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「ん……誰でしょうね」
「出ないの?」
「いえ、いいです」
きっぱりと断るなり、廣瀬が再びこちらに向かって手を伸ばしてきた。
「っや、ひろ、せ――――」
再び始まった愛撫が身体の奥底に燻ぶった熱を呼び起こす。このままではまずいと頭の中で警鐘が鳴り響いている。
「出た方が良いって…………っ!?」
「怪しい人かもしれませんし、居留守を使いましょう」
そう言うなり彼は俺の下腹部に手を伸ばす。既に反応を示し始めているそこを布越しにやんわりと握られ、思わず声が出てしまう。
「っあ、人居る、のに……っ」
「静かにしていればバレませんよ」
「そういう問題じゃな、ぃ……ッんぅ……!」
抗議の言葉は彼の口によって遮られる。すぐに侵入してきた舌が容赦なく絡みついてくる。逃げようとするもすぐに捕らえられて吸い上げられる。同時に中心を強く擦られて目の前がちかちかとするほどの快感に襲われた。
「んむ……っ♡ふ……う……♡」
呼吸ごと奪われるような激しいキスの合間にくぐもった吐息だけが零れる。苦しいはずなのに頭がぼうっとするほど気持ち良くて堪らない。思考すらもどろどろに溶かされていくようだった。
不在を疑うかのように、再びインターホンが鳴らされる。扉を一枚隔てたすぐ向こう側で、誰かがこのやり取りを聞いているかもしれない。それを考えるだけで羞恥心が込み上げてくると同時に興奮している自分に気づく。
「ん……っう゛、ぁ……♡」
「声、我慢しないと外に聞こえちゃいますよ」
意地の悪い笑みを浮かべながら廣瀬は先端を引っ掻くようにして刺激してくる。貪欲に快感を拾ってびくびくと震える自分の体が恨めしい。
「は、……っぅ……♡」
唇を噛み締めながら、快楽の波をやり過ごす。なんとか堪えているものの、絶えず与えられる刺激のせいで徐々に理性が崩れていく。
「っふ、は……♡も、だめ……、っく……♡~~~~ッ♡♡」
限界を訴えると、とどめだと言わんばかりにぐり、と鈴口を強く擦られる。それと同時に首筋を一際強く吸われて、俺は呆気なく達してしまった。下着の中がぬるりと濡れていく感覚に身震いする。いつの間にかインターホンは鳴り止み、玄関に居た人間の気配は消えていた。
「……もう居なくなったみたいですよ」
「……っは、ぁ……♡……っ♡」
ようやく解放されたときにはもう立っていられない状態だった。崩れ落ちそうになったところをすかさず廣瀬に抱き留められる。
「大丈夫ですか、先輩」
耳元で囁かれる声が心地良い。低く掠れた響きが、余計に腰の奥に甘い疼きを生む。
「だ、いじょぶ……じゃ、ない……」
まだ整わない呼吸のままそう答えると、廣瀬がくすりと小さく笑う。
「すみません、出海先輩が可愛くてつい」
悪びれる様子もなく、彼は額に触れるだけの優しいキスを落とした。
「……廣瀬のばか」
拗ねたような口調でそう呟けば、ごめんなさいと苦笑しながら頭を撫でられた。子供扱いされているようで不服だが、そんな彼の仕草に心地良さを覚える自分もいる。結局俺はこの後輩には弱いのだ。
ふと視線を感じて見上げると、廣瀬と目が合った。穏やかな表情を浮かべているが、彼の瞳には隠しきれない情欲の色が滲んでいる。それに引き摺られて、再びじわじわと身体が熱を持ち始める。
「廣瀬」
「はい」
名前を呼ぶと、彼は目を細めて返事をする。いつも余裕たっぷりな態度を見せる彼に振り回されている自分が悔しくて、せめてもの反撃を試みた。
「……責任、取って」
「出ないの?」
「いえ、いいです」
きっぱりと断るなり、廣瀬が再びこちらに向かって手を伸ばしてきた。
「っや、ひろ、せ――――」
再び始まった愛撫が身体の奥底に燻ぶった熱を呼び起こす。このままではまずいと頭の中で警鐘が鳴り響いている。
「出た方が良いって…………っ!?」
「怪しい人かもしれませんし、居留守を使いましょう」
そう言うなり彼は俺の下腹部に手を伸ばす。既に反応を示し始めているそこを布越しにやんわりと握られ、思わず声が出てしまう。
「っあ、人居る、のに……っ」
「静かにしていればバレませんよ」
「そういう問題じゃな、ぃ……ッんぅ……!」
抗議の言葉は彼の口によって遮られる。すぐに侵入してきた舌が容赦なく絡みついてくる。逃げようとするもすぐに捕らえられて吸い上げられる。同時に中心を強く擦られて目の前がちかちかとするほどの快感に襲われた。
「んむ……っ♡ふ……う……♡」
呼吸ごと奪われるような激しいキスの合間にくぐもった吐息だけが零れる。苦しいはずなのに頭がぼうっとするほど気持ち良くて堪らない。思考すらもどろどろに溶かされていくようだった。
不在を疑うかのように、再びインターホンが鳴らされる。扉を一枚隔てたすぐ向こう側で、誰かがこのやり取りを聞いているかもしれない。それを考えるだけで羞恥心が込み上げてくると同時に興奮している自分に気づく。
「ん……っう゛、ぁ……♡」
「声、我慢しないと外に聞こえちゃいますよ」
意地の悪い笑みを浮かべながら廣瀬は先端を引っ掻くようにして刺激してくる。貪欲に快感を拾ってびくびくと震える自分の体が恨めしい。
「は、……っぅ……♡」
唇を噛み締めながら、快楽の波をやり過ごす。なんとか堪えているものの、絶えず与えられる刺激のせいで徐々に理性が崩れていく。
「っふ、は……♡も、だめ……、っく……♡~~~~ッ♡♡」
限界を訴えると、とどめだと言わんばかりにぐり、と鈴口を強く擦られる。それと同時に首筋を一際強く吸われて、俺は呆気なく達してしまった。下着の中がぬるりと濡れていく感覚に身震いする。いつの間にかインターホンは鳴り止み、玄関に居た人間の気配は消えていた。
「……もう居なくなったみたいですよ」
「……っは、ぁ……♡……っ♡」
ようやく解放されたときにはもう立っていられない状態だった。崩れ落ちそうになったところをすかさず廣瀬に抱き留められる。
「大丈夫ですか、先輩」
耳元で囁かれる声が心地良い。低く掠れた響きが、余計に腰の奥に甘い疼きを生む。
「だ、いじょぶ……じゃ、ない……」
まだ整わない呼吸のままそう答えると、廣瀬がくすりと小さく笑う。
「すみません、出海先輩が可愛くてつい」
悪びれる様子もなく、彼は額に触れるだけの優しいキスを落とした。
「……廣瀬のばか」
拗ねたような口調でそう呟けば、ごめんなさいと苦笑しながら頭を撫でられた。子供扱いされているようで不服だが、そんな彼の仕草に心地良さを覚える自分もいる。結局俺はこの後輩には弱いのだ。
ふと視線を感じて見上げると、廣瀬と目が合った。穏やかな表情を浮かべているが、彼の瞳には隠しきれない情欲の色が滲んでいる。それに引き摺られて、再びじわじわと身体が熱を持ち始める。
「廣瀬」
「はい」
名前を呼ぶと、彼は目を細めて返事をする。いつも余裕たっぷりな態度を見せる彼に振り回されている自分が悔しくて、せめてもの反撃を試みた。
「……責任、取って」
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