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第三章
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僕は遠い目をしながら、自分の引きの良さというか、悪さというべきなのか、街中で偶然に見つけてしまった相手に天を仰ぐ。これが僕一人だけだったら、見なかった事にしてダンジョンであるピラミッドに、テオたちと改めて攻略を向かったのだが・・・・
「フェル、あの人から邪悪な魔力を感じるんだ」
「・・・・ですよねー」
声を潜めながら、あっさりと街中を歩く炎の四天王(笑)の擬態を看破するエルムに、僕は気のない返事を返し、この状況をどうしようかと頭を悩ませる。今すぐに名乗り出て戦ったとしても、倒すだけならば問題ない。僕からしたら少し堅いだけの雑魚と大差は無いのだが、ここで倒してしまうと色々と問題があるのだ。
ゲームでは初めて撃破する四天王であり、自分の弱点を堂々と宣言してきたり、主人公であるテオの覚醒させるイベントを起こしてくれる重要なポジションなのだ。なお弱点を突くと・・・
『ひ、卑怯だぞ。正々堂々と戦え!!水属性攻撃以外で!!』
自分で宣言したくせに、本当にされると泣きごとをほざく非常に情けない事から、四天王(笑)をつけられてしまうボスとして恥さらしもいい所のボスキャラだ。ただ、それでもテオの奥義を覚えさせる役には立つので、ここで倒してしまうと覚えてもらう機会を失ってしまい、後半での戦いが非常に苦しい物になってしまう。
「このまま放っておくと何かするかもしれない。ここは・・・」
「・・・・待て待て待て、ステイ、エルム、ステイだ」
「ふぇ、フェル? なんかキャラが違うよ。どうしたの?」
「・・・・いいか、相手が怪しいからと言って疑うのは良くない」
「そ、それはそうだけど」
放っておくと突っ込んでいきそうなエルムになんとか待ったを掛け、ピラミッドでの決戦を迎えるために四天王の用語に回るという羽目に陥るのだった。
フェルとのデート中。ボクは邪悪な魔力を宿し、フードを被った怪しい人物を見つけた。
声を掛けて様子を見ようとフェルと相談したら、急に普段と明らかにテンションの違うフェルに肩を掴まれてドキマギしてしまう。
「・・・確かにあの男は見た目も怪しいし、雰囲気も怪しい。おまけに頭も悪そうだし、見た目もなんだか臭そうだし、きっと凶悪な上に醜悪な面構えをしてそうだし、きっとハゲだろうし、ついでに明らかに三下臭が漂っているが、相手を見た目で判断するなんてのは良くない」
「うん。本当にそうだね。それは流石に酷すぎると思うよ?」
あの相手に何か恨みでもあるのかというぐらいに悪し様に言うフェルに、流石に可哀想になって逆にフォローを入れてしまうが、フェルは真顔で首を横に振る。
「・・・言いたいことは分かる。だが、もしかしたら雰囲気が邪悪なだけで本当は善良な悪人なのかもしれない」
「いや、善良な悪人って悪人だからね?」
どうしよう。フェルが本当に何を言いたいのかわからない。もしかしたらフェルの方が砂漠の暑さで頭をやられてしまったのではないかと心配になってしまう。
「・・・それに、僕らにはやるべき事がある。あの男をやっつけるのはそれをしてからでも遅くないと思うんだ」
「倒すことは前提なんだね・・・・」
やっぱり恨みでもあるのかと思いながら、男の方に視線を向けようとして・・・・
「あ・・・・」
「?」
「き、きききさまらああぁぁぁ!!わ、わしの悪口を言ったなぁ!!ゆるさーん!!」
怪しい男は気づけば、ボクたちの傍に来ており、フードを外して真っ赤になった顔を大声で怒鳴ってくる。
「あっ・・・本当に禿だった・・・・」
「ふぐぅん!!」
思わず、出てしまった本音に禿げた大男は胸を押さえながらショックを受けたような奇声を上げるのだった。
その反応に何だが、気配や魔力は邪悪だけど、ちょっとだけ気の毒に感じた。
「フェル、あの人から邪悪な魔力を感じるんだ」
「・・・・ですよねー」
声を潜めながら、あっさりと街中を歩く炎の四天王(笑)の擬態を看破するエルムに、僕は気のない返事を返し、この状況をどうしようかと頭を悩ませる。今すぐに名乗り出て戦ったとしても、倒すだけならば問題ない。僕からしたら少し堅いだけの雑魚と大差は無いのだが、ここで倒してしまうと色々と問題があるのだ。
ゲームでは初めて撃破する四天王であり、自分の弱点を堂々と宣言してきたり、主人公であるテオの覚醒させるイベントを起こしてくれる重要なポジションなのだ。なお弱点を突くと・・・
『ひ、卑怯だぞ。正々堂々と戦え!!水属性攻撃以外で!!』
自分で宣言したくせに、本当にされると泣きごとをほざく非常に情けない事から、四天王(笑)をつけられてしまうボスとして恥さらしもいい所のボスキャラだ。ただ、それでもテオの奥義を覚えさせる役には立つので、ここで倒してしまうと覚えてもらう機会を失ってしまい、後半での戦いが非常に苦しい物になってしまう。
「このまま放っておくと何かするかもしれない。ここは・・・」
「・・・・待て待て待て、ステイ、エルム、ステイだ」
「ふぇ、フェル? なんかキャラが違うよ。どうしたの?」
「・・・・いいか、相手が怪しいからと言って疑うのは良くない」
「そ、それはそうだけど」
放っておくと突っ込んでいきそうなエルムになんとか待ったを掛け、ピラミッドでの決戦を迎えるために四天王の用語に回るという羽目に陥るのだった。
フェルとのデート中。ボクは邪悪な魔力を宿し、フードを被った怪しい人物を見つけた。
声を掛けて様子を見ようとフェルと相談したら、急に普段と明らかにテンションの違うフェルに肩を掴まれてドキマギしてしまう。
「・・・確かにあの男は見た目も怪しいし、雰囲気も怪しい。おまけに頭も悪そうだし、見た目もなんだか臭そうだし、きっと凶悪な上に醜悪な面構えをしてそうだし、きっとハゲだろうし、ついでに明らかに三下臭が漂っているが、相手を見た目で判断するなんてのは良くない」
「うん。本当にそうだね。それは流石に酷すぎると思うよ?」
あの相手に何か恨みでもあるのかというぐらいに悪し様に言うフェルに、流石に可哀想になって逆にフォローを入れてしまうが、フェルは真顔で首を横に振る。
「・・・言いたいことは分かる。だが、もしかしたら雰囲気が邪悪なだけで本当は善良な悪人なのかもしれない」
「いや、善良な悪人って悪人だからね?」
どうしよう。フェルが本当に何を言いたいのかわからない。もしかしたらフェルの方が砂漠の暑さで頭をやられてしまったのではないかと心配になってしまう。
「・・・それに、僕らにはやるべき事がある。あの男をやっつけるのはそれをしてからでも遅くないと思うんだ」
「倒すことは前提なんだね・・・・」
やっぱり恨みでもあるのかと思いながら、男の方に視線を向けようとして・・・・
「あ・・・・」
「?」
「き、きききさまらああぁぁぁ!!わ、わしの悪口を言ったなぁ!!ゆるさーん!!」
怪しい男は気づけば、ボクたちの傍に来ており、フードを外して真っ赤になった顔を大声で怒鳴ってくる。
「あっ・・・本当に禿だった・・・・」
「ふぐぅん!!」
思わず、出てしまった本音に禿げた大男は胸を押さえながらショックを受けたような奇声を上げるのだった。
その反応に何だが、気配や魔力は邪悪だけど、ちょっとだけ気の毒に感じた。
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