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2【動き出す思惑】
2-28呼び出しside楓真(2)
しおりを挟むそんな彼ら一人一人と目を合わせ、日々心強い人達に支えられているのだと実感する。やはり自分一人でできることには限界があり、闇雲にこの社内を探すには時間が勿体ない。ここは効率よく的確に場所を突き止め攻めに行くべき場面だった。
その為にも、過去つかささんが社内で巻き込まれた拉致監禁事件があってから、今後再び同じような事が万が一起きた時、即時解決に向けて防犯意識を高めた訓練対策は行っていた。
その成果が発揮される時がついに来てしまった。
起こりうる事柄を瞬時にシュミレーションし、最適なメンバーへ指示を振り分ける準備を数秒の間に完了させる。
「花ちゃん」
「うん、なんでも言って」
「社内の会議室の使用申請者リストの確認と、未申請で使用中の部屋が無いか、それぞれ当たって欲しい」
「了解」
「瀧川さん」
「監視カメラなら、ここを出た先輩たちの動きを既に追ってみてます」
「――ありがとうございます」
「松野さん、瀧川さんのサポートお願いします」
「承知いたしました。瀧川さん手伝います」
「すみません、先輩たちがエレベーターに乗り込んだところまでは確認できました。階数を追っているので各フロアのエレベーター出入口からお願いします」
「はい」
すぐに各々得意分野で的確な行動を取る秘書課メンバーに頼もしいの言葉しかでない。
常に父さんに教え込まれていた、上に立つ者は指示を出し報告を待て、これがいま正常に機能している。その光景を知弦さんも腕を組んで満足そうに眺めていた。
「おーおー俺の部下たちは優秀だなぁ」
「本当にそうですね」
「……ここは、お前も動けって言うところだぞ社長さんよ」
「確かに。でも、優秀でいい人たちに囲まれてつかささんが仕事できているんだなって実感します。……だからこそ、美樹は余計な異物を送り込んできた」
「だな。証拠なくして雇用云々を言うことは出来なかったが、今回のは決定打だわ」
珍しく厳しい口調で言う知弦さんに静かに頷く。
つかささんを無事取り戻したらすぐに他の異物も炙り出す。
この御門ホールディングスの中で異物はいらない。
そう、静かに決意を燃やしているときだった―――待ちに待った報せがとうとうやってきた。
「社長、見つけました。今から10分前です」
「こっちも、怪しい会議室絞れたよ。たっきーのと照らし合わせてみてもここで間違いなささそう。だけど、この会議室って……」
そう言葉を濁す花ちゃんの表情が意味する事を理解するのはパソコンに映る監視カメラの映像を見てすぐだった。
「――っ!」
つかささんの手を引き湖西が入って行く会議室――それは、よりによって例のつかささんにとって悪夢でしかない、あの会議室だった。
「……ッチ、くそっ…、すみませんみなさん協力ありがとうございました」
「あっ、楓真くん!」
確認するや否や今度こそ秘書課を一人飛び出していた。
息苦しいネクタイを緩めながらも足の速度は緩めない。何人かは後ろから追いかけてきてくれているだろうが待って一緒に行く余裕もない。
今はとにかく一秒でも早くつかささんの元に駆け付けあの悪夢の空間から救い出したかった。
「つかささんっ―――」
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