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しおりを挟む会場には既に大勢が集まっていて、揃って入場した私達に驚いているようだった。
「まあ、リーア様とシルク様が一緒にいらっしゃるなんて」
「仲が悪いのではなかった?」
「そういう噂でしたけど、でもご覧になって、あの髪飾り」
「あら、同じデザインだわ。まさかシルク様が真似したのかしら?」
「でも色が……」
「……お互いの色を、身に付けていらっしゃるのかしら?」
「おい、はず……聖女様の相手が団長だぞ?」
「誰だよ一人で参加するかも、なんて言ってたの」
「誰ってそりゃ……あ、あいつだ」
「…………ああ、あいつか」
「どうせ団長が気を使って仕方なくエスコートしているだけではないか?」
「職務に忠実すぎるのも考えものだな」
「どうせならリーア様をエスコートしたかっただろうに」
こそこそと話しているようですけど丸聞こえです。
その辺にいた貴婦人その他大勢の会話にアーノルドとリーアが内心ピキピキしているのを感じる。
だがしかし、これをチャンスと思ったのだろう。
「シルク、私がプレゼントした髪飾り本当に似合ってるわ。やっぱりお揃いにして正解ね。今度はドレスを色違いにしても素敵かも!」
「ドレスを?ふふ、それも素敵ね」
『私が』を物凄く強調するリーア。
髪飾りを撫でるついでに頭も撫でられ、笑顔で話す私達に周りが驚いている。
「シルク、この場の誰よりも貴女が一番美しい。私にエスコートさせてくれる名誉を与えてくれてありがとう」
「!そ、そんな、私の方こそ、嬉しいです。ありがとうございます」
臆面もなくさらりとそんな事を言うアーノルドに小さな悲鳴とどよめきがあがる。
きっと二人とも何か言われる事は想像していて、それにどう対応してやろうかと色々考えてくれていたんだろうなあ。
「あら、シルクは着飾らなくても可愛いんですけど?」
「当然です。どんなシルクも可愛らしく美しいのはわかっています」
「あらあ、でも団長は一番可愛いシルクをご存知ありませんよね?」
「……それは……?」
「寝起きでふにゃふにゃのシルクはそれはもうその場で何度もキスしたくなる可愛いさなんですよ?」
「ちょ、り、リーア!!」
「寝起き……!」
「いやあの、団長!想像しないで下さい!」
「残念ですねえ、見た事ないだなんて」
「……ではその可愛らしさはこれから俺が独り占めさせていただきますね」
「……図々しくないですか?」
「それほどでも」
ちょちょちょちょーっとお二人さん!
入り口で火花散らさないでー!
しかもその原因が私というのが本当にいたたまれない。
周りの目を見てよ、ぽかんとしちゃってるじゃないの。
リーアの私と仲良しアピールに加え、アーノルドの自分が望んで私のエスコートをしているのだというアピールのコンボに嬉しいやら恥ずかしいやら。
……まあ嬉しいの圧倒的勝利ですけど。
「いやあ、シルク様も苦労しますねえ、この二人に愛されてるなんて」
「……そう思うなら止めて下さい」
「止めたいのはやまやまなんですけど、バチバチしてるリーア様も可愛くて悩んでる所です」
「……はあ」
にこにこと爽やかな笑みを浮かべてそう言うアレクに思わず溜め息が漏れる。
うん、結局盲目的にリーアに惚れ込んでいるのには間違いなかった。
大型犬、忠実そうに見えて一筋縄ではいかなそうだ。
そんな所もリーアは気に入ってるんだろうな。
「今日のところはこのくらいにしておきましょうか」
「そうですね。我々がシルクをどう思っているのか周知出来たでしょうし」
ひとしきり笑顔での睨み合いを終えたアーノルドとリーアはこそっとそんな事を呟き離れた。
派手にバチバチしていたのは私の為だったようだ。
そんな事しなくても良いって言ったのに二人とも聞いてくれなかったんだよね。
私の名誉の為にそこまでしてくれる二人には感謝しかない。
「団長、リーア、ありがとう」
嬉しさが溢れてきて笑みが止まらない。
にこにこと二人に笑顔を振りまきながらお礼を言うと、ざわっと周りの騒めきが大きくなった気がした。
「……可愛い、だがライバルが増えた気がする……!」
「御愁傷様です、せいぜい捨てられないように気を付けて下さいね」
「?」
額に手を当て呟くアーノルドとにやにやと笑みを浮かべるリーア。
二人のセリフは聞こえなかったけど、まあ良いか。
それからパーティー開始の挨拶があり、聖女として壇上に立つ私達。
簡単な口上を述べた後は自由時間だ。
ダンスをするも良し豪華な食事に舌鼓を打つも良し歓談するのも良しその辺を散策するも良し。
リーアは案の定壇上を降りた所で大勢に囲まれ身動きが取れなくなっている。
私の所にもリーアとは比べ物にならないが上辺だけの賛辞を述べる人達がやってくるのが例年だけど、今日はどこか雰囲気が違った。
会場に入った時のアーノルドとリーアの一芝居が功を奏したのかいつもよりも好意的な視線や態度の人が多かった。
それにいつもよりも挨拶に来てくれる人も多かった。
今までの扱いが扱いだっただけに対応に困ってしまったが、困った時は笑って誤魔化すに限る。
曖昧に微笑み『美しい』だの『是非ダンスを』だの 『今度お食事でも』だのの社交辞令を右から左へ流していく。
弟は早々に挨拶に来て、可愛らしい恋人とそそくさとホールの中央に向かってしまった。
ちらりと見たダンス中の二人は文句なしにお似合いだった。
「シルク、大丈夫か?」
「はは、ちょっと疲れました」
人の波が収まった頃にはすっかりと疲れてしまっていた。
人と話すのって大変だ。
「あっちで少し休もう」
「はい」
アーノルドに促され、人並みを掻き分け中庭へと向かう。
中の熱気から一転、涼しく清々しい空気にホッと息を吐き出す。
「大人気だったな」
「あは、びっくりしました。あんなにたくさん挨拶に来てもらえると思ってなかったので」
「今まで我慢していた分と、今日のシルクの魅力に堕ちた奴らがこぞって来てたからな」
「私の魅力だなんてそんな」
そんなものどこにあるんだか。
アーノルドも口が上手いなあと噴き出す。
「……鈍感な所も可愛いが、気を付けてくれよ?」
「へ?」
「シルクが社交辞令だと思っていた男連中のセリフ、半分以上は本気だったからな?」
「ええ?まさかそんな」
「そのまさかがありえるんだ」
「え、ええー?」
そんな馬鹿なとすぱっと言ってしまいたいが、アーノルドの瞳は本気だ。
これも惚れた弱みなのかな?
心配で堪らない、みたいな?
う、やだ、嬉しい。
そしてありえない心配してるアーノルドが可愛い。
「着飾らなくてもシルクは可愛いが、今日のシルクは綺麗だからな。本当は挨拶なんてさせずに早く二人きりになりたかった」
「!」
中庭にあるベンチに並んで座りぴったりと寄り添いながら言われたセリフに顔が爆発する。
寒くないようにとさりげなく上着を掛けてくれる気遣いとか、いつの間に受け取ったのか飲み物を差し出してくれたりだとか、ただでさえ大切に扱われているのに加えてこのセリフ。
爆発するなという方が無理だ。
「わ、私も、早く二人きりになりたかったです」
「!そ、そうか」
思っている事を伝えると、隣のアーノルドもそわそわとしだす。
こっそりと盗み見たらほんのりと頬が染まっていた。
可愛すぎる。
(早く二人きりになりたかったのは本当だけど……)
いざ二人きりになると緊張が止まらない。
今までも二人きりなんてしょっちゅうあったのにどうしてこんなにどきどきしてしまうんだろう。
やっぱりその、恋人同士というものになったからだろうか。
世のカップルは毎度こんな緊張感を持ってデートしているのだろうか。
それとも私が意識しすぎなだけ?
「……っ」
何を話せば良いのか、どんな態度をとったら良いのか悶々と悩んでいると、ふと膝に置いた手が暖かなものに包まれた。
何、なんて考えるまでもない、アーノルドの手だ。
「っ、だ、団長」
「アーノルド」
「へ?」
どぎまぎしながら機械仕掛けの人形のようにかくかくとアーノルドの方を向くと、名前を囁かれた。
「団長?」
「アーノルドと呼んでくれないか?せっかく恋人同士になったのに、団長と呼ばれるのは寂しい」
「……っ、っ」
私の声にならない叫びを誰か聞いてくれないだろうか。
さっきから何度も思っているけれど、何だろうこの可愛い人は。
図体は大きいし強面だし誰もが恐れる騎士団長様なのにこんなに可愛いだなんて何事!?
名前を呼ばれなくて寂しいとか何それ可愛すぎる。
もう可愛いしか出てこない。
カッコいいのに可愛いだなんて最強すぎる。
「あ、アーノルド、さん」
「さんはいらない」
「……アーノルド?」
「ああ、シルク」
名前を呼んだだけでこんなにも嬉しそうに微笑まれるなら何度でも呼んでしまいそうだ。
私も同じような表情しているのかな。
好きな人に名前を呼ばれるのは幸せな気持ちになるから、きっと同じような表情をしているに違いない。
アーノルドの反対の手が頬にかかる髪の毛に触れ、指を絡めくるくると弄る。
普段は鋭い目がふわりと緩み、甘い視線に射抜かれてさっきから心臓が暴れ続けている。
指先は髪の毛を離れ広い掌に頬を包まれる。
ほんの少し耳を掠めた指先にびくりと過剰に反応してしまった。
「ふっ、可愛い」
「……っ」
きっと私の顔は茹でたタコのように真っ赤に染まっているだろう。
アーノルドはそんな私の表情に酷く楽しそうだ。
「……遊んでます?」
「ああ、シルクの反応が可愛くて」
「意地悪ですね」
「仕方ないだろう?ずっとこうするのが夢だったんだ」
「ふぐっ」
そう言われてしまうと何も言えない。
色々な物を堪えて口から変な声は出てしまったけど。
(あ……)
私の変な声にくすりと笑ったアーノルドの顔が少しずつ近付いてくる。
経験はないが、この流れで何をされるかは流石の私もわかっている。
動きに合わせて目を閉じると、ゆっくりと唇が触れて静かに離れた。
「悪い、許可も得ずにしてしまった」
「い、いえ、私も、してほしかったので」
唇が離れたとはいえ未だ至近距離のままでそんな事を言い合う私達。
アーノルドの顔も少し赤くなっていて、余裕そうに見えて恥ずかしいのも緊張しているのも私だけじゃないんだとわかり喜びが増す。
そのまま優しく抱きしめられ、広い背中に腕を回してホッと息を吐き出した。
(幸せだなあ)
まさかパーティーの最中にこんなに幸せで満ち足りた気分になれるとは思ってもみなかった。
いつもいつも人から隠れるようになるべく人目につかないように挨拶が終わると同時に壁の花になっていた。
それが今、こうしてずっと好きな人といられてこんなに甘ったるい雰囲気に溺れられるなんて。
「そういえば、ダンスは良かったのか?」
「はい。一応習いましたけど、パーティーで踊った事はないんです。誰も誘ってくれませんでしたし、踊りたいとも思いませんでしたし」
「そうか……」
私と踊りたい人なんていなかった。
だから壁の花になっていたのだし、それが普通だった。
リーアは次に踊りたい人の行列が出来ていたけど。
「……それなら、俺と踊ってくれないか?」
「!」
そっと身体を離され、手を差し出される。
ダンス?
アーノルドが?
私と?
「……良いんですか?」
「もちろん。初めてなら尚更、俺がその初めてを貰いたい」
この人は何度私を喜ばせれば気が済むのだろうか。
「……嫌か?」
「そんな訳ないじゃないですか!」
「ふっ、だと思った。じゃあ行こう」
「はい!」
差し出された手を取り立ち上がる。
ホールに向かうとそこでは色んな人が楽しそうにステップを踏んでいた。
私達が輪に加わると少しだけ騒ついたような気がする。
やっぱり私が踊るなんて変かな?
「大丈夫、俺だけに集中して」
「っ、はい」
そんな私の不安を即座に察したアーノルドの一言に、不思議と周りの視線も騒めきも何も気にならなくなった。
目の前のアーノルドだけを見て、アーノルドの声だけを聞いて、音楽に乗り身体を動かし始める。
「アーノルド」
「ん?」
「大好きです」
「!」
小さな小さな声での告白は、ちゃんとアーノルドの耳に届いたようだ。
意表を突かれ目を見開くその表情が可愛くて笑みが溢れる。
「……俺も」
「!」
お返しとばかりに頬へのキスと共に囁かれ、逆に私がやられてしまうのはこの直後。
その更に後で、リーアが突撃してきて私とダンスをしたいとアーノルドから攫って一緒に踊ったり、ダンスの後はリーアがくっついて離れなくてアーノルドが苦い表情を浮かべていたり、最終的に会場入りした時のようにアーノルドとリーアで私を取り合うようなやり取りを再開したりと色々濃密なパーティーは長い時間があっという間に感じられる程楽しく過ぎていく。
『はずれ』と呼ばれ、周りから嫌われ蔑まれ疎まれていた毎日がこの日を境にガラリと変わる。
この先に待っている暖かく穏やかで楽しい毎日に、これまでの嫌だった事怖かった事傷付いた事が洗い流され、この国の聖女はどちらも甲乙つけ難い程素晴らしいとまで言われるようになるのだが、それはまた別の話。
終わり
おまけの(いらないとは思いますが)ニールの取り巻き達のパーティー前日譚
「しょうがねえから『はずれ』は俺が誘ってやんねえとなあ、じゃねえと一人で参加するハメになるだろうからな!」
「ははっ、そうかもなあ(好きなくせに素直じゃないやつ)」
「誘ってやれよー(ていうかこいつ気付かれてないと思ってんのかな?)」
「もし断られたらどうするんだ?(まあ100パー断られるだろうけど)」
「は?はずれの分際で俺を拒否出来る訳ねえだろ」
「「「あはははは!(拒否以外の返事ねえだろ)」
なんて会話があったとかなかったとか。
※この取り巻き連中も全員謹慎など相応の処分受けています
今度こそ終わり!
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