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1-1 玩具

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楓真(21)×つかさ(28)
 

 *****
 
 
 
 それは、ベッドルームの掃除中に見つけてしまったパンドラの箱。
 
 
 見て見ぬふりをしようにも既に蓋は開き、中のものが四方に散らばってしまった。
 
 それがどのような用途で使われるモノなのか知らないほど、無知ではない。
 
 だけど、一生縁のないモノだとは思っていた。
 
 
 今目の前に散らばるそれらは当然僕のモノでない。とすれば必然的に共に暮らす彼のモノという事で、7つも下の自分のパートナーはいつどこで誰に使うつもりだったのか……聞けば最後、自分の快楽より僕の快楽を100%優先する彼には絶対にこの話題を振ってはいけない。
 
 大変な目に遭うことは明白だった。
 
 
 音を聞き付けた彼がやって来る前に何事も無かったかのように綺麗さっぱり片付けなくては。
 
 
 そんな思いも虚しく、後方の扉が開く音がした。
 
 
「つかささん?大きな音がしたけど、大丈夫?」
「………」
「つかささん?何して――」
 
 
 掃除をしていたはずの恋人が、目を離した隙に色とりどりのSEX TOYいわゆる大人の玩具に囲まれ床に座り込む光景を楓真くんは一体どう思ったのだろうか……
 
 恐る恐るチラ見した彼はドン引いているのか、目を見開いたままなかなか口を開かない。
 いたたまれなさに泣いてしまいたい気持ちを必死に堪え、とにかくこれらを片付けようと近いものへ手を伸ばす。
 
 すると重ねるように伸びてくる楓真くんの手。
 
 そして、座り込む僕を後ろから包み込むように抱きしめると、握られた右手が目の前へ持ってこられる。その手にはピンクの卑猥な玩具。
 
 
「取引先の社長がこういう趣味で、俺も箱いっぱいに頂いてしまったんです。捨てるのもあれだからしまっておいたら……見つかっちゃいましたね」
 
 
 操られるままに、楓真くんと僕の親指がカチッと玩具のスイッチを押す。途端、ウィンウィンウィンという小さなモーター音と共に卑猥に振動する男性器を模したそれ。真昼間の明るい室内にアンマッチした存在にひっと声が漏れてしまう。離したいのに離させて貰えない。
 
 
「つかささん、想像した?」
 
 
 心臓の音が、モーター音よりもうるさく鳴り響いている。
 
 
「自分がこれで犯されるところ、想像しちゃった?」
 
 
 ひゅっ、と喉がなる。
 
 
「えっちだね」
「ぁ、っ……」
 
 
 耳元で囁くように吹き込まれたその一言が理性の箍を外してしまった。


 ダムが決壊したかのようにぶわりと、目に見えない何かが溢れ出る。
 
 
「は、フェロモンすご……」
「ふうま、くん……っは、ぁ……」
「すごくえっちでいい匂い」
「ん、」
 
 
 首筋をすんっと嗅がれフェロモン出せて偉いねと褒められるのが嬉しい。もっと褒めてもらいたくて、お山座りで立てた足が自然と逆ハの字型に開いていく。
 
 
「つかささんの小さくてかわいい下のお口にこんな物騒なモノをいきなりいれるなんて外道行為は……ちょっとお預けですね」
「あっ、」
 
 
 ウィンウィン震えるモノをズボンの上からグリと一度押し付けられ腰が甘く痺れてしまう。もっとして欲しい、そんな欲がふつふつ湧き上がる僕にはお構い無しに無情にも玩具のスイッチを消すと傍らに置いてしまう楓真くん。
 代わりに手に取ったのは丸い楕円形のコード付き小型ローター。
 それをまた楓真くんの手によって僕の手でも握らされ、反対の手がスイッチを入れた途端ウィィィィンと手の中で細かく震えだす。
 
 
 よりによって今日の僕の格好は掃除で汚れてもいいよう手軽なTシャツと緩いハーフパンツだった。
 
 
「つかささん、今これが弱です。どれくらいがお好きですか?」
 
 
 薄いTシャツの上から押し当てられるそれが、振動の強さを変えながら左のぷくっと主張する突起を何度も掠める。
 
 
「っぁ、や、強くし、ないで……」
「うーん、じゃあ中くらいですかね」
「んんんっ」
 
 
 満足したのか胸で確かめ終えると捕まった右手は下の方へ導かれる。
 既に息切れ状態の身体に力が入らない僕はされるがまま、動かすのは楓真くんなのに、僕の手が自ら動いているかのようにクルクル円を書きながら前から後ろと何往復も攻めていく。
 
 薄いハーフパンツ越しにも滲むくらい、じわりと布の色が変わっていた。
 
 
「わぁつかささん見て?布越しなのに、糸引いてる」
「っ、」
「直接だと、どうなっちゃうのかな」
「ひっ」
 
 
 一旦止まる振動。
 太ももの付け根まで捲れあがった無防備なハーフパンツの裾から侵入する玩具が、最後の砦の下着を容易にズラし、奥深くまで進んでいく。
 
 
「だめ、ふうまくん……やめ―――」
 
 
 
 つぷっ
 
 
 
 指より太い小さな玩具が楓真くんの指と僕の指に押され奥へ奥へと入っていく。
 
 
 
 
「あっ―――ぁ、ああっ」
 
 
 
 
 そしてとうとうそれはつぷんっと音を立て最後まで収まってしまった。
 
 
 
 
「―――っ」
 
 
 

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