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3【発情期】
3-17 番(2)※
しおりを挟む2人の涙でしょっぱいキスはなによりも優しく甘かった。
触れ合っただけの唇が離れていく感覚にゆっくり目を開け視線を上げると、熱の篭った目の楓真くんと真正面から視線がぶつかる。
雄だ―――そう、思った瞬間、
「っんぅ」
すぐさま再び塞がれる唇。
さっきまでの優しいキスが嘘のように何度も何度も角度を変え唇を食まれる。息を上げながら必死に応えていると不意に下唇を甘噛みされビクッと震えてしまった。
それがなんだか気恥ずかしく、薄く目を開けると、いつからそうしていたのか僕を見つめる楓真くんと唇を重ねたまま至近距離で目が合う。
「!?」
驚く僕にニヤリと笑った楓真くんはそのまま勢いにのり歯列を割って僕の中に入ってきた。
舌と舌がぐりゅと擦れ合う感触に、じんっと全身が甘く痺れる。ん、ん、とひっきりなしに声が漏れ、無我夢中で楓真くんに縋ってしまう。それに同調するように頭を抱く楓真くんの手もぐっと力が入るのを感じていた。
息が限界を迎える頃、最後にくちゅとひと吸いしてゆっくり離れていく舌がきらりと光る糸を引いて僕の中から出ていくのをぼぉっと目で追った。
「つかささん、フェロモン……濃くなった」
「ん……ふわふわ…する」
口の端を優しく拭われながら愛おしそうに見つめてくれる楓真くんの手にスリと擦り寄れば、いつの間にか掛け布団のシーツは剥がされベッドに乗り上げた楓真くんに押し倒される形で一瞬で視界が変わっていた。
天井と楓真くんをとろんと見上げる。
「体調……大丈夫ですか」
僕の脚を割りさくように身体を捩じ込ませた楓真くんがその体勢とは裏腹に、心配そうに顔色を伺ってくる。
「……うん、大丈夫」
「あの、俺、途中で止めれる自信無い、です……本当に大丈――っ」
大丈夫だと言うのに何度も確認してくる楓真くんの右腿にスリと自分の下半身を押し付け、大丈夫だから、と暗に伝える。
実際、ドキドキする心臓は痛いくらい早く暴れ狂っているがそれ以外は驚くくらい体調に変化はなかった。むしろじわじわと、身体の奥底から湧き上がる熱いものを早く解き放ちたい、そんな気持ちから自ら下半身を押し付けるという性的なアピールをしてしまう。
「っ、つかささん…煽らないで」
「ね、早く、楓真くん……っぁ」
ぐりぐりと自らの意思で擦り付けていたのとは違う動きが突如加わった途端、小さく漏れる声。
「マジでやばくなったら殴ってでも止めてください絶対に」
「うん、わかったから―――きて…?」
自ら着ていたシャツとズボンの中に手を入れ、楓真くんが欲しいと目で訴える。もう、必死だった。疼くそこを早く触って、埋めて、欲しくて―――
「っく…そ、」
「あっ!」
僕の両手を引き継ぐように伸ばされた両の手はそれぞれ左手は右胸に、右手はすでに濡れる性器に這わされる。そして……わざとタイミングをずらすかのように交互に愛撫が始まった。
胸の頂点をクリクリと人差し指でしごかれればすぐ後に頭をもたげはじめる頂点をぐりぐりと親指でしごかれる。
それが何度も連続で繰り返されるとひっきりなしに襲う快感の波が身体中を暴れ回っていた。
「んぅ、っぁ、は、ぁ、ぁっ」
「すご…つかささんずっとびくびくしてる」
「ん、ぁ、ふ、まく…下、寂し……」
ズボンと下着の中に潜る楓真くんの手首をそっと握り、そのままさらに下まで持っていく。大きく見開かれた楓真くんの目を見つめながら、その指が、もう随分前から存在を主張するかのようにひくつく穴に触れるよう、自ら導いた。
「―――ぁ、」
くちゅ、と聞こえた水音。
中指の腹がその入口に触れているのを感じながら、もっと深く触れてもらいたい、その一心で立てた両脚の膝を外側に向けるよう大きく広げていた。
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