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第1章
浮かぶ淫紋(6)※
しおりを挟むスマートな流れでズボンの前を寛げアランの物が顔を見せると、その容姿に似合った色も形もハンサムで立派な物が天に向かっていきり立っていた。
その迫力につい「はぅ…」と洩れるヒナセの声。
ドキドキしながらじっと見つめていると「そんなに見ないで」と苦笑しながら伸びてきた手で目を覆われる、そんな王との行為とは全然違った種類の甘い雰囲気にヒナセはドキドキが止まらなかった。
「っ、…??」
暴れ狂う心臓と、キュンキュン疼いて止まらない下腹部に戸惑い、不安で彷徨う手は頬をかすめる王の服に辿り着く。高価で肌触りの良いシャツが皺になることなど頭からすっかりこぼれ落ち、ギュッと手繰り寄せて口元を隠した。
「どうしたヒナセ、そんな可愛い仕草をして、まるで今から王子様に抱かれる生娘のようだな」
「んぅっ…」
王の珍しく楽しそうな声と頭を撫でられる感触にビクッと震え悶えているヒナセに、こちらに集中してとでも言うかのように、下半身にぴとっとあてがわれるぬるっとしたナマのリアルな感触。
ドクンッ――
「痛かったら、言ってね……」
「ぁ……あ、あ…」
優しい言葉とは裏腹に、質量を持った硬いものが狭い道を無理やりこじ開け、ずぷぅ…と侵入してくる感覚。
「と言っても、止まれる自信は、無い」
「あっ―――」
その一言を合図に、ゆっくり様子を伺いながら入ってきていたのが嘘のように一気に全体を埋め込まれると、あまりの圧迫感に視界は火花がちったかのようにチカチカ点滅し、ガクガク震える内股は自然と腰が持ち上がり背中が反ってしまう。
唯一つま先だけがシーツについている、そんな状態のヒナセの細腰をしっかり掴むと、休む暇も与えず容赦のない抽挿が始まった。
「あっあっ、だめ、んあっ止まっ、」
「ごめ、キミの中、良すぎて止まれそうに…ない」
「やっ、だめっ…やっ、ぁぁ」
腰が浮くヒナセに上から突き刺すようなダイレクトに腹に響く激しい抽挿。口走る泣き言とは裏腹に、ヒナセのナカは淫らに蠢き、アランの物を健気にぎゅうぎゅう締め付けていた。
―――だから余計、悦ばせたくなる。
「まだまだ、いけるよね」
「だっ、―――っ」
コリっと突き出た突起物を掠めた途端、今までの比にならない声を上げ痙攣するナカ。「見つけた」そう呟くと、そこだけを狙ってヒナセの快感を引き出していく。
前を寛げただけの一糸乱れぬ格好に似つかない容赦のない攻め苦にヒナセは呼吸がままらないほどイキっぱなしだった。
そして、アランもまた、絶頂が近く迫っていた。
「ふっ、んっあ……」
「っ、ごめ、キミの中に、出しても」
「ほし、だして、あついの―――」
「ちょうだい」そう動く真っ赤に染った小さな唇を食べ尽くす勢いでがぶっと覆い舌を絡ませ激しく貪ると同時に、ヒナセのナカに熱い物が勢いよく叩き込まれ、その衝撃に出る悲鳴はアランの口内にかき消されていった。
名残惜しくもヒナセのナカから抜け出ると同時に、ごぷりと溢れる濃い白濁がシーツをじわりと汚す。
M字に開いた足の間から次から次へと溢れ出る自分の精。そんな卑猥な光景をごくりと眺めるアランは、くっくっと笑う存在に視線を移した。
「若いなぁ騎士殿。ほら、ヒナセ、息をしろ」
「ひ、ひゅ…っふ、」
意識はあるのかないのか、いまだビクビク痙攣し王にすべての体重を預けもたれかかるヒナセの頬を王が軽く叩くが到底返事ができる状況ではなかった。「仕方ない…」ため息とともにそう呟くと、脱力するヒナセの顎を掴み無理やり上を向かせると、こじ開けた唇を王の唇が塞ぐ。
「んっぅ」
初めは苦しそうにしていたヒナセも次第に呼吸を取り戻し、ただの濃厚な口付けに変わっていく、そんな目の前の光景をじっと眺めていたアランは、ふとヒナセの腹の印が薄く消えていくのに気がついた。
「―――消えたか」
「!」
そのまま意識を失ったらしいヒナセを胸に抱いた王はどうやらアランと会話をしてくれる気があるようで、下がれという命令は出されることなく留まることを許される。
聞くなら今かと、とっくに身を整えたアランは躊躇いながらも重い口を開いた。
「言われるがまま王の大切な存在を抱いてしまい、どんな罰でも甘んじて受ける所存です、が、この子は一体……」
積み重ねた枕を肘置きにした王は、じっとアランの様子を眺める。
二人の視線が交わる無言の時間。
そして、やっと開かれた王の口から発せられた質問にアランの頭は混乱した。
「騎士殿は、生まれつき毒に耐性のあるとある一族を知っているか?」
「!?しかし、それは御伽噺の中の―――」
「実際に存在する。それも、大半が子供のうちからさらわれ秘密裏に売買されている。ヒナセもそのうちの一人だ。我が買った」
「っ……」
人身売買―――決して許されることではない行為が至る所で行われている事はアランも重々承知で、何度もその現場に乗り込み撲滅すべく日々、騎士団長として動いていた、が、この子も……
気を失いいまだ一糸まとわぬ格好のヒナセに改めて視線を送り、つい先程我を忘れ、激しく抱いた自分を許せそうになかった。
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