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※一泊二日の遠征(13)

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 クオーツの瞳は得体の知れないなにか不思議な力を持っているのではないかとつくづく思う。
 
 
 頬を優しく撫でられながら、真っ直ぐ僕を見据える両の視線を見つめていると次第に靄がかかったかのようにぼーっと意識がふわふわしだし、重くなる瞳は再び僕から思考能力を奪っていく。
 
 
「ねぇ?さっきはラズ一人で気持ちよくなってずるいなぁ、ラズもそう思うよね?」
「……一人で気持ちよくなって、ごめん…なさい…」
「!?ラズ…様…?」
「ふふ、いいんだよ。さぁ、後ろを向いて。こちらによく見えるように腰を上げて。うん、いい子。今度は一緒に気持ちよくなろう――」
「あ……」
 
 
 それはまるで操り人形。
 
 言われるがまま勝手に動く身体は180度向きを変え、風呂の縁に手を付きクオーツに腰を突き出すポーズを取る僕のぬるりと濡れた入口を、指とは違う熱く固いものが刺激する。
 触れては離れ、再びくちゅっと触れたかと思えば入口の浅いところをぐちゅぐちゅ押されもどかしい。
 
 
「ぁ、あ……」
「ふふ、腰動いてる。ちょっと挿れる度にちゅって吸い付いてくれてるね」
「や、やぁ、ぁっ、クオ…ツ、手ちから…入らな……」
「ん?あぁ、手がガクガクしちゃってる。体勢きつかったね気付かなくてごめんね。いいよ、それじゃあ…ラルドに掴まりな」
「っ、クオーツ様、それは」
「ラルド、命令だラズを支えていろ」
「……は」
 
 
 今にも崩れ落ちそうな不安定な体勢を立て直すため、無我夢中で目の前のがっしりとした存在に手を伸ばせばしっかりと抱きとめられる。
 包み込まれるように支えられホッとした次の瞬間、掴まれていた腰の最奥に一気にねじ込まれる強い衝撃に一瞬息が止まった。
 
 
「―――っ」
 
 
 目の前がチカチカし、は、は、と上手く息を吸えない間にも、容赦ない抽挿が僕を襲う。

 
「あっぁ、んっんぁぅふぁ、あ、」
「どうだいラズ。私とのセックスをラルドに見られている感想は」
「や、やぁだぁぁ、見な…で、んっ、ラル…ドさま、おねが、見ないで――あぁっ」
「っ、ラズ…様」
 
 
 何かを堪えるような、そんな切ない声で僕を呼んだ気がするのは気のせいだろうか。
 わからない……
 頭がふわふわして今はなにも、考えられない。
 
 
「あぁ、でも、ラルドの名前ばかり呼ばれると妬けちゃうな…今ラズを抱いてるのは誰?」
「んぁっ……は、は…ばか、クオー…ツ―――」
 
 
「正解」
「あっ!!」
 
 
 ガクガク震える脚はろくに自分の力で立つこともままならず、クオーツとラルド様、前後支えられるがまま迎えた二度目の絶頂は最奥に叩きつけられるクオーツの精を受け止めながら意識までも手放していた。
 
 
 
 
 
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