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2【子育て日記】
2-23 社交界の花(4)
しおりを挟む「お待たせつかさくん……ってあれ、どうしたの」
「ままおかおがまっかっか~」
「りんごしゃ~~ん」
スーツに身を包み遅れてリビングに現れた普段より更にダンディな雰囲気の楓珠さんは、子供たちを抱き込み蹲る僕を見つけると不思議そうに問いかけてくるが、子供たちの答えにならない答えにこてんと傾けた楓珠さんの頭の頭上には無数のハテナが飛んでいた。
「よくわからないけど仲良しでいいね」と笑いながら手を伸ばしてくれる楓珠さんに甘え手を取り立ち上がると、僕の格好をまじまじと眺めた楓珠さんに「スーツ、よく似合ってる。綺麗だよつかさくん」とサラッと言われ、引きかけていた顔の赤みが再び戻ってくるのを感じていた。
「ちょっと父さん!つかささんを口説くの禁止!」
「口説くも何も、綺麗な子に綺麗だねって言ってるだけだけど?ねぇつかさくん。そろそろ出発する準備は完璧かな?」
「僕は準備万端です」
すかさず楓珠さんへ牽制する楓真くんだが、軽くいなされた上に、引き続き僕の視線が自分に向かない事にしょぼんとする姿はまるで耳もしっぽも垂れた大型犬みたいだ。
そんな姿に自然とため息をもらしていた。
「はぁ……楓真くん」
「!」
「おいで、行くよ」
「!!はいっ」
暗にエスコートを、と呼びかければすぐに復活し駆けつける優秀な番兼旦那様。にこにこ嬉しそうに微笑みながら僕の腰を抱く楓真くんをそっと見上げ、ついさっきまでのしょんぼり顔は何処へやらと苦笑する僕は結局、楓真くんに甘い。
「それじゃあママたち行ってくるね。トヨさんの言うことをよく聞いていい子に過ごしててね、夜は早く寝るんだよ」
「あーい」
「ぱぱ、まままもるおうじさまみたいね」
「カッコイイ?」
「「かっくいーーー!!」」
玄関まで見送りに来た双子は繋いだトヨさんの手をブンブン振り回す勢いできゃっきゃとはしゃぎ、その様子は寂しさからのぐずつきを欠片も見せない。そんなとてもいい子達に我が子ながら感動しそれぞれの頭を撫でると、途端天使の笑顔が返ってくる。
「はぁ~、楓真くんうちの子達本当に天使だね…」
「こんな天使を二人もこの世に産み落としたつかささんは大天使様ですね」
「はいはい親バカお二人さん行くよ~」
既に玄関の扉を開けて待つ楓珠さんに呼ばれ、慌てて行ってきますと手を振ると楓真くんにエスコートされながら楓珠さんの後を追う。
トヨさんとその両脇に立ち手を振るふぅくんつぅくん、その三人に見守られながら御門邸の前にとまる迎えのリムジンに乗り込むのだった。
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