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本編

第83話 クレアは撫で回される。

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初めてのクレア視点
後半はアイ視点となります。
クレアちゃんたち、実は……
───────────────

⚫︎クレア


【イベントエリアに移動します】


「……え、え!?」

 気がついたら周りには誰もいませんでした。
 どういうことでしょうか?

『パーティ分断されたみたいね。真宵のところに集合するわよ』

 アイさんからのパーティコールの直後、後ろの方で凄い轟音が鳴り響きました。砂煙が晴れるとお米の粒にも満たないくらい小さな人影が見えました。でも見えていればあたります。
 お兄さんから少し離れたところを狙って昨日覚えたスキルを使います。

「射程拡張100%、シフトアロー!」

 私は昨日、初めてお兄さんに嘘をつきました。
 私は昨日、お兄さんに内緒でログインしていたのです。フレンド登録している相手がログインしているかリストから確認できるのですが、その通知を設定からオフにすることでフレンドに気づかれることなくログインできるのだそうです。
 そして私は一昨日とは比較にならないほど強くなりました。
 アイさんから「筋がいいわね」と褒められたのはとっても嬉しかったです。


◼︎パーソナル
名前:クレア
素質:サジタリア/加工/巫女
覚醒:サジタリア/弓神の巫女[後継]
位階:35
称号:弓神の後継者/サジタリア
   海神の興味/龍神の嘆賞
   覚醒待機者[職人系]/賢者
   草原狼王の討伐者/草原大蛇の討伐者
   草原白蛇の討伐者/森大猪の討伐者
   食人大花の討伐者/海龍の撃退者


◼︎ステータス
体力:174000
魔力:87890
筋力:43300
耐久:110
器用:43370
敏捷:43265
知力:145
精神:215

◼︎スキル
①加工の真髄▽
②商人の心得▽
③弓神[後継]▽
④サジタリア
⑤暗殺術▽
⑥攻撃速度倍加[遠距離]
⑦鑑定

 昨日もアルテラの噴水で商人の素質を神様に捧げたら、いつの間にか知らない場所に1人だけになってしまいました。そこで出会った弓の神様からいただいたのがサジタリアと弓神の巫女[後継]の覚醒です。おかげでステータスの平均値は以前拝見させていただいたお兄さんと同じくらいになりました。
 ただアカちゃんに見せたら「クレアが脳筋族に……」と遠い目をされてしまいました。脳筋族というのは昔いたという暴走族のお仲間でしょうか?


名称:サジタリア
分類:弓使い 熟練
説明:弓神の課した試練を突破した証明
補正:筋力+10 器用+10 敏捷+10
   [分類:矢]武器に[分類:近接戦闘]を追加

名称:サジタリア
分類:弓使い 熟練
説明:弓神の課した試練を突破した証明
補正:筋力+15 器用+15 敏捷+15
   [分類:弓]を使用した攻撃の軌道を自由設定できる。

名称:弓神の巫女[後継]
分類:弓使い 熟練 神秘
説明:弓神の後継者として認められた証明
補正:筋力+20 器用+20 敏捷+20
   弓神[後継]の習得
   [分類:弓]技能を最終段階まで強化する。

 
 アイさんからは「真宵と戦う日までステータスは秘密にしておきなさい。きっと喜ぶわよ」と教わったのでお兄さんには細かな部分は秘密にすることにしました。

「え、クレアちゃん!?」

「えっと、矢と私の場所を入れ替えるってスキルを覚えたんです。それを使って移動してきました!」

「す、凄いね……」

「ありがとうございます!」

 褒めながら頭を撫でてくれるお兄さんの手つきは優しいです。
 そういえばアカちゃんが「兄さんは撫でポ量産機なんだよ」と言っていました。意味はよく分かりませんが、きっと撫でるのが上手だって意味なんだと思います。

「えへへ……」

 セクシャルハラスメントを受けていますという警告パネルが邪魔でお兄さんが見えないので「問題ありません」をタップします。これはハラスメントではなくてスキンシップです!
 そうしていると遠くから槍が飛んできて近くに刺さりました。
 この槍はアイさんのワケミヤリ?という名前の槍です。刃の部分はシンプルな十文字槍だけど、柄の部分にら薄らと草花のような紋様が彫られているのが特徴的です。

「お、槍ってことはアイかな?僕も移動用のスキル覚える必要がありそうだね」

「これはアイさんの槍ですけどアカちゃんも槍を持ってますよ?」

「え、そうなの?」

「はい、私が作りました!まだ試作品ですけど……」

 アカちゃんのリクエストで作ったのは[分類:斧]と[分類:槍]の特徴を併せ持ったハルバードと呼ばる武器です。ただ全体的にサイズが小さく、刺突部分も槍というには短いので刺突部分が付いたハンドアックスに近い感じになっています。

「いつもありがとね」

「親友ですから!」

「……クレアと合流したなら報告しなさいよ」

「っと、ごめん『アイとクレアちゃんと合流した。あとはアカトキだけだけど、こっち来れそう?』」

『無理!──』

『分かった。僕らの方でそっち向かうから頑張って耐えてくれ』

『りょーかいっ!』

 お兄さんにはアカちゃんが何処にいるか分かるみたいです。
 そういえばアイさんも探索スキルで変異種と呼ばれているモンスターを素早く見つけていたので、たぶん同じスキルを持っているんだと思います。
 お揃いのスキル、いいなぁ……


⚫︎アイ

 昨日と一昨日、真宵に内緒で妹分の強化合宿を行った時に分かったのだけどクレアの弓の腕前は常軌を逸していた。途中で行方不明になったと思えば意味の分からない覚醒を2つも手に入れているし、それを半日足らずで手足のように使いこなすのだから驚いたわ。
 ただ私も槍神の巫女[後継]の覚醒を獲得したおかげでステータスは全体的に向上したし、もし真宵と戦うことになった時の切り札も手に入った。

「(人槍一体じんそういったい)」

 これは私自身に[分類:槍]を追加するパッシブスキル。素手でも槍のスキルが使えるというスキルなのだけど、私自身が武器破壊スキルの特効対象になるという無視できないデメリットのあるスキルだ。なので普段はオフにしているそれをオンに切り替える。

「(投槍自在法)」

 そして次に私が接触した[分類:槍]を魔力を消費して自由に操作するスキルだ。これらのスキルのコンボによって私は魔力が続く限り空を飛べまるようになった。でも狂狼化を使っても魔力の自然回復量が勝るので魔力を大きく消費するスキルを使わなければ落ちることはまずないのよね。
 探索スキルで真宵の居場所を大まかに把握した私は空から真宵を見つけ出すことに成功した。どうやらクレアの頭を撫でているらしく、ちょっとイラッとしたので真宵から2mほど離れた地面に向けてアイテム欄から取り出した槍を投げる。あとは地面に突き刺さった槍と私の座標情報を別のスキルを利用して入れ替えれて真宵を驚かせながら合流しよう。


───────────────
お読みいただきありがとうございます。

マヨイに内緒でアイたちと変異種狩りツアーに出掛けてました。
自由行動になった後、クラスメイトに絡まれて嫌いな奴のパワーレベルを手伝うハメになったアカトキはキレていい。断らなかったのは前話でアイが語ったように脅迫されていると受け取ったからですね。
もしトリスもっと痛い目に遭っていいんじゃないか?って人がいましたら感想にコメントお願いします。

あとマヨイ、しれっとハラスメントしてますね。
仔犬みたいに「撫でて、撫でて!」という表情をしたクレアに勝てなかったんだろうね。スキンシップなら仕方ない。

次回はマヨイ視点→アカトキ視点の予定です。
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