私は身代わりだったはずでは？

2※

頷いた……のだが。

「あっ、待っ……や、どうして、そんなところ……っ」
「大切なところだ、じっくりと解さないと」
「でも、でも……っ」

こんな事をするなんて聞いていない！！！

私の足の間に顔を埋め、そこにじっくりと舌を這わせるエミールに心の中でそう叫ぶ。
指で触れるだけだと思っていたのに。
指だけでも恥ずかしいのに、あんな所に唇が、舌が触れるだなんてもうどうしたら良いかわからない。
こんな事は閨の指導書には書かれていなかった。

胸に触れられただけでも恥ずかしかったのにこれは当然それ以上に恥ずかしい。

以前触れられたところのある敏感な所を舐められると腰の疼きが止まらない。
背筋が震え、無意識に動いてしまう腰を抑えようとするが止められない。

「うっ、んん……っ、や……ッ」
「嫌？そんな事はないみたいだけど」
「んん……ッ、あっ、ああっ」

すんなりとエミールの指を受け入れたそこはぐちゅぐちゅと聞こえる音でどれ程はしたなく潤んでいるのかが自分でもわかる。
ゆっくりと中を擦られ抜き差しされる度に音が更に大きくなる。

「良かった、気持ち良いんだな」
「……っ」
「アリー、指を増やすよ？」
「あ……」

言われた通りに指が増やされる。
指が増やされた事により先程とは違い中でバラバラに動かされ、腹の上の方を擦られるときゅうっとエミールの指を締め付けてしまう。

「エミール、そこ……っ、ダメ……っ」
「ん？気持ち良い？」
「んやああ……ッ！」
「……かわいい」

いつの間にか私のそこから顔を離し顔を覗き込んでいたエミールが乱れる私を見つめぼそりと呟いた。

片方の腕で私を抱き締め、反対の手で翻弄される。
気持ち良さにのけ反りあらわになる首にエミールが唇を落とし、同じく突き出すようにしてしまった胸を辿る。
つんと尖ったそこを口に含まれ、果実を転がすようにされるのと同時に指の動きが激しさを増していく。

「あっ、や、ダメ、それ……っ、だめぇ……ッ、だめだったら……ッ！」
「ダメじゃないだろう？大丈夫、怖くないよ」
「んあッ、あっ、やああ……！！」

気が付けばぞくりとしたものが背筋を這いびくびくと震えていた。

「はあっ、はあ……っ」

（今のは……？）

今の感覚は一体何なのだろう。
今まで感じたことのない気持ち良さにぐったりと手足から力が抜ける。

「かわいいな、アリー、かわいい」
「あ……」

ちゅっちゅっと何度も私の顔中にキスをするエミール。
嬉しそうで愛おしそうな瞳をぼんやりと見上げていると、静かに足を抱えられ固いものがそこに押し付けられた。

「……っ」
「十分に慣らしたから大丈夫だと思うが……良いか？」

最初は痛いと聞くが、それを乗り越えなければエミールと結ばれない。
何度も言うが覚悟は決まっている。
返事をするようにこくりと小さく頷いた。

（本当に痛いのかしら？）

指ではあんなに気持ち良かったのにとふとそこを見ると、指とは全く違う質量のそれが目に入り息を呑む。

「ま、待って、そんな大きいの……っ」

入るはずがない。
良く考えたらいつも別室で致していたからエミールのものを見るのは初めてだ。
エミールの、どころか当然男の人のものを見るのも初めて。

（こんなに大きいものなの！？）

これがあそこに入れられるだなんて。
自分で触れた事があるからわかるが、指だけでもかなりの狭さだったはずだ。
エミールの言う通りにたくさん慣らしてもらい多少は余裕があるだろうけれど本当にアレを入れるのか。

決めたはずの覚悟がまたしても何処かへと飛んでいってしまい慌てて止めようとするが時既に遅し。

「悪い、もう止められない」
「うあ……ッ、ッ」

ぐっと押し付けられたそれが中を押し広げるようにして進んでいく。

「い……ッ」

強引にでも進めて欲しい。
そう願った通り、静止の声に謝られ行為は続けられる。

思った程の痛みではないが、それでも痛みはある。

「痛い、よな？もう少し、もう少しだから」
「……っ、ん……ッ」

出来るだけゆっくりとしてくれるエミール。
ずぷっと先端が入るとそこからは少しだけ楽で、大きなそれが中にぴっちりと収まるのを感じた。

「ん……っ」
「は……っ、全部、入ったぞ。大丈夫か？」
「ん、ええ……なんとか……」

全部を中に入れた後、そのままの体勢でこちらを気遣うエミール。
じんじんとした違和感はあるが、一番最初に感じた痛みはマシになっている気がする。

「少しこのままでいようか」
「え？でも……」

このままではエミールが辛いのではないだろうか。
男性は刺激を与えると気持ちが良いと習った。
入れただけで満足するはずがないだろう事はさすがの私でもわかっている。

「すぐに動いたら痛いだろう？大丈夫、こうしているだけでも嬉しいんだ」
「……っ」

ぎゅっと抱き締められ素肌が密着するのが気持ち良い。
しっとりと汗をかいているその背に腕を回す。

「私も、嬉しい」
「！」
「やっと結ばれたのね、私達」
「……ッ」
「っ、あ……！？」

すり、と逞しい胸に擦り寄るとエミールがびくりと跳ね、中の質量が増した気がした。

「っ、エミール……っ」
「悪い、だが、アリーがそんなかわいい事を言うから……っ」

かわいい事など言ったつもりはないのだが、エミールにとっては刺さる言葉だったようだ。

それでもこうして少しの間抱きしめ合っていると……

（……あら？）

中がむずむずしてきた。
痛みはもうない。
それどころか早く中を刺激して欲しくて、知らず知らずの内に腰が揺れ始めてしまう。

「う……っ」
「あっ、ごめんなさい、私……っ」
「ふっ、謝らなくても良い」
「でも……」
「中が疼いてきた？もう動いても平気か？」
「んっ」

疼きが少しずつ大きくなってくる。
その時を待ってましたとばかりにエミールに問われ、それにこくこくと頷く。

「もう平気、むしろ……」
「むしろ？」
「……っ、は、早く、動いて欲し……っ、あああッ！」

皆まで言う前に、もう耐えられないとばかりにエミールが腰を揺らし始めた。