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※一泊二日の遠征(7)

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 ぴちゃぴちゃと卑猥な水音がテント内に木霊する。
 
 執拗に舌を絡められ、触れられてもない下半身がじんっと疼く快感にはふはふ息が上がりかけていると不意にクオーツの冷たい手がシャツの中へと入り込み、肌に直接触れてくる。
 
 
「ひゃぅっ」
 
 
 全身が火照っているせいか、より敏感に反応してしまった。
 
 
「ふふ、かわいい声。もっと聞かせて?」
「う…るせぇ…」
 
 
 おそらく顔まで真っ赤なんだろうなと自分でもわかるほど頬が火照り、抵抗の意思を込めてクオーツを睨むものの視界が滲んでよく見えない。
 
 
 ……正直、やばい。
 このままじゃ理性が、吹き飛びそう。
 
 
 少しでも気を抜けば自ら腰を擦り寄せ快感を求めに行ってしまいそうで、必死に抑え込んでいるというのに、そんな自分とは反対に涼しい顔で僕を見下ろしこの状況を心底楽しんでいるように見える目の前のにっくき男をぐぬぬっと睨むが、煽ってる?と捉えられ逆効果。もういっその事、残りわずかギリギリの理性を手放して楽になりたい――そう本気で思ったその時だった。
 
 
「へ、陛下!夕餉のご用意が整いました!」
 
 
 テントの外からかけられた若い騎士団員の上擦った声にビクッと硬直するが、同じく動きが止まったクオーツの一瞬を奇跡的にも見逃さなかった。
 目にも止まらぬ早さでゴロゴロっと転がり出ると見事クオーツの腕の中から抜け出すことに成功した。
 しかし、安心するにはまだ早い。
 この短時間でどうしてこんなに!?と驚くほど乱れたシャツを丁寧に直してる余裕はもちろん無く、適当に手繰り寄せるだけ手繰り寄せ、ろくに自分の状況を確認することなくベッドから飛び降りると、クオーツの制止の声も無視して一目散に外に飛び出した。
 
 
「っ、ラズ様!?」
 
 
 まず一番に対面したのは呼びに来た若い騎士団員。
 飛び出てきた僕にびっくりしたのかと思いきや、何故かそれ以上にギョッと目を見開き硬直される。
 
 
「え、え…、なに、なんか変…?」
 
「ラズ様!」
「へ―――」
 
 
 なにっなんで、と戸惑いキョロキョロ視線を彷徨わせていると、突如よく通る鋭い声で名前を呼ばれた。
 次から次へとなに、と更にパニックに陥りかけた瞬間、頭から布のようなものでふわりと覆われ、目の前はシャツの上からでもわかる立派な胸筋で塞がれた。
 
 
「!?!?」
「ラズ様、テントの中へお戻りください。今のあなたは団員たちの目の毒です」
「ら、ラルド…様…?」
 
 
 まったくもってお顔は見えないが、いま間違いなく僕はラルド様の胸筋に埋もれてます。
 
 ヘブン―――!!!
 
 
「はっ、はふっ、ひへっ」
「ら、ラズ様…?」
「―――ラルド。ご苦労さま、そのまま引き受けるからこちらに寄越して」
「……は」
 
 
 ぷしゅぷしゅ色んなところから煙を上げ、よもや過呼吸になる寸前レベルで狂ったように吸って吐いてを繰り返していたところ、いつの間にかテントから出てきていたクオーツに布ごと回収されていた。
 

 
 
 
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