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3【発情期】
3-18 番(3)※
しおりを挟む「くっそ、えろすぎ……っ」
「んぅっ」
確かに触れていたのは一本のみだった。
けれど、実際入ってきたのは、それ以上――
「あぁっ、んぅっあっぁ、」
二本のまとまった指が何度も何度もウェーブを描きながら出入りを繰り返し、溢れて止まらない愛液の水音をはしたなくかき鳴らす。
それをかき消す勢いで漏れてしまう自分の喘ぎ声をどうにかしたくて、なんとか右手の甲を口に当てたのもつかの間、すぐさま楓真くんの左手に捕まってしまった。
「っふ、まく……はなしてっ、ん」
「だぁめ、声、抑えないで」
「んぁっ」
ぐりっと強く押されるのと耳に舌が侵入してくるのがほぼ同時。ぐちゅぐちゅという卑猥な音がダイレクトで耳に響く。
「つかささんはこのプクってしたところが弱いですよね」
「あ、ぁ、ぁっ、だめ、そこばっか、だめ」
今までの激しい出入りが嘘のように狙いを定めた指はある一点ばかりをトントントンとタップする。きゅんきゅん疼く腹はそんな楓真くんの指をキツく締め上げ素直に快感を伝えていた。
「だめ、やめ……っ」
「ほんとにだめ?今つかささんすっごい気持ちよさそうに指締め付けてますよ」
「んぅぅ…」
言葉にされると余計そこを意識してしまい、全身を甘い痺れが駆け巡る。
「一回気持ちよくなっちゃいましょ」
「んぁっぁ、あっ―――っ、っ」
優しいタップだったそこへの愛撫が、快感だけを引き出す目的の言葉に言い表せない容赦のないものへ変わり、目の前がチカチカ点滅し出す。自然と腰が浮いてしまうくらい、痙攣が止まらない―――
体感では、イった。
それなのに、触れていなかった前の男性器から飛び出す物は何もなく、身体中に残る甘い痺れに後ろだけでいってしまったのだと、荒い息を必死に整えながらぼぉっと頭の片隅で客観的に感じていた。
「ふふ、気持ちよさそうなトロンって顔……かわいい」
「んっ……」
いつの間にか解放された腕は無防備に頭上に投げ出され、めくれ上がったシャツはピンッと主張するピンクの頂点を二つ外気に晒し、だらしない格好極まりない。
一瞬かぁっと羞恥に襲われるものの、楓真くんは気にした様子もなくいい子いい子と頭を撫でてくれるから、今は痺れが残るこの流れに身を任せてしまおう、そう思えた。
上から下へ頬を撫でていく楓真くんの手は、震える息を吐き出す唇を親指でぐにぐに弄んでいく。
しばらく外で遊んでいたそれがくちゅと中に入ってくると、舌で出迎え絡めて歓迎する。
そんな戯れに夢中になってる間に、気付けばズボンと下着が全て取り払われていた。
つい、ふるっと震えた身体を温めてくれるのか、空いた方の手が左脚の太ももを撫でさすり、ついでにその肌触りを楽しんでいく。そんな感触に擽ったく思いながらもされるがまま自由にさせていると不意に内ももに回った手が持ち上げるように片脚のみ大きく外側に開かれた。
ついさっきまで楓真くんの指が埋まっていたそこに、布越しでもわかるガチガチの楓真くんが擦り付けられる。
そんな光景を視界の端でまじまじと見つめてしまう。
すると、
どくん、どくん、と心臓の音とは別の、なにか熱いものが腹の底から這い上がってくる感じ―――
それは次第にどんどん膨れ上がっていく。
前も後ろもさっきの比ではないくらいじわぁと溢れ、楓真くんのズボンを濡らしていて……自分の身体なのにわけのわからない感覚に混乱する。
「待っ……な、んか、変……」
「っ!?つかささん、フェロモンが……」
「ぇ……」
突如口と鼻を覆い身体を起こす楓真くんを見上げた、次の瞬間、どくんっと一際大きく跳ねる心臓。
「っ!?」
まるで、目に見えないフェロモンが辺りに溢れ出す、そんな感覚……。
「ぁ、あ、あ、……」
ジワジワ高まる体温と上気する呼吸、それはまるで―――
発情期の症状だった。
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