける。
状態:新品
分量:150
性質:抗毒作用(4050)


「数値的には焼け石に水だし、そもそもウーバーヒール・ポーションが高額商品なのでオススメはしないよ。毒を使ってくるモンスターの対処が楽になるだけのアイテムだね」


【名無し:やっぱ高いよなー】
【名無し:最大値を超えて回復すんのは魅力的だけどな】
【名無し:はうまっち?】
【名無し:毒使ってくんの結構いるぞ】
【名無し:マヨイは状態異常無効がデフォだからしゃーない】


「値段の発表は最後ね。次にアンチカース・ポーションを紹介するよ。これはアンチポイズン・ポーションの対呪詛バージョンのポーションだね」


名前:アンチカース・ポーション
分類:錬金術 薬品 ポーション
効果:抗呪作用の性質を持った特殊ポーション。
   [分類:呪詛]を祓い遠ざける。
状態:新品
分量:150
性質:抗呪作用(4050)

【名無し:呪詛使ってくる相手なんている?】
【名無し:ソプラ西側の湿地にいる】
【名無し:鈍重・暗闇・沈黙の3つ使ってくるナメクジな】
【名無し:ソプラ西のナメクジが死ぬ時に使ってくる】


「ソプラの西側は行ったことないぁ……アイは?」

「湿地帯なのは知ってるけど行ったことはないわね。っと、それで真宵が出してくれたアイテムを今のイベントが終わったら売りに出そうかと思っているのよ」

「そんなに数は作れないし、ウーバーヒール・ポーションは最低でも10000Rになるよ」


【名無し:イベント終わってからは残当】
【名無し:あるなしで行ける難易度変わりそうだしな】
【名無し:乱用できる金額じゃないし売ってもいいのでは?】


 確かに10000Rもするアイテムを湯水のように使えるプレイヤーは少ない。それこそ僕のように自作できるプレイヤーに限られるだろう。
 しかし、相手がギルド単位なら複数買えても不思議じゃない。ランキングで競う相手に塩を贈る真似をするほど僕らは甘くないのだ。

「売るのはイベント後よ。真宵も言っている通り数が用意出来てないの。それに売るとなれば転売禁止や譲渡禁止とか色々と設定すると思うわ」


【名無し:ギルド対抗だもんな】
【名無し:お前らだけズルいぞ】
【名無し:悔しいなら自分たちで作れよ】
【名無し:1万は高すぎ】
【名無し:アンチカースだけでも売って貰えませんか?】


「ウーバーヒールの1万って値段は組合の買取金額よ。あとアンチカースは……マヨイ、相場は?」

「アンチカースとアンチポイズンは相場調べてない。原価的には500Rでも十分に元が取れるけど、組合での買取金額次第かな」


【名無し:調べてきた。ポーション類は性質の5~10%で買い取ってるみたい】
【名無し:グッジョブ。やっぱり1万は妥当なんだな】
【名無し:ってことはアンチ系は200~400くらいになるのか】
【名無し:500Rでもいい。マジで呪い対処できなくて湿地帯突破出来ないから売って欲しい】


「そうね。このままだと単に自慢しただけみたいだものね。この後で組合で売値を確認してからマーケットの方にアンチカースだけでも流通させましょう」

「ただ転売禁止と譲渡禁止、あとアイが言っていた僕らの悪評を流したプレイヤーはの販売制限は付けさせて貰うからね」

「それと晒すようなことはしたくないのだけど、販売制限されているか確認したいプレイヤーもいると思うのよね。だからSNSで現時点での迷い家のブラックリストを公表するわ」


【名無し:ちょっと金稼いでくる】
【名無し:信徒いてもキツイからマジで嬉しい】
【名無し:ウーバーヒールは?】


「ウーバーヒールはイベント明けからだね。売れるほど在庫があるわけでもないし、今から作るにしても素材集めからになるんだ。正直、素材集めするよりイベントやりたいんだよ」

「そういえばポーションって作り手によって味が違うのよね?」

「ウーバーヒールは甘い抹茶だったよ」

「真宵は抹茶好きだものね」

「それ関係あるのかな」

「どうなのかしら」

 藍香はピーマンや山菜などの苦味の強い食べ物が苦手だ。本人は「ポリフェノール由来の苦味がどうしても好きになれない」とのこと。サポニンが苦味の由来である抹茶は平気らしいけれど、それでも好き好んで飲もうとは思わないらしいので強がりなんだと思う。


【名無し:抹茶苦手なワイ、購入を断念】
【名無し:甘い抹茶なら飲めるだろ】
【名無し:抹茶好きだからイベント終わるのが待ち遠しい】


「ドリンクバーみたいになりそうだよね」

「このゲームの食べ物や飲み物って味が薄いし需要はあると思うわよ」

「考えておきます」


【名無し:それ絶対に考えないやつ】
【名無し:期待しないで待ってる】
【名無し:料理人プレイヤーに期待してる】


「料理人っていえば────」

 その後、配信雑談は1時間近く続いた。
 収穫らしい収穫はなかったけれど、コメントしてくれたリスナーたちのおかげで最新のイベント情報を得ることがでした。どうやら難易度10に挑んでいるギルドの態度が少し良くないらしい。
 ランキングで争うのだから無関係というわけにもいかないと思うけど、あちらのギルドは人数も多いらしいので絡まれたら面倒なことになりそうだ。留意しておこう。


───────────────
お読みいただきありがとうございます。

想い人の好きなものを嫌いと言えない藍香
それに気がついてるけど指摘しない宵
てぇてぇ?



酔った勢いでネットから拾ったものをコピペ&トレスして塗り絵したアイです。

恥ずかしくなって夜には削除すると思います。
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