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4-15 闇オークション

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 屋敷の入口らしき門をくぐってからも暫く走り続けたのち、やっと停車した車から降りて見上げたその建物は、さっきまでいたオーナーの御屋敷とは比べ物にならないほど広くて豪華で大きな御屋敷だった。
 自分の語彙力のなさにビックリするほど今みている光景をうまく伝えることができない。とにかく、凄かった。
 
 ぽけぇっと見上げ放心状態だった僕の後ろからクスッと笑う男性の声に我に返り、気恥しい気持ちで咄嗟に俯いてしまうとそんな僕など気にする様子もなく包み込むように肩を抱かれた。ビクッと反応する間もなく、そのまま玄関ホールに向かって伸びる大階段を歩き出す。
 
 
「つかささん、ここが、これからあなたが住む家です。ようこそ御門家へ―――」
 
 
 隣に立つ男性の目配せひとつで、扉の前に控えていた男性二人がその重そうな玄関扉を両開きに開けていく。次第に目に飛び込んできたのは現実世界で生きる人が暮らすとは到底思えないほどどこを見回しても絢爛豪華な空間と、出迎えるようにズラっと並んだ男女混ざった十数人の使用人らしき人達。
 
 
『おかえりなさいませ楓真様』
 
 
 その人達が一斉に頭を下げる光景は、圧巻の一言だった。
 
 
 御門みかど 楓真ふうま―――おそらくこれがこの男性の名前
 
 
 大勢から敬われる扱いに慣れたそんな人が、僕を恭しく丁重に扱う矛盾。中へ行きましょう、という微笑みと共に肩を抱かれ続ける事に混乱しかなかった。
 
 
「楓真くん、おかえり」
 
 
 玄関ホールを入って真正面に存在する途中で二手に分かれる大きな階段から、一人の男性が降りてきた。遠目からでもこの空間にいる誰よりもこの人が一番上の人だ、と一瞬でわかる雰囲気。だけどもいざ目の前まで来て近くで見ると浮かべる表情と声が優しさに溢れている、と感じる不思議な人。
 
 
「ただいま帰りました、父さん」
「代わりに行ってもらっちゃってごめんねご苦労さま。それで、この子が?」
「はい。やっと、見つけました」
「そう」
 
 
 男性二人の視線が僕に集中する。
 改めて肌の露出が多い今の自分の格好に羞恥を覚え、肩からはおったままの男性のコートをキュッとかき抱いた。
 
 
「立ち話もなんだから、応接間へ。そこで座ってゆっくり話そう」
 
 
 右手側の廊下を指し示しそう提案する男性はすぐに使用人の人に温かい飲み物三人分持ってきて、と指示すると先頭切って歩き出す。どんどん先へ進んでしまうその人の後に続けばいいのか戸惑う僕を安心させるかのように再度微笑みを向けてくれるずっとそばにいてくれる男性。
 
 初めて来た知らない空間で今頼れるのは、この楓真と呼ばれる男性のみ。出会って間もないはずなのに、この人は大丈夫、と本能が告げていた。
 片時も離れたくないと無意識のうちに、接触する面積を増やすよう自ら近寄っていた。
 
 
 
 
 
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