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※運命の番VSブラコン(5)sideクオーツ
しおりを挟む酔いで全身ふにゃふにゃだった身体のどこからそんな力が――と驚くほど、突如身体を起こしたラズにそのまま押し倒され、気付けばすっかり立場が逆転していた。
さっきまでは寝転がるラズを見下ろしていたはずが、今は逆に自分が背中を絨毯につけ上にまたがるラズに見下ろされている。
「……わぁ」
「ふんっ」
喉のそこまで出かかった「わぁ絶景」という感嘆をギリギリで呑み込み、ぱちぱちと瞬きを繰り返す私が心底驚いているのだと思ったのか、さぞご満悦の表情を向けてくる。
かわいいなぁ……。
「僕がする、じっとしてろ」
「ラズがしてくれるの?」
「ん」
身体を少し動かそうものならすぐさまシャーっと威嚇する猫のように手だし無用!と注意され、はぁいと素直に従うと、中途半端に伸ばしていた両手をラズの腰に添え、あとは本当にされるがまま見物を決め込んだ。
「んぅ、っふ、んん―――」
「っは…」
ラズが跳ねるたび、シャラシャラ揺れ動く装飾品。
いくら目に焼き付ける程見ても、見る度に新鮮味と刺激的な印象を与える踊り子の衣装を身につけたラズが、顔を赤らめながら一生懸命自ら絶頂を極めようとする姿はなんとも―――堪らない。
今にもその細腰を強く掴んでは容赦なく下から突き上げたい衝動を必死に堪え、今夜は約束通り手は出さず我慢する。
きっと明日、キミは目覚めた瞬間この状況を思い出して怒り狂うのだろう。
もしくは綺麗さっぱり記憶が無いかもしれない。
―――まぁ、正直どちらでも構わない。
酒に酔い正常な状態ではなかったとしても、ちゃんと番である私を求めてくれたという事実が最高に喜ばしい。
そんなラズへの愛おしい気持ちを募らせながらゆっくりゆっくりラズのペースで夜の営みを楽しんだ。
*****
―――翌朝。
「っう~~~頭痛いよぉ…腰も痛いよぉ……なんで…昨日何があった…全然覚えてないよぉ……」
「おはよ、辛そうだね。でも、ラズの自業自得だよ」
「うぅぅ……痛いぃぃっ」
案の定、起きて全ての記憶を飛ばしていたラズは全身の痛みを訴えながらその日は丸一日ベッドから出ることができない状態だった。
もちろん、お兄様方の来訪も薄らとしか記憶に残っておらず、昨夜自分が着ていた踊り子の衣装を見せるとその趣味の悪さに「兄様たち…相変わらずだね…」とボソリと呟くと、無言で布団の中へと戻って行く。
こんもりできあがる布団のお山。
そんな姿を見守りながら、つい哀れなブラコンへのほくそ笑みが漏れていたらしい、支度にやって来たマリンに「ダダ漏れですよ」と朝から注意されたのだった。
「うぅぅ…水ぅ~…」
「はいはい、ゆっくりおやすみ」
運命の番VSブラコン -END-
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