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2【子育て日記】

2-13 お喋り-夜-(2)※

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 場所を変え体位を変え、もう何度目か――数える事はとっくにやめた。
 
 
 指も舌も彼自身も、楓真くんの全てが僕の中に入ってくる喜び。
 ゆっくりただその形を感じるのも、激しく中を掻き乱されるのも、どちらも狂いそうなほど気持ちが良かった。
 たとえ辛い体勢だとしても、正面から楓真くんを抱きしめて貫かれたい――そんな僕の想いを何年経とうが忘れずにいてくれる楓真くんの背中には、おそらく無数のキズを作ってしまっている。
 
 いつだったか、シャツを着る後ろ姿をぼぉっと眺めている時、ふと目に入った、肩口を中心に赤く染まる背中の爪痕。
 犯人は間違いなく自分。
 やってしまった罪悪感を感じながらおずおずと、痛くないのか聞いた時、一瞬きょとんとした楓真くんはすぐさまくしゃりと微笑むと、傷をつけてしまった原因の僕の手を愛おしそうに握り、いつも男の勲章を付けてくれるこの手に感謝です、と言われたことがあった。
 その時の楓真くんの表情が本当に、本当に―――
 
 
「んぅ、んっ…ふ…まく……」
「っ、」
 
 
 加減できないの宣言通り、おさまらない楓真くんの熱と同じくらい、僕もまた楓真くんが欲しかった。
 なのに、職場復帰を控えた今その精を直接受けることは叶わず、そこの理性だけはしっかり保った頑なな楓真くんの強い意志の元、薄いゴム越しの激しい逢瀬。
 何度目かの替えるタイミングで、理性はとっくに切れたどろどろの僕はとうとう楓真くんに泣きついていた。
 
 
「ね、ねぇ…ふ、まく…やだ、着けないで、ゴム、着けちゃやだぁ…」


 ここに直接欲しいのだと、アピールするように自分で拡げながら見せつける。


「っ、だぁめ、つかささん中に出したら絶対掻き出させてくれないでしょ?」
「……やだ」
 
 
 その場面を想像し、せっかく与えてくれた精が掻き出される悲しい気持ちに、脚をキュッと閉じ守るポーズをとる。
 そんな僕に頭を抱えた楓真くん。
 
 
「~~っかわいいで俺をっ殺さないでくださいっ」
「っ!ぁっん、あっぅ、」
 
 
 閉じていた脚をガバッと開かれ、卑猥な角度で見せつけるようにぐずぐずの僕をさらに快楽でぐずぐずにする。もうゴムが着いてるのか着いていないのかなんて考えられないくらいずっと良いところをドンピシャで擦られ続ける生き地獄。
 すぐに頭が真っ白になっても、その快楽は時計の短針がてっぺんを指す頃まで続いた。
 
 
 
 
「――っは、は…さすがにちょっと…休憩…つかささん大丈夫ですか」
「……ん、なんとか……生きてます」
 
 
 数時間ぶっ通しでの行為にお互い体力の限界を感じ、気づけばリビングのソファの上、覆い被さる楓真くんを見上げる形で力なく横たわり、脱力してくる彼を受け止めた。
 汗やそれ以外の液体でベタつくお互いにくすくす笑い合いながら「歳とったな…」なんてしみじみ呟く楓真くんにさらに笑い息が整うのを待っていると、突如微かに聞こえてくる声。一瞬気の所為かと思ったが、楓真くんも同じ方を気にしている。
 
 
「……なんか、声、聞こえません?」
「僕も…聞こえた……寝室?」
「やば、二人起きてきた!?」
 
 
 ガバッと上半身を起こし四方に散らばる服を集めると下半身から身につけて行く楓真くん。僕も動きたかったが、久しぶりの行為に、驚くほど下半身に力が入らなかった。
 
 
「つかささんは休んでてください俺見てきます」
「ごめんね…お願い」
 
 
 微笑みと共に頬をひと撫でし、寝室へ向かう楓真くんのまだシャツを着終わっていないガッシリとした後ろ姿。今夜もまたその広いキャンバスに鮮やかな赤が散っていた。
 
 
 
 
 
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