【本編完結】欠陥Ωのシンデレラストーリー

カニ蒲鉾

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2【1泊2日の慰安旅行】

2-15 両想い(2)※

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「ふ、ふまくんそれ、もぅやだ」
 
 
 いつまで経っても広げる指は動かない。
 楓真くんの膝を跨いだ膝立ちと不自然な尻の高さを維持するためしなる背中。支える二本の腕がプルプル震えていた。
 少しでも腰の位置をずらすと、水中で僕のそれと楓真くんのそれの先端同士が触れ合いそうになる。だから、体勢を崩すわけにはいかなかった。
 
 
「ふうまく……っ」
「ん?」
 
 
 何度呼んでも右手は穴をむにぃと広げたまま、思い出したかのように左手が水面から出た背中にそっとお湯をかけ、上から下へすーっと撫でていく。
 
 
「ぁっ」
 
 
 その感覚にすらビクッと揺れる腰は一瞬怯み下げてしまう。途端、水中で楓真くんの先端と僕の先端がぷちゅ、と出会ってしまった。
 
 
「んぁっ」
「っ、」
 
 
 すぐに腰を持ち上げ離れたもののそれが合図となったのか、再び水面から出された尻の穴へとうとう指が挿入された。
 揃えた二本指がぐちゅぐちゅと僕の中を掻き回す。
 
 
「んぁ、ぁ、はっんん」
「つかささん、ここ外なので、もしかしたら聞こえちゃうかも」
「はっ、ぁ、なに、が」
 
 
「つかささんの喘ぎ声」
 
 
「―――っ、」
 
 
 反射的に楓真くんの首に両手を回し、首筋に顔を埋める。漏れ出て止まらない甘い声を楓真くんの首にぶつけた。
 
 
「んっんぅ、んんん――」
「俺、初めてはバックよりつかささんの顔が見える体位がいいんですけどつかささんはどっちがいいですか?」
 
 
 人の敏感な部分を好きに弄っておいて一人余裕そうな態度がムカつく。
 むくりと顔を上げると震える腰に力を入れ、噛み付くように唇を塞いだ。驚き引っ込む楓真くんの舌を追いかけ絡みつく。次第に楓真くんの舌が僕の動きに応じ始めた頃合でちゅっとひと吸いののち、離れてやった。
 
 唇と唇が触れ合いそうで触れ合わない、そんな距離。
 至近距離で見つめ合いながら、聞かれた問いに返事をした。
 
 
「このまま、いれて」
「っ、」
「ぁっ、」
 
 
 水面に出ていた腰を強く引かれ座る楓真くんの膝に乗り上げる。股の間に楓真くんの上半身が来ることで足が開き、穴も自然と開かれる。
 
 水中でぐにゅ、と当たる、穴以上の太さのモノ。
 
 いま初めて僕の穴と楓真くんの雄が触れ合っていた。
 
 
 時が止まったかのように両者とも動かない。
 ドッドッドッドッと心臓が破裂しそうな程暴れている。それは触れた楓真くんの左胸も同じだった。
 
 同じ高さの視線で見つめ合う。
 
 
「つかささん、いい、ですか……」
 
 
 さっきまでの余裕はどこにいったのか、慎重に確かめる楓真くん。
 そんな彼にふっと笑みが零れてしまった。
 
 
「……うん、きて、楓真くん」
 
 
 見つめあったまま、視界の端にコポリ、と浮かぶ水泡。楓真くんの雄がゆっくり、ゆっくりと、僕の中をこじ開けていった。
 
 
「ぁ、あ、はっ、くるし……」
「っ、つかささ――」
 
 
 お腹いっぱいに楓真くんで満たされる。激しく動くわけでもないのに、きゅんきゅんうねる腹の中。
 
 
「ぁ、はぁ、ん……ふ、まくんが、はいってる」
 
 
 下腹部を撫で、結合部にそっと手を伸ばす。楓真くんのそれが本当に僕の中を貫いていた。
 
 
「っく、あまり煽んないでくださいっ」
「っあ!」
 
 
 不意にずんっ!と下から強く突き上げられ、それに合わせバシャバシャ揺れる水面が僕の声を掻き消していく。
 浮力が動きに加速をつけ、容赦ない律動が繰り返される。
 
 
 限界は、すぐだった。
 
 
「ぁっあっあっん、だめ、いっちゃ――」
「は、はっ……つかささん、一旦抜いて外に」
「あっやだ抜かないでっっ」
 
 
 中から出ていこうとする楓真くんをきゅっと引き止める。
 
 
「!でも、中出しは」
「いい、大丈夫、だから、……中、だして」
「っは、―――責任は、取ります」
「んぅっ」
 
 
 一時の盛り上がった感情じゃない。
 本当に、この人との子ができてもいい、そう思っているから―――
 
 
 どちらからともなくキスを交し、2人同時に絶頂へ向かった。
 
 
 初めて好きな人との交わりで、好きな人の精をその身に受ける。
 
 
 絶望でしか無かったこの行為が、相手が違うだけでこんなにも幸せな事なんだと、涙が一筋頬をつたった。
 
 
 
 
 その後、何度したかわからない。
 
 
 露天風呂から上がり海を見下ろしながらの立ちバック、もつれ合うようにベッドへなだれ込みそのまま正常位に騎乗位に対面座位、とにかくあらゆる角度から楓真くんを感じた。
 
 お互いの体力が尽きるまで、離れていた年月を埋めるかのように、楓真くんの存在を何度も何度も僕の中に植え付け、僕はそれを全て受け止める。
 
 こぽり、と泡を立て尻から流れる粘液を愛おしく思った。
 
 
 
 
「早く番になりたい……」

 
 お互い全裸のまま並んでベッドへ寝転び海を眺めていた。
 後ろに感じる楓真くんの体温が心地よい。
 うとうとまどろみかけていた所にボソリと聞こえた言葉。一瞬聞き間違えかと思ったが、腰に回る腕がぎゅっと僕を抱きしめ、チョーカーを付けた項をはむはむ甘噛みされ、その言葉が楓真くんの口から出たモノと知る。
 
 
「発情期、いつだったかな……」
「!その時、一緒に過ごしてもらえますか」
「……僕1人で耐えないとダメなの?」
「まさか!!全身全霊かけて尽くさせていただきます!」
 
 
 ガバッと抱きつかれる勢いが大型犬。
 あははと笑いながら頭を撫でる。
 
 
 あんなにイヤでイヤで堪らなかった発情期が、初めて、待ち遠しいと思えた。
 
 
 もう、僕なんか、はやめる。
 
 楓真くんの番にふさわしく、笑って堂々と隣に立てるよう、下を向かず前を向いて。
 
 
 
「楓真くん、好き……おやすみなさい」
「~~~っつかささん大好きですいい夢見てくださいね」
 
 
 あなたに包まれ見る夢は、きっと幸せな夢に違いない。
 温かな体温に安心して意識を手放し、夢の中へと旅立った。
 
 
 
 
 
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