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カラン
その日は雨が降っておりお客さんはまばらで特にやることもなく暇をしていた。
そんな時そのお客さんたちはやってきた。
若そうな女性が2人に小学生にはなっていないだろう子供が1人。どちらかのお子さんなのだろうと思い入ってきた3人へ空いてる席へと声をかける。
案内された席へと座った3人はメニュー表を開き何かを話しているようだ。
私は水を3つ汲むとそれをその席へと運んだ。
しばらくはまた暇な時間が過ぎていく。
暇なときほど時が経つのが遅く感じるのだからほどほどに忙しくはならないものかと思いながらキッチンの奥でカップを拭く。
気づけば1時間ほどたったようで外の雨が少し弱くなっていた。
さて、何をしようかと思えば店の扉が開いたことを告げるベルがカランと鳴った。
「いらっしゃいませ」
入ってきたのはまた若そうな女性が1人。
言ってはなんだがここはあまり若い人には馴染みがないだろう昔ながらのコーヒーショップだ。それこそカフェなんて言葉は似合わないだろう喫茶店である。
それが若い人が1人なんて珍しいと思いつつ声をかければ女性はキョロキョロと視線を彷徨わせてあっと声を上げた。
「待ち合わせなんです。あそこにいました」
女性の指差した先には先ほどの子ども連れの女性2人。
あぁなるほど、と私は納得した。そりゃ1人でこんなとこ来ないよね。
どうぞと私はその女性を招き入れ水を1つ汲み席へと運ぶ。
水の入ったグラスを置こうと思えば今来たばかりの彼女はさっきまで子供のいた席へと座り水へ口をつけていた。
子供の席で子供の水であると言えばいいのにと思いつつ今いない子供へ少し同情しながら空いているもう1席へとグラスを置こうとすればはじめに入ってきた女性の1人に声をかけられた。
「お水もう貰ってますよ」
私は首を傾げる。
子供の水はいらないということだろうか。確かにグラスに子供が手をつけた様子はなかったが彼女たちが先ほど注文した時に子供の注文をしている様子もなかった。
ただ私はしがないアルバイトである。お客さんに意見など出来ず今汲んだばかりのグラスを下げながらキッチンへと戻った。
「すいません」
呼ばれた声で私はレジへと顔を向ければ女性3人がお会計を待っているようだった。
楽しそうに会計をする彼女たちだがそこには子供の姿がない。
そのまま会計を終え出て行こうとする彼女たちに私は思わず声をかけた。
「あの、お子さんはお手洗いですか」
彼女たちは私を振り返ると首を傾げた。
「子供はいませんけど?」
彼女たちの言葉に私はいやいや、と首を横に振る。
「最初にお子さんを連れて3人で入ってらっしゃいましたよね」
彼女たちは変なものを見る目を私に向けた。
「いえ、2人で入りましたけど。なんですか」
言うが早いか彼女たちはばたばたと店の扉を潜り外へと出ていった。
2人で入ったという彼女たち。3つのグラスに異議は唱えられず、待ち合わせだと1人増えた。4つ目のグラスはいらないと断られ、3人分の注文だけの伝票。
私は先ほどまで彼女たちがいた席へと目をむける。
そこには誰もおらず3つのグラスに伝票と同じ3人分の注文。
私が見たのはいったいなんだったのだろうか。
その日は雨が降っておりお客さんはまばらで特にやることもなく暇をしていた。
そんな時そのお客さんたちはやってきた。
若そうな女性が2人に小学生にはなっていないだろう子供が1人。どちらかのお子さんなのだろうと思い入ってきた3人へ空いてる席へと声をかける。
案内された席へと座った3人はメニュー表を開き何かを話しているようだ。
私は水を3つ汲むとそれをその席へと運んだ。
しばらくはまた暇な時間が過ぎていく。
暇なときほど時が経つのが遅く感じるのだからほどほどに忙しくはならないものかと思いながらキッチンの奥でカップを拭く。
気づけば1時間ほどたったようで外の雨が少し弱くなっていた。
さて、何をしようかと思えば店の扉が開いたことを告げるベルがカランと鳴った。
「いらっしゃいませ」
入ってきたのはまた若そうな女性が1人。
言ってはなんだがここはあまり若い人には馴染みがないだろう昔ながらのコーヒーショップだ。それこそカフェなんて言葉は似合わないだろう喫茶店である。
それが若い人が1人なんて珍しいと思いつつ声をかければ女性はキョロキョロと視線を彷徨わせてあっと声を上げた。
「待ち合わせなんです。あそこにいました」
女性の指差した先には先ほどの子ども連れの女性2人。
あぁなるほど、と私は納得した。そりゃ1人でこんなとこ来ないよね。
どうぞと私はその女性を招き入れ水を1つ汲み席へと運ぶ。
水の入ったグラスを置こうと思えば今来たばかりの彼女はさっきまで子供のいた席へと座り水へ口をつけていた。
子供の席で子供の水であると言えばいいのにと思いつつ今いない子供へ少し同情しながら空いているもう1席へとグラスを置こうとすればはじめに入ってきた女性の1人に声をかけられた。
「お水もう貰ってますよ」
私は首を傾げる。
子供の水はいらないということだろうか。確かにグラスに子供が手をつけた様子はなかったが彼女たちが先ほど注文した時に子供の注文をしている様子もなかった。
ただ私はしがないアルバイトである。お客さんに意見など出来ず今汲んだばかりのグラスを下げながらキッチンへと戻った。
「すいません」
呼ばれた声で私はレジへと顔を向ければ女性3人がお会計を待っているようだった。
楽しそうに会計をする彼女たちだがそこには子供の姿がない。
そのまま会計を終え出て行こうとする彼女たちに私は思わず声をかけた。
「あの、お子さんはお手洗いですか」
彼女たちは私を振り返ると首を傾げた。
「子供はいませんけど?」
彼女たちの言葉に私はいやいや、と首を横に振る。
「最初にお子さんを連れて3人で入ってらっしゃいましたよね」
彼女たちは変なものを見る目を私に向けた。
「いえ、2人で入りましたけど。なんですか」
言うが早いか彼女たちはばたばたと店の扉を潜り外へと出ていった。
2人で入ったという彼女たち。3つのグラスに異議は唱えられず、待ち合わせだと1人増えた。4つ目のグラスはいらないと断られ、3人分の注文だけの伝票。
私は先ほどまで彼女たちがいた席へと目をむける。
そこには誰もおらず3つのグラスに伝票と同じ3人分の注文。
私が見たのはいったいなんだったのだろうか。
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