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本編
第40話 マヨイはソプラに到着する。
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本話からマヨイ(宵)視点にも分かりやすいように小見出しを付けることにしました。本話以前の話も順次、小見出しを付けようと思います。
───────────────
⚫︎マヨイ
ソプラを目指す僕らはショートカットするためにアルテラ大森林へと入った。しかし、地図があっても木々が邪魔して方角を何度も修正する必要があり思うように進めていない。
「この調子なら余裕そうね」
「うん」
こともないらしい。これもオリオンさんが"ホーリーレイ"という聖術の攻撃魔術で倒してくれるおかげだろう。ここまで僕も藍香も一切手出ししていない。
「でもいいの?」
「手の内晒したくないのはアイたちの方」
「それはそうだけど……オリオンだって同じでしょ?」
「私はもうバレてるからいい」
昨日の夕方頃から北の草原で何度もボスと戦っていた"流星群"の人たちは戦闘風景を動画に撮られていたらしい。掲示板への掲載を拒否すれば印象が悪くなると考えたシブンギさんやレオさんの判断で許可することになったそうだ。
「このまま進むと敵と遭遇する。右に逸れて」
「おっけ」
「探索、すごく便利」
「おかげで狼の群れは回避できたのだし、私も探索もっと積極的に使おうかしら」
魔力弾で狼のボスを倒すことも考えたけど、北の草原で戦闘になればオリオンさん以外の"流星群"のメンバーにも見られてしまう。そうなれば契約してまで撮影機能の使用を禁止した意味がない。
そう考えた僕らは探索スキルを使って北の草原での戦闘を回避したのだ。また探索スキルの範囲は精神のステータスに比例するので、藍香よりも僕の方が広範囲を把握できている。というより既にソプラまで探索範囲に入っているので上手くいけば戦闘は最小限で済ませられそうだ。
「ソプラ方面から近づいてくるマーカーがあるな……プレイヤーかな?」
「避けれそう?」
「遠回りすれば」
それにしても鬱蒼とした木々のせいで方向転換するたびに地図を確認しなくてはならないのが面倒くさい。
「オリオン、どうする?」
「たぶん、邪魔しようとしてるプレイヤー。先制攻撃はできない、かと言って会話する時間はもったいない」
「なら遠回りするのが賢明ね」
「うん」
そうだよな、会わなければいいんだ。
向こう側は僕らにまっすぐ近づいているわけではないので、おそらく僕らには気が付いてない。遠回りして遭遇を回避するなら時間内に間に合うかギリギリになってしまう。
「2人ともストップ」
「っと、いきなりどうしたのよ」
「妙案?」
「まぁ……妙案かは分からないけどね。ソプラまでの道を開けるから真っ直ぐ行こうか。魔力弾(×200)」
形状変化を利用して薄い大きな円盤状に変化させた魔力弾を可能な限り地面スレスレになるようにソプラ方面に放つ。残念なことにプレイヤーが巻き込まれてしまったらしいが、僕は赤プレイヤーになっていない。というは、これも不幸な事故というやつだ。お悔やみ申し上げます。
「よし、見晴らし良くなった」
「すごい」
「真宵、木こりにでもなったら?」
スキルの並列発動は既にオリオンさんが見せてくれた。なので僕がやったとしても不自然じゃないんだろう。思わず使ってしまったけどツッコミがなくてホッとした。
「ついでだし、切り倒された木は拾っていくわよ」
「賛成。もったいない」
「余裕とは言っても目標より10分早く着けるかってところだけどね」
僕らは道中で伐採(?)した木々を拾いながらソプラへと急ぐ。ちなみにオリオンさんが受け取るのを拒否したため、彼女が拾った木材は僕と藍香で等分することになった。
独占が云々と言っていたが何かあったのだろうか。
…………………………………
……………………………
………………………
メニューの時計から計算して47分、僕らはソプラの街壁部にたどり着いた。目の前の門を潜れば契約は終了だ。
「ありがと」
「報酬も貰うのだし別にいいのよ」
「少し貰いすぎな気もするけどね」
「「シブンギが悪い」」
「そこでハモらなくても……」
それにしても街壁がところどころ破壊されている。
ワイバーンに襲われた際に破壊されたのか、それとも別の要因かは分からないけど不安になる外観だな。
「こんな時にソプラに来るなんて……ここに来た目的を聞いていいかな?」
「重体、治せる人探しるって聞いたから」
「私たちは彼女の護衛のようなものよ」
当初予測されてたボスとの戦闘は回避しちゃったから護衛らしいことは全くしてないけどね。
「お嬢ちゃん、聖術が使えるのかい!?」
「えっへん」
「入街料は10Rだ。重体の者は街の中心部にある組合にいる。急いでくれ」
「分かった。アイ、ショ……マヨイ、ありがとう」
「気にしないで」
「どういたしまして」
そのまま3人でソプラの組合へと向かう。
ワイバーンが暴れた跡だろう。破壊された住宅、元は舗装されていただろう舗装が剥がされた道、瓦礫を撤去するのを手伝っているプレイヤー、はっきり言って想像以上に酷い。
「─────」
「───────!」
組合に着くと中から聞こえてくる会話というには穏やかじゃなさそうな雰囲気の怒鳴り声が聞こえてきた。もう"流星群"との契約は終えたし帰っていいかな?
「アイ、マヨイ、着いてきて。お願い」
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
除草の次は伐採です。
今回も赤になっていないのは前回と同じ理由ですね。
───────────────
⚫︎マヨイ
ソプラを目指す僕らはショートカットするためにアルテラ大森林へと入った。しかし、地図があっても木々が邪魔して方角を何度も修正する必要があり思うように進めていない。
「この調子なら余裕そうね」
「うん」
こともないらしい。これもオリオンさんが"ホーリーレイ"という聖術の攻撃魔術で倒してくれるおかげだろう。ここまで僕も藍香も一切手出ししていない。
「でもいいの?」
「手の内晒したくないのはアイたちの方」
「それはそうだけど……オリオンだって同じでしょ?」
「私はもうバレてるからいい」
昨日の夕方頃から北の草原で何度もボスと戦っていた"流星群"の人たちは戦闘風景を動画に撮られていたらしい。掲示板への掲載を拒否すれば印象が悪くなると考えたシブンギさんやレオさんの判断で許可することになったそうだ。
「このまま進むと敵と遭遇する。右に逸れて」
「おっけ」
「探索、すごく便利」
「おかげで狼の群れは回避できたのだし、私も探索もっと積極的に使おうかしら」
魔力弾で狼のボスを倒すことも考えたけど、北の草原で戦闘になればオリオンさん以外の"流星群"のメンバーにも見られてしまう。そうなれば契約してまで撮影機能の使用を禁止した意味がない。
そう考えた僕らは探索スキルを使って北の草原での戦闘を回避したのだ。また探索スキルの範囲は精神のステータスに比例するので、藍香よりも僕の方が広範囲を把握できている。というより既にソプラまで探索範囲に入っているので上手くいけば戦闘は最小限で済ませられそうだ。
「ソプラ方面から近づいてくるマーカーがあるな……プレイヤーかな?」
「避けれそう?」
「遠回りすれば」
それにしても鬱蒼とした木々のせいで方向転換するたびに地図を確認しなくてはならないのが面倒くさい。
「オリオン、どうする?」
「たぶん、邪魔しようとしてるプレイヤー。先制攻撃はできない、かと言って会話する時間はもったいない」
「なら遠回りするのが賢明ね」
「うん」
そうだよな、会わなければいいんだ。
向こう側は僕らにまっすぐ近づいているわけではないので、おそらく僕らには気が付いてない。遠回りして遭遇を回避するなら時間内に間に合うかギリギリになってしまう。
「2人ともストップ」
「っと、いきなりどうしたのよ」
「妙案?」
「まぁ……妙案かは分からないけどね。ソプラまでの道を開けるから真っ直ぐ行こうか。魔力弾(×200)」
形状変化を利用して薄い大きな円盤状に変化させた魔力弾を可能な限り地面スレスレになるようにソプラ方面に放つ。残念なことにプレイヤーが巻き込まれてしまったらしいが、僕は赤プレイヤーになっていない。というは、これも不幸な事故というやつだ。お悔やみ申し上げます。
「よし、見晴らし良くなった」
「すごい」
「真宵、木こりにでもなったら?」
スキルの並列発動は既にオリオンさんが見せてくれた。なので僕がやったとしても不自然じゃないんだろう。思わず使ってしまったけどツッコミがなくてホッとした。
「ついでだし、切り倒された木は拾っていくわよ」
「賛成。もったいない」
「余裕とは言っても目標より10分早く着けるかってところだけどね」
僕らは道中で伐採(?)した木々を拾いながらソプラへと急ぐ。ちなみにオリオンさんが受け取るのを拒否したため、彼女が拾った木材は僕と藍香で等分することになった。
独占が云々と言っていたが何かあったのだろうか。
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メニューの時計から計算して47分、僕らはソプラの街壁部にたどり着いた。目の前の門を潜れば契約は終了だ。
「ありがと」
「報酬も貰うのだし別にいいのよ」
「少し貰いすぎな気もするけどね」
「「シブンギが悪い」」
「そこでハモらなくても……」
それにしても街壁がところどころ破壊されている。
ワイバーンに襲われた際に破壊されたのか、それとも別の要因かは分からないけど不安になる外観だな。
「こんな時にソプラに来るなんて……ここに来た目的を聞いていいかな?」
「重体、治せる人探しるって聞いたから」
「私たちは彼女の護衛のようなものよ」
当初予測されてたボスとの戦闘は回避しちゃったから護衛らしいことは全くしてないけどね。
「お嬢ちゃん、聖術が使えるのかい!?」
「えっへん」
「入街料は10Rだ。重体の者は街の中心部にある組合にいる。急いでくれ」
「分かった。アイ、ショ……マヨイ、ありがとう」
「気にしないで」
「どういたしまして」
そのまま3人でソプラの組合へと向かう。
ワイバーンが暴れた跡だろう。破壊された住宅、元は舗装されていただろう舗装が剥がされた道、瓦礫を撤去するのを手伝っているプレイヤー、はっきり言って想像以上に酷い。
「─────」
「───────!」
組合に着くと中から聞こえてくる会話というには穏やかじゃなさそうな雰囲気の怒鳴り声が聞こえてきた。もう"流星群"との契約は終えたし帰っていいかな?
「アイ、マヨイ、着いてきて。お願い」
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お読みいただきありがとうございます。
除草の次は伐採です。
今回も赤になっていないのは前回と同じ理由ですね。
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