君と僕と先輩と後輩と部長とあの子と宇宙人とメイドとその他大勢の日常

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先輩と警察

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「この変態が!!」

「だから誤解だって言ってますよね!?」

「では何故あんな美少年に女装をさせて散歩なんてしていたんだ!」

「それはアイツには借りがあってそれを返すって言ったら犬にしてくれって言ったからですって」

「意味が分からん、つまり貴様はあんな美少年が女装趣味でペットにされたい願望があり、その飼い主として貴様みたいな目付きの悪い冴えない男を選んだと? そんな訳あるか!」

「おい! 警察だからって言っていい事と悪い事があるぞ! いま目付きの話は関係ないだろうが!」

「気に食わんな、貴様、犯罪者予備軍の癖に自らがホモだと言うことを認めないのか」

「……はい?」

「貴様は自分がホモだと認めないのか!」

「そんな凄まれても俺はホモじゃねえよ! というか何で俺がホモなんだよ!」

「うら若き男達が公衆の面前で衣類を脱いで如何わしい行為をしていたらそれはもうホモに決まっているだろうが! 貴様はそんな一般常識も知らんのか! 薔薇の友情を舐めるな!」

「ダメだこの婦警、腐ってやがる」

「貴様が自らをホモだと認めないのは良い、だが変わりに自らをホモだと認めるのは誰だと思う?」

「誰だよ」

「貴様の恋人だよ」

「親指を立てて恋人とか言ってんじゃねえぞ! 怖気が走るわ!!」

「ムッ、すまない、私とした事が受けと攻めを間違えるとは、貴様はこっちだったか」

「どっちでもねえよ!! つうかおい! 大丈夫かこの国!? こんな腐った奴が警官してていいのか!?」

「何を言っているんだ貴様? 私は国家試験に受かり精神鑑定も通っている、私が警察官である事に何の問題がある?」

「アンタみたいな人が精神鑑定を通ったって所に問題があるって言ってんだよ!」

「馬鹿め、いくら優れた精神鑑定だろうと男同士の綺麗な友情を愛する博愛主義の私にかかれば掻い潜る事は造作も無い」

「掻い潜るって言っちゃったよ、この人」

「で? 実際のところ、どっちが受けなんだ?」

「どっちでもねえよ! 面倒くせえなアンタ!?」

「まあ良い、今回はあの男の娘に感謝すると良い、目の保養になったから今回は不問にしてやる、保護者が迎えに来たら帰って良いぞ」

「そもそも元凶が全てアイツなんですけどねぇ!」

「貴様は客観的にみて峰麗しい美少年と目付きの悪い冴えない少年、どっちを信じると思う?」

「警官の発言とは思えねえな!」

「私は趣味と仕事どちらを取ると言われたら迷わず趣味を取る女だが?」

「そんな事聞いてねぇんだよ! ああ! もう! 何なんだよコイツ!」

「ああ、お迎えが来たみたいだぞ」


 取調室から連れ出され、迎えに来てくれた人を見る。


「全く、これだからヤマヤエマルヤスデ様は困ります」

「メイド!?」

「貴方のお母様から連絡を頂きまして、どうしても手が離せないからウチのドラ息子を迎えに行って欲しいとお願いされまして」

「ウチの母親はなんでこのメイドをチョイスしたんだよ」

「さあ? 貴方のお父様はアムステルダムで奮闘してますし、頼れそうな暇人が私くらいしか居なかったからだと思いますが」

「な、なるほど?」

「アシダカグモ様は私では不満だと?」

「アンタの俺を罵倒するバリエーションマジで豊富だな!! ……でも迎えに来てくれたありがとう、助かったよ」

「…………この糞虫様」

「何でだよ!?」


「話が盛り上がっているところ悪いが少し声を抑えてもらえるか? ここは公共の場だぞ?」

「申し訳ありません、この紙魚様が大変ご迷惑をお掛けしまして」

「どうあっても俺のせいなんだな、もう疲れた」

「ああ、そうだ少年」

「なんですか? マジでもう帰りたいんですけど」

「彼との関係で困った事があったらいつでも連絡をくれ、私はいつでも相談に乗るぞ」


 俺は聖母のような微笑みを浮かべる婦警さんから差し出された紙を受け取ると、笑顔で破り捨てるのだった。
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