酔った勢いで幼馴染と寝たら、翌日何倍にもして返された話

辻河

文字の大きさ
上 下
2 / 3

2

しおりを挟む
「じゃあ、維月が思い出すまでセックスするから」
「へっ……!?」
 
 拍子抜けしたのも束の間、油断していた身体は簡単にシーツの上に押さえつけられ、腰だけが高く持ち上げられる。窄まりに擦り付けられた屹立は火傷しそうなほどの熱さと硬さを保ったままで、ひゅ、と微かに喉が鳴った。
 
「これならさっきより奥まで入りそう」
「ぅ、え?……っあ♡まって♡おく、はいっちゃやだ……ぁ♡」
 
 昂りにぴったりと吸い付いていた窄まりが、突き立てられた欲望を歓迎するように中へと引きずり込む。先程まで自分の中に入っていたとは思えないくらいの質量が身体の中をこじ開けていく感覚だけで、思考回路が焼き切れそうだった。ごちゅん、と不意に最奥に先端が叩きつけられた瞬間、視界にちかちかと火花が散った。
 
「せな……♡ぁ゛♡や♡これ、むり♡だめ♡だめ……だ♡ひぅ♡……ッう゛♡」
 
 とん、と最奥を軽く小突かれるとはくはくと息が漏れる。今まで感じたことのない強烈な快感から逃げようとする身体は、瀬永の両手によって容易く元の位置に戻される。
 
「ぁ♡……せ、な♡せな♡酔って、へんなことして♡ごめ、なさ……っ♡ぅ♡ぁ、やっ♡」
 
 浅い呼吸を繰り返しながら必死に謝罪の言葉を紡ぐ。そもそもいくら酔っていたからといって自制できなかったのがいけないのだ。何をしでかしてしまったのかは分からないが、こんなに怒った瀬永は見たことがない。
 
「そんなことに怒ってる訳じゃないんだけど……まだ思い出せない?」
「っは、ぁ♡んぅ♡……っお゛♡やら♡……まっ、て♡ぁ゛♡……~~ッ♡」
 
 屹立が抜けてしまいそうなくらい浅いところまで引き抜かれたと思った瞬間、強く最奥まで穿たれる。縁を捲り上げるように肉壁を擦り上げられて目の前に星が散った。
 
「ねえ、聞いてる?」
「は……っ♡ぁ゛♡……お、く♡ごつって♡んぅ゛♡っひ♡ふか、い……っ♡」
「ねえってば」
 
 今自分が何を口走っているかすらよく分からない。ばちゅ、と奥を抉るように突き上げられる度にはしたなく腰が揺れてしまう。激しい抽挿を繰り返しながら腹の上を手のひらで強く押されると、嫌でも中に埋まった昂りを意識してしまって背筋がぞわぞわと粟立つ。
 
「そろそろ思い出した?」
「ぉ゛♡ぇ……っ?♡♡わかん、にゃ♡♡う、ぁ゛♡」
「そっか」
「や♡やっ……ぁ゛♡それ、やだ……ッ♡♡ん、ぅ……♡っう♡」
 
 上手く回らない頭で必死に考えてみても分からないものは分からない。おぼろげな記憶は熱と快感で溶かされて、思い出すことすらままならない。しかし、背後から聞こえる瀬永の声は地を這うように低い。
 
「……維月って、本当は俺のこと嫌い?」
 
 耳元で告げられた言葉に反応して身体の奥がまたどくりと脈打つ。
 そんなことあるはずもないのに。すぐに否定しなければならない、と頭の片隅で警鐘が鳴っているのに、上手く口が動かない。ここで素直に好意を口にすれば、今まで細心の注意を払って保ってきた関係が崩れ落ちてしまうだろう。既に崩れてしまった繋がりだとしても、すぐに手放せるほどの覚悟はなかった。考えれば考えるほど喉元まで迫り上がってくる言葉を吐き出すことができない。涙やいろいろな体液で濡れた顔を隠すように枕に顔を埋める。
 
「ねえ、維月」
「ひっ♡ん、ぅ゛……♡……ッ♡……~~~~♡♡」
 
 必死に首を振って拒否の意を示すも腰の動きが止まる気配はない。それどころかぐりぐりと最奥を押し潰すような動きに変わってより逃げ場がなくなっていく。腰を固定されたまま好き勝手に中をかき回される感覚は未知への恐怖を孕んでいるはずなのに、それすらも快感として身体が受け止めてしまうことに頭が追い付かない。
 
「それとも、他に好きな奴でもいるの?他の奴と間違えて俺のこと誘ってきたの」
「……ぁ♡ちが……っ♡そ、じゃなくて♡……せな♡せな、しか……すきじゃない♡」
 
 思わず口から零れた言葉に反応したのか、動きが緩やかになり、きつく身体を押さえつけていた両手の拘束が緩む。早く。もうなりふり構ってはいられない。今のうちに早く伝えなければ。終わりのない快楽から逃れることができる機会も、瀬永の怒りを収めることができる機会も、今しか残っていないような気がする。
 
「おれがすきなのは、せなだけ……♡だか、ら♡ずっと、せなが♡すき、で……♡」
「……本当?」
「ほんと♡ほんと……だから、ごめ……♡……っん゛ぅ!?♡」
 
 こんなことを言うつもりではなかったのに。墓場まで持って行こうと思っていたくらいなのに。もはや頭も口も回らない。何か弁明の言葉を発しようとした瞬間、ごちゅん、と中を強く穿たれて喉から空気だけが押し出された。
 
「……~~ッ♡ぁ♡……ごめ、なさ♡も、こんなことしない……から♡……ゆるして♡きらいにならない、で……♡」
「……そんなの」
 
 不意にぴたりと動きが止まる。訪れた休息に安堵する間もなく、ぐるりと身体を反転させられ、瀬永と向かい合うように体勢を変えられる。真一文字に引き結ばれた口、据わった目はこちらをまっすぐ見つめている。射竦められたように身体が強張って動かない。
 
「嫌いになれる訳ないじゃん」
「……っ、ぁ♡……ふ♡っん、む♡……ぅ゛♡」
 
 大きな両手が伸びてきて両頬を包み込む。鼻先がぶつかりそうなくらい近い距離にある彼の顔に無意識に視線を奪われる。まだ薄暗さの残る部屋の中で、熱を孕んだような瞳だけが鈍く光っていた。吸い込まれるような錯覚を覚えると同時に、柔らかい感触が唇に押し付けられる。突然触れた唇に驚いて舌で押し返そうとしたが、簡単に絡め取られてしまった。ざらついた表面同士を擦り合わせる度にびりびりと身体が痺れるような感覚に襲われる。
 
「ん……♡ふ、ぅ゛♡……っは♡……せ、な♡ぁ♡」
 
 流し込まれる唾液を飲み込む度、じわじわと内側から溶かされていくように身体が火照っていく。角度を変えながら何度も何度も深く口付けられて上手く息ができない。恥ずかしくて堪らないのに顔を逸らせない。気持ちいいということ以外何も考えられなくなって、この感覚に身を委ねてしまいそうになる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

いくら気に入っているとしても、人はモノに恋心を抱かない

もにゃじろう
BL
一度オナホ認定されてしまった俺が、恋人に昇進できる可能性はあるか、その答えはノーだ。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

子を成せ

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
ミーシェは兄から告げられた言葉に思わず耳を疑った。 「リストにある全員と子を成すか、二年以内にリーファスの子を産むか選べ」 リストに並ぶ番号は全部で十八もあり、その下には追加される可能性がある名前が続いている。これは孕み腹として生きろという命令を下されたに等しかった。もう一つの話だって、譲歩しているわけではない。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

幼馴染は俺がくっついてるから誰とも付き合えないらしい

中屋沙鳥
BL
井之原朱鷺は幼馴染の北村航平のことを好きだという伊東汐里から「いつも井之原がくっついてたら北村だって誰とも付き合えないじゃん。親友なら考えてあげなよ」と言われて考え込んでしまう。俺は航平の邪魔をしているのか?実は片思いをしているけど航平のためを考えた方が良いのかもしれない。それをきっかけに2人の関係が変化していく…/高校生が順調(?)に愛を深めます

ヤバい薬、飲んじゃいました。

はちのす
BL
変な薬を飲んだら、皆が俺に惚れてしまった?!迫る無数の手を回避しながら元に戻るまで奮闘する話********イケメン(複数)×平凡※性描写は予告なく入ります。 作者の頭がおかしい短編です。IQを2にしてお読み下さい。 ※色々すっ飛ばしてイチャイチャさせたかったが為の産物です。

処理中です...