今日も推しに辿り着く前に嫉妬が激しい番に連れ戻されます

王妃の役目(1)

　前世の記憶を打ち明けてくれたラルドともっと積もる話をしたい。
　そう思う気持ちとは裏腹に、日々変わる体調の善し悪しの波はだいぶ激しかった。


　クオーツやラルド、マリンや老先生など、多くの人が昼夜付きっきりで対応してくれる。
　
　
　酷い時には水分すらろくに受けつけず、脱水寸前の状態までいき、点滴を打ってもらうこともしばしば。
　もはやそこまでくると申し訳ないと思う余裕すら生まれない。
　
　生きてるのがやっと、そんな毎日を過ごしていた。
　
　
　
　しかし、いつまで続くかわからない辛い日々も、徐々に良くなっていく兆しが見えていた。
　
　
　
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「ふむ、よいですな経過も順調です。最近食欲の方はどうです？」
「だいぶ食べれるようになってきました。前より気持ち悪くなる頻度も落ち着いてきた気がします」
「よきよき。そろそろ安定してきた頃かのぅ。気分転換がてら無理のない程度に体も動かしつつ、まだ油断はせずお過ごしくださいな」
「はい、気を付けます」
　
　
　白いモジャモジャの毛に埋もれ、ほぼ見えない目を細めて笑う老先生に釣られてこちらも笑顔になる。
　
　無事検診の花丸をもらい、出していたお腹を仕舞いながら上機嫌で鼻歌まで歌ってると、そばに控えていたマリンに「よかったですねぇ」と笑われた。

　
　窓からさしこむ太陽の光が気持ちいい。

　
　そのまま横にはならず枕に背中を預け足を伸ばして座ると、順調に元気に育っている子を愛でるよう、お腹をさすさす撫でる。
　気付けばお腹を撫でるのが最近の癖になっていた。
　
　
「ラズ、検診お疲れ様」
「クオーツ！そっちもお疲れ～」
「陛下それでは私は失礼致します。何かございましたらお呼びください」
「ありがとう」
　
　
　老先生と入れ替わるようにして、丁度朝会議を終え戻ってきたクオーツがベッドへ近寄ってくる。マリンもそのタイミングでお茶を淹れると席を外し、部屋には二人きりになった。
　
　ベッドの端に腰掛け、すかさず伸びてくるクオーツの手を受け止める。頭、頬、肩、お腹と順々に撫でる手とそれに付随する表情やフェロモンの甘さたるや……糖分過多で老先生から厳重注意が出てしまいそうだ。
　
　
「なぁに、その顔」
「うげぇ……甘々フェロモン出過ぎ」
「ごめんごめん、元気そうなラズの顔が見れたら嬉しくてつい」
「……」
　
　
　さらっとそういう事を言われるが、照れくさくてぷいっとしてしまうのは何年経っても変わらない。
　クオーツもクオーツでわかっていながらやっている節があるからタチが悪い。
　

　じとーっと睨んでいるとこれまたわざとらしく話を変えようとするクオーツに肩を竦めふんっと鼻を鳴らした。