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第2章
王の許し(1)
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お腹の中が、熱い―――
欲しくて欲しくてどうしようもなく疼くそこに、
とてつもない圧迫感を伴ってこじ開けられる感覚は足のつま先までジンジン痺れ、
息ができないほど気持ちがいい……
苦しいほどに極限まで快楽を引き出されたのち、
最後はお腹の中を満たす熱い充足感。
じわぁと広がる熱い熱が、全て体内で吸収して染み込んでくれればいいのに……
栓を失った途端、こぽっと溢れ出てしまうのが
勿体なくて、寂しく、感じた―――
*****
「ん……ぅ…」
不意に意識が浮上する感覚に抗わず目を開くヒナセは、ぼーっとする頭で映し出す視界がなかなか鮮明にならなかった。ゆっくりとした動作で何度も瞬きを繰り返しながら見つめた天井の豪華さに、ここが見慣れた王の寝室だと気がつくまでしばらく時間を要した。
その間、なにか温かいものに包まれ、 安心する居心地に、しょぼしょぼする目がもう一度静かに閉じそうになっていく……そんなヒナセの寝ぼけた様子をずっと見守っていた人物のふっと笑う低い低音がヒナセのすぐ耳元で鼓膜を揺らした。
「目が覚めたか」
「……」
「よく寝たな、ヒナセ」
「……へ…か?」
何重にも重なった枕の海に、仰向けで行儀よく埋もれるヒナセを覗き込むようにすぐそこに王の顔がある、それくらい至近距離で二人は横たわっていた。
パチパチと瞬きをしながら、ぼぉ…と王の顔を見つめる。
「なんだ、まだ起きぬか?」
そんなヒナセに苦笑をもらした王は抱き込んでいた腕で頬を撫でていく。
そこでやっとパチッと目が覚めたヒナセは一気に状況を理解すると「ひぇっ!?」と悲鳴に近い声を上げ、飛び起きる勢いで体を起こそうとした……が、それは失敗に終わった。
「いっ―――!?」
腰に感じる激しい鈍痛に一瞬浮かせた頭は再びぼふんっと枕に逆戻りし、両の目にじわりと涙が浮かぶ。
「何をしてるんだ」
「うぅ…すみません…」
羞恥で顔を覆った指の間からチラッと王を覗き見ると、なんだ、と視線で返される。
そんな王の些細な表情の違いにあれ…と気になったヒナセはよいしょと体の向きを変え、横向きで王と向き合うと、じぃ…と王の顔を見つめる。そして、
「陛下、なんだかご機嫌いいですか?」
「………そうだな、悪くはない」
昨夜、意識のないヒナセに王自らとりあえずで着せた、ヒナセにはサイズの合わない王のシャツ1枚のみを身にまとった無防備な格好。そんな姿かつ上目遣いで見つめてくるヒナセに対して満足そうに頷くと、腰に腕を回し引き寄せる。
抵抗なくされるがままな様子に、ついふっと笑う王。そんな王の態度に何個もハテナを浮かべながらもヒナセもつられてふにゃっと笑う。
そんなところがヒナセのかわいいところだった。
「体は大丈夫か?毒の名残は残ってないか?」
「大丈夫です、また陛下のお役に立ててよかったです」
「……よくやった」
王を毒から守る、その役目をしっかりまっとうするヒナセに複雑な想いを抱きながらも、王は王として労いの言葉をかける、その役目をまっとうする。
嬉しそうなヒナセの頭を何度も撫で複雑な胸中を呑み込んだ。
「昨夜の事は覚えているか?」
「正直、曖昧です……でもなんとなく…相手が誰かも、なんとなく――大丈夫です、全部大丈夫。
今日は静かに過ごします」
「そうしろ」
目元に落ちてくる優しいキスを満面の笑みで受け止めたヒナセは何故朝からこんなにも王が優しく接してくれるのか、全くもってわからなかったが、王に構ってもらえるのは嬉しい。調子に乗ってぴとっと抱きついてみるのを今度は王が受け止めてくれる番。
優しい腕の中でむふふっと笑うヒナセだった。
「そうだ、ヒナセ。今度から暇な時は騎士殿に相手してもらえ。特別に許す」
「……へ?」
ベッドからおりようと、やって来るであろう腰の痛みに覚悟を決め、恐る恐る足を床におろしているところに、不意に背中で受けた言葉にヒナセは一瞬理解が出来ず全ての動きが停止した。
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