37 / 125
※一泊二日の遠征(13)
しおりを挟むクオーツの瞳は得体の知れないなにか不思議な力を持っているのではないかとつくづく思う。
頬を優しく撫でられながら、真っ直ぐ僕を見据える両の視線を見つめていると次第に靄がかかったかのようにぼーっと意識がふわふわしだし、重くなる瞳は再び僕から思考能力を奪っていく。
「ねぇ?さっきはラズ一人で気持ちよくなってずるいなぁ、ラズもそう思うよね?」
「……一人で気持ちよくなって、ごめん…なさい…」
「!?ラズ…様…?」
「ふふ、いいんだよ。さぁ、後ろを向いて。こちらによく見えるように腰を上げて。うん、いい子。今度は一緒に気持ちよくなろう――」
「あ……」
それはまるで操り人形。
言われるがまま勝手に動く身体は180度向きを変え、風呂の縁に手を付きクオーツに腰を突き出すポーズを取る僕のぬるりと濡れた入口を、指とは違う熱く固いものが刺激する。
触れては離れ、再びくちゅっと触れたかと思えば入口の浅いところをぐちゅぐちゅ押されもどかしい。
「ぁ、あ……」
「ふふ、腰動いてる。ちょっと挿れる度にちゅって吸い付いてくれてるね」
「や、やぁ、ぁっ、クオ…ツ、手ちから…入らな……」
「ん?あぁ、手がガクガクしちゃってる。体勢きつかったね気付かなくてごめんね。いいよ、それじゃあ…ラルドに掴まりな」
「っ、クオーツ様、それは」
「ラルド、命令だラズを支えていろ」
「……は」
今にも崩れ落ちそうな不安定な体勢を立て直すため、無我夢中で目の前のがっしりとした存在に手を伸ばせばしっかりと抱きとめられる。
包み込まれるように支えられホッとした次の瞬間、掴まれていた腰の最奥に一気にねじ込まれる強い衝撃に一瞬息が止まった。
「―――っ」
目の前がチカチカし、は、は、と上手く息を吸えない間にも、容赦ない抽挿が僕を襲う。
「あっぁ、んっんぁぅふぁ、あ、」
「どうだいラズ。私とのセックスをラルドに見られている感想は」
「や、やぁだぁぁ、見な…で、んっ、ラル…ドさま、おねが、見ないで――あぁっ」
「っ、ラズ…様」
何かを堪えるような、そんな切ない声で僕を呼んだ気がするのは気のせいだろうか。
わからない……
頭がふわふわして今はなにも、考えられない。
「あぁ、でも、ラルドの名前ばかり呼ばれると妬けちゃうな…今ラズを抱いてるのは誰?」
「んぁっ……は、は…ばか、クオー…ツ―――」
「正解」
「あっ!!」
ガクガク震える脚はろくに自分の力で立つこともままならず、クオーツとラルド様、前後支えられるがまま迎えた二度目の絶頂は最奥に叩きつけられるクオーツの精を受け止めながら意識までも手放していた。
730
お気に入りに追加
2,286
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
国王の嫁って意外と面倒ですね。
榎本 ぬこ
BL
一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。
愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。
他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる