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後日談
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「洸くん、あの……」
「……」
「う、昨日は酷くしてごめんね……」
申し訳なさそうに項垂れる光希の視線の先には、丸々とした布団の塊があった。もぞ、と時折身動ぎはするものの、頭まですっぽりと潜ったまま一向に顔を出す気配はない。
「あんなに上手くいくとは思わなくて、へろへろになった洸くんが可愛くて一人で盛り上がっちゃって、その……」
「それ以上言わないでください」
中から漏れる声は冷たく掠れていた。布団の上からそっと背中を摩ると、ぎゅ、と拒絶するように塊が一層縮こまる。
「本当に反省してる……次はもっと優しくするから」
「次?」
どうやら最後の一言は余計だったらしい。隙間から微かに覗いた目がじとりと細められた。
「次なんて無いです」
「でも、洸くんだってあんなに気持ち良さそうにして……いたっ」
無言で投げつけられた枕が顔にぶつかる。やがて塊から伸びた手が、ぺしりと光希の手首を叩いた。
「しばらくはえっちなこと禁止です」
「え、そ……そんなに嫌だった?それならもう二度としないから」
「……嫌とは言ってません」
隙間から再び伸びてきた手が光希の服の裾を控えめに握る。一瞬の間をおいた後、くぐもった声が零れる。
「昨日のは、気持ち良すぎて怖かっただけで」
「うん」
だから、えっと。続く言葉を辛抱強く待っていると、やがて観念したように布団の中から赤く染まった顔が現れた。
「ちゃんと次は手加減してくれるなら、考えます」
消え入りそうな声でそれだけ言い残すと、再び布団の繭の中に潜り込んでしまう。込み上げる愛おしさに身を任せて、光希は目の前の塊をそっと抱き締めた。
「……」
「う、昨日は酷くしてごめんね……」
申し訳なさそうに項垂れる光希の視線の先には、丸々とした布団の塊があった。もぞ、と時折身動ぎはするものの、頭まですっぽりと潜ったまま一向に顔を出す気配はない。
「あんなに上手くいくとは思わなくて、へろへろになった洸くんが可愛くて一人で盛り上がっちゃって、その……」
「それ以上言わないでください」
中から漏れる声は冷たく掠れていた。布団の上からそっと背中を摩ると、ぎゅ、と拒絶するように塊が一層縮こまる。
「本当に反省してる……次はもっと優しくするから」
「次?」
どうやら最後の一言は余計だったらしい。隙間から微かに覗いた目がじとりと細められた。
「次なんて無いです」
「でも、洸くんだってあんなに気持ち良さそうにして……いたっ」
無言で投げつけられた枕が顔にぶつかる。やがて塊から伸びた手が、ぺしりと光希の手首を叩いた。
「しばらくはえっちなこと禁止です」
「え、そ……そんなに嫌だった?それならもう二度としないから」
「……嫌とは言ってません」
隙間から再び伸びてきた手が光希の服の裾を控えめに握る。一瞬の間をおいた後、くぐもった声が零れる。
「昨日のは、気持ち良すぎて怖かっただけで」
「うん」
だから、えっと。続く言葉を辛抱強く待っていると、やがて観念したように布団の中から赤く染まった顔が現れた。
「ちゃんと次は手加減してくれるなら、考えます」
消え入りそうな声でそれだけ言い残すと、再び布団の繭の中に潜り込んでしまう。込み上げる愛おしさに身を任せて、光希は目の前の塊をそっと抱き締めた。
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