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第187話 第一の遺跡・ゴードラス遺跡攻略戦2:血の魔人との戦い
しおりを挟む「こ、これは」
「おっと、そこまでだ貴様ら」
部屋に入ったハーネイトたちの前に立ちはだかる、見慣れない格好をした2人の男性が武器を構えここから立ち去るように命じる。2人とも赤黒いコートを羽織っており、それぞれハルバードのような武器を片手に奥に続く道を塞いでいた。
「誰だ」
「俺はここの防衛を任されている者だ」
「こ奴、古代人じゃな」
「いかにも、っ!お前らも、我と同族が何人かいるな」
「そうじゃが、邪魔をするなら容赦せぬぞ」
「っ、まさかと思ったが、貴方はソードカイザー・ミロク!それにスプリィーテス! 」
「ほう、知って居ったか」
目の前にいる、特徴的な民族衣装とガントレットを身に着けた白髪の男は、ミロクとヴラディミールを見てかなり驚いていた。まだ生きていたのか、と言わんばかりの反応にボガーたちはどれだけ2人が長生きしているのだろうかと疑問に思う。
「今なら、引けば追うことはせぬぞ」
「くっ、この2人、いや、もう1人危険な奴がいる。相手にして勝てねえ。悪いが引かせてもら……ごはっ!」
「おっと、門番が仕事放棄とは大草原不可避ですなあ、ハハハハハ」
門番たちは歴戦の猛者であるミロクたちを見てたじろぐが、その背後から首筋に一撃を入れて茶色の長い髪を揺らしながら背丈の高い細身の男がハーネイトたちの前に現れる。
胸元にDGの紋章が描かれた白衣を着ており、どうも彼らはこの遺跡に眠る何かを狙いに潜っていたようである。
「フフフ、この力、いつだれに使おうか悩んでいたがお前らに使ってやろう」
「なっ、全員下がって!こいつ血の魔人に憑りつかれている!」
「確かにこれは、あの魔人たちに憑りつかれているな」
するとハーネイトは彼の様子を見て間合いを取りながら全員に自分より前に出るなと指示を出す。その表情を察したサイン達も今一状況を理解できないエレクトリールたちに部屋の外に出るように命じ防御系の魔法を唱える。
「紅儡になっているけど、状態は血鬼体。ハーネイト様どういたしましょうか」
「悪いがステージ2の後半だ。治療できない以上、再葬(デフュネライユ)しかないぞ」
「再葬(デフュネライユ)?」
「血の魔人って、かつて2億人以上の命を約半月で奪った、血の災厄を起こしたあれかよ」
「紅儡という生物兵器を生み出す存在、謎が多すぎるが……ともかくやるぜ相棒! 」
「言われなくてもなヴァン!! 」
そう、ハーネイトを初めとした直属の部下はある戦争を生き抜いており、それゆえにある脅威を見抜くのが嫌でも得意になっていた。
それはかつて血の厄災と呼ばれる血の魔人という存在が起こした大事件であり、多くの命を奪っていく異形の存在とハーネイトたちは激闘の末辛勝した過去がある。
「な、何なのそれ」
「知らない者は後で話をする。今はまず遺跡から早く逃げて!再葬してでも、此処で食い止める。でないと、皆を危険に晒すことになるから」
「せや、もたもたしとると内側から醸されて操り人形コースやで!ワイらがどうにかしたるけはよ逃げや」
しかしそんな戦争を知らない者たちも数多く、急いで殆どの仲間を逃がしたハーネイトは龍の力を引き出し臨戦態勢に入る。
血の魔人の恐ろしい点と言えば、ノーモーションで対象を紅儡という操り人形にして乗っ取り襲ってくるという能力と血海による汚染領域の形成が挙げられる。
「全く、こんな所にもいたなんて」
すると少し後方にいたエヴィラも合流し、茶髪の男が紅儡の依代であることを確認し手にしていた傘剣・ブランダルを構える。
「エヴィラか、助かったぞ」
「まあね!ってことで引導を渡してあげるわよ」
「な、お前はあの時死んだはずの」
「生きているわよ!あんなお化けみたいな龍に操られやがって、私が全員目を覚まさせてやるわ。どいつもこいつも、いい加減にしなさいっ!守るべきはずだったものを守れずになんてふがいない、ああ……それは私もだけど、だからぁ! 」
勝負はあっという間だった。エヴィラの持つ傘剣の先端から放たれた紅いエネルギーが紅儡を射抜き、一撃で致命傷を与え倒したからである。
エヴィラは悲し気に憑りつかれた古代人、つまりサイン達と同じ世代に生まれた存在を弔った後、遺跡内部が崩壊しかかっていると言い全員逃げるように指示を出し、無事に脱出したのであった。
「取り合えず全員無事、だな」
「師匠のおかげっすよ。しかし血の魔人、か。まだいたのか」
「血の災厄を生き抜いたわし等も驚いたわい」
「血の魔人、か。相も変わらず厄介な相手じゃ。昔から稀にそういう存在が出ては事件を起こしておったが、やはり秘密がいくつかありそうじゃな」
「って、ミロクって言ってたわね。貴方も血の魔人の気配をどこかで感じるのだけどどういう事かしらね」
「知らん、どういう言いがかりじゃ小娘が」
「っ、そんな言い方はないでしょう?でも、どこかであのお方の気を感じるのは何故かしら、ルベオラの友人……まさかね」
それからミロクたちはハーネイトと共にまた恐ろしい事件が既に起きているのではと考え考察していた。古代人が血の魔人に操られているなら大問題であり、DG戦争以上の脅威がこの星に襲い掛かるといっても過言ではないからである。
またエヴィラは、前から感じていたミロクのただならぬ気に動揺していた。それはもう一人探している存在がおり、それにどこかで似ていたからである。
「まあまあ、取り合えず一旦戻りましょう。ってあの、本当にあれ何なんですか?」
「血の魔人、かつて血災というのを起こした最強最悪の怪物集団、と言えばいいですかな」
ハーネイトたちは遺跡の外に止めてあったベイリックスに戻ると、全員いるか確認してからエレクトリールやサイシアたちに昔起きた血の災厄戦争について話をし、彼らの辛い表情を見てどれだけそれが過酷だったのかを察したのであった。
「しかしよ、あの連中に技術を取られないように動くのは分かる。だがスプリィーテスさんよ、装置を集めてどうするつもりだ?」
「各遺跡に隠された装置の部品をすべて組み合わせれば、ある装置が出来上がる。ただ、その詳細は儂も深くは知らん。だが、ある空間の扉を開けることができるという」
「まさか、次元融合装置? 」
「ほう、それに近いが、より強力な代物だ」
「何だって?そんな装置があるのか? 」
「有無、それを使えばいつでもあの領域に移動できる、いや、ほかの世界にもつながる門が作れるだろう」
「そういうものがあるのですか。……そういえばミタカはほかの世界でもあの紅儡を操る存在がいるようなことを言っていたが、そうなるとな」
それから話は移り、スプリィーテスは無事に遺跡内にあった必要な装置の部品の1つを騒動に紛れ回収していたことを話しそれを見せ、もし真実を知りたいならもう一度力をつけてソラに会いに行き戦いを申し込むべきだとハーネイトにアドバイスをする。
それを聞いた彼は少しの間考え、もしかするとほかの世界にも先ほど戦った魔人がおり被害を出しているかもしれないと考えていた。そうなるとどうするべきか、そこからもあの血の魔人が襲ってきたらと思うと怖くなり改めて戦いに臨む姿勢を改めないといけないと考えつつ全員いるか点呼したのであった。
「さあ、残りの遺跡の調査とDG残党こと、武器商人たちの捜索及び拘束を同時に行うぞ」
「いよいよか、俺らも全力で事に当たるぜ」
「血の魔人が再び動き出したなら、覚悟しないといけないな」
「ええ、その時はいつまでもどこまでもお供いたしますわハーネイト様」
「ではここを出発するぞ、忘れ物はないか?」
その後全員を調べ、血の魔人による影響を受けていないことが分かった後数時間かけて元の拠点まで移動し、各自次の作戦が始まるまで自由に動き羽を休めていたのであった。
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