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46: お出かけする二人の少年の話 18
しおりを挟む「ん……はぁ……」
口づけの合間に、息がこぼれる。
ほんの少し触れ合わせるだけのつもりだったのに、気付けば薄く開いた唇を割って、レステラーの熱い舌が差し込まれ、ツァイトの口腔内を愛撫してくる。
何度口づけを交わしても気恥ずかしさが抜けなくて、目を開けてはいられないけれど、嫌悪する気持ちは不思議と湧いてこない。
逆にもっとと求める気持ちが強くなってしまう。
いつの間にか自由になっている両腕を、レステラーに向かってゆっくりと伸ばす。
少年だった身体が大人の身体へと成長しても、それでもレステラーとの身長差はまだかなりある。
成長した身体よりも頭一つ分は高いその身長差を埋めようと、ツァイトは爪先を伸ばし、軽く身をかがめてくれているレステラーの首に、自由になった両腕を絡め、懸命に口づけにこたえた。
舌を絡ませ合い、何度も角度を変えて互いに唇を貪り合う。
「んっ、あ、あっ」
上着の裾をたくし上げられ、忍んできたレステラーの指が直接ツァイトの肌に触れる。
その指が、ふいに乳首をくにっとこねた。
途端に甘いしびれが背筋を駆け抜け、ツァイトの口から高い声が漏れる。
たまらずレステラーの首に回している手が、肩口の服をぎゅっと握った。
「あ、や、レスタ……っ」
レステラーの唇が首筋を這い、ときおり軽く噛んだかと思うと、舌でねっとりと舐められ、ぞくぞくとした震えが身体全体に広がる。
無意識に口から出る喘ぎ声を抑えられない。
ツァイトの両乳首を、レステラーの指が悪戯をしかけるように、親指と人差し指で摘まむ。
そうかと思えば指の腹で押しつぶすように刺激する。
浴室内に反響する自分の艶めいた声が耳まで届き、ツァイトは頬を赤らめ、一層レステラーの首に縋りついた。
「レ、レスター……んっ、だめだって……」
「ん?」
「れすたぁ……」
レステラーに触れられるたびに下腹部に熱が溜まる。
快感に流されつつも、頭の隅で冷静な自分が待ったをかける。
自然と浮かぶ涙で潤んだ瞳で、至近距離にある紅い目を見ながらツァイトがレステラーの名を呼ぶ。
「だめって、なにが?」
「だっ、て……そ、外……」
浴室の外には女官たちがいて、彼女たちは自分たちの為に食事の用意をしてくれている。
きっと今ごろは用意も終わっていて、二人が浴室から出てくるのを今か今かと待っているに違いない。
さっさと湯を浴びて、汚れを落として出なければ、彼女たちに迷惑をかけてしまう。
それなのに、自分たちは湯も浴びずに、ましてや服も脱がずに中途半端に肌蹴た状態で何をしようとしているのか。
「気にすんな。いい子だからそのまま可愛い声で啼いとけ」
「レスタ……、だめ、あ、ああっ……」
乱れる息の合間から、ツァイトは必死に声を出しているというのに、レステラーは余裕そのものだ。
ツァイトの耳朶に軽く歯をたてた隙に、レステラーの右手が乳首を離れ、腰紐を緩めた下衣の中へと潜り込む。
彼の長い指が、軽く頭をもたげていたツァイトの性器へと絡みつく。
「もうぐちょぐちょじゃねぇか」
「や、ばか……っ、だめだって……あ、んっ」
レステラーを責める声はあっけなく喘ぎ声に変わってしまう。
性器の先端を親指の腹で擦られ、ツァイトの腰がひくんと揺れた。
ときおりきつく吸い痕を柔肌に残しながら、首筋を辿って降りて来たレステラーの唇が、いつの間にか寛げられた胸元にある小さく慎ましやかな突起を銜える。
「んんっ!」
固く尖ったそれを口に含んで熱い舌で刺激し、軽く歯を立てる。
もう片方は、レステラーの左手がくにくにと柔らかく揉んだ。
「あ、あっ、や……!」
あふれ出た蜜で濡れた手で性器を扱かれ、両方の乳首を攻められ、得もいわれぬ甘い痺れがツァイトの背筋を走る。
堪らずツァイトは背を仰け反らした。
下腹部に溜まる熱を出したいという欲求がツァイトの頭を占める。
しかし、レステラーが突然、ツァイトの性器を弄る手を止め、ぎゅっと根元を握り込んできた。
「やぁ……なんで、レスター……」
今にも出そうなのにどうして邪魔をするのか。
頬をうっすらと赤く染め、涙をにじませながら、非難がましい目で少し位置が下がったレステラーの顔を見た。
軽く息を弾ませて、蕩けた表情でレステラーを睨んでも逆効果だ。
「イきたい?」
ツァイトを挑発するように、レステラーが口角を上げて笑み、ゆっくりと己の唇を舐めた。
この期に及んで意地悪な質問を投げかけてくる男が恨めしい。
我慢もすでに限界に近い。
意地を張ってこのままの状態でいるよりも、素直になった方がいいに決まっている。
ツァイトは唇をわずかに噛みしめて、小さく頷いた。
どんな些細な変化も見逃さない男は、ツァイトが素直に頷いたのを見ると、気を良くして小さく笑みを浮かべた。
ツァイトの性器を握っている手はそのままに、胸を弄っていた手を外し、その手でツァイトの下衣を寛げ、下着ごとずり落とす。
そして躊躇いもなく、レステラーはツァイトの前に跪いた。
「……えっ、ちょ……っ!」
ツァイトの戸惑いを余所に、蜜があふれる先端を軽く舌先で舐めた後、レステラーはそのままそれを口に含んだ。
くびれの部分を舌でなぞって刺激して、握って止めていた竿の部分を強弱をつけて指で扱いてやると、ツァイトの腰がびくんと揺れた。
「ちょっ、まってっ、レス、あ、あっ!」
突然襲って来た強烈な刺激に、ツァイトの頭が真っ白になる。
とてもではないがこの状況が信じられない。
レステラーが。
種族は違えど魔族の王である男が、自分の前に膝をつき、なおかつツァイトのモノを口にくわえている。
魔族の中でも最上級の男に奉仕させ、それを与えられている平凡な人間の自分。
そんなことを想像するだけで、ものすごく背徳的なことをしているような気がして、背筋がぞくぞくと震えた。
しかも、いつの間にやらレステラーの右手がツァイトの後ろへと移動し、ツァイトの蜜とレステラーの唾液で濡れた長い指を後孔へと挿入してきた。
幾度となく抱かれ、慣れた後ろは、レステラーの指を拒まない。
慎ましやかに閉じていた後孔は、少しの刺激で口を開き始める。
「あっ、ん、だめ……っ、レス、ター……あ、ああっ」
ゆるゆると動かされ、少しずつ指が中へと差し込まれる。
いつの間にか増やされた指で、中の感じる場所をとんとんと刺激される。
「ん、んんっ!」
前を舌と口で刺激しながら、後ろを中で指を折り曲げられて内壁を擦られると、一気に射精感がこみ上げてくる。
背中を丸め、ぎゅっと目を閉じて、与えられる快感だけを追う。
先ほどまでレステラーの首にあった両手は、今は彼の艶やかな黒髪に絡まっている。
声が抑えられない。
ガクガクと下肢が震える。
「あ、も……もう……やあ、ん……あ、あっ!」
後孔に入っている指が、中の一番感じる部分を刺激すると、途端にびりびりと電流が走ったように快感に襲われ、ツァイトは一際高い声を出して達した。
まるで全力疾走でもしたかのように息が苦しい。
崩れ落ちそうになるツァイトの身体を、立ち上がったレステラーがその腕で支えた。
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