【BL R18】欠陥Ωの淫らな記録

カニ蒲鉾

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4-7 闇オークション

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 ぼぉっと姿見の中の自分を眺めているといつの間にか後ろに立っていたオーナーに肩を抱かれる。
 姿見越しに目が合ったまま、耳元に寄せられた顔が僕へ言葉を吹き込んでいく。
 
 
「お前は一生、これから対面するご主人様の所有物だ。どういった用途でお前を落札したか我々は一切関与しない。精々捨てられないよう愛想を振りまきなさい」
「っ」
 
 
 さぁ、行こう。その言葉を合図に肩を抱かれたまま部屋の外へと連れ出される。
 
 まるで尾びれのような長い裾をヒラヒラはためかせながら暗い廊下をいくらか進んだ先、突如絢爛豪華な両開きの扉がその口を閉ざし正面に現れた。
 両脇にそれぞれ立つ黒服がオーナーへ黙礼すると目線で扉を開けるよう指示を出す。
 
 ギィィ…という音を立てゆっくり開く扉の先。
 
 その奥が少しずつ見え始めると扉同様豪華なソファセットが先に現れ、次第にそこに腰かける一人の男性の後ろ姿を確認することが出来た。
 
 
 肩を抱かれ部屋へ入室する。
 
 一向に振り返らない男性の後ろ姿がどんどん近づく度、胸の鼓動が壊れたかのように暴れだす。
 
 男性の向かいのソファへ座るため横を通り過ぎる時も、左側を歩くオーナーの影に被さりその姿をしっかり見ることはできなかった。
 
 
 その歩みもすぐに止まり、2人並んでソファの前へ立つのと同時に男性が立ち上がる動きを被ったベール越しにとらえる。
 
 
「御門様。この度は誠にありがとうございました」
「いえ、一目見た瞬間どうしても欲しくなりまして」
「さすが御門様。お目が高い。さ、こちらが商品になります」
「……」
 
 
 オーナーの分厚い手が腰に周り、一歩前へ押し出される。
 
 
 ここまでずっと俯いていた視界に男性のスーツの腕が現れ、ベールの端をそっと持ち上げていく。
 それを追うようにゆっくり視線を上げると男性の下半身、上半身、そして顔と対面する。
 
 
「―――っ」
 
 
 今まで見た誰よりも綺麗で整ったハンサムな男性。
 
 その顔にすっかり目を奪われ、まるで時が止まったかのようにお互い絡まる視線を外すことができなかった。
 
 
 目の前の男性の腕が持ち上がり、そっと頬に触れる指先が次第に包み込むような形で手のひらが這わされる。
 
 その瞬間、全身を電流が走った。
 
 
「――つかささん」
 
「っ!?」
 
 
 なぜ、この人は僕の名前を呼ぶのか……
 
 なぜ、愛おしそうに見つめてくるのか……
 
 
 なぜ、
 
 
 
「やっと…やっと……取り戻せた」
 
 
 
 なぜ、触られた箇所からじわじわと熱いものが広がっていくのか―――。
 
 
 何もかもわからない事だらけだった。
 
 
 
 
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