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出会い
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俺が彼女に会ったのは16の時。
生きていくことに必死で盗みも暴力も出来ることはなんでもやって死なないために生きていた。
そんなある日、俺は失敗をした。
その結果として指一つ動かせないような状態で道に倒れていた。
自分の呼吸がゆっくりになっていることが自分でもわかった。身体のどこにも力なんて入らなかった。
明確に感じた『死』の恐怖。
声を上げることも身体を動かすことも出来ないのに何故か涙だけは流れて止まらなかった。
そんな時、後ろから声をかけられた。
振り返ることもできない俺はその声をきちんと聞き取ることもできなくてその姿を認める前に俺は意識を手放した。
気づけば豪華なベッドに寝かせられていた。
起きて辺りを見渡していればカチャリと開く扉。
顔を現したのは幼い少女だった。
3つや4つなんじゃないかと思うその子どもは俺が起きていることに気づくと近寄ってきて俺の寝るベッドへと腰を下ろした。
「いたいところは?おいしゃさまはねつがあるからしばらくはねてあんせいにしてなさいっていってたわよ」
少々舌足らずに告げられた言葉に自分が彼女に助けられたことを知る。
「君が助けてくれたのか…」
俺の言葉に彼女はにこりと微笑んだ。
「きみじゃないわ。ベティはベティっていうのよ。おなまえは??」
彼女の言葉に俺は笑いをこぼした。
「ヴィンセントだよ。助けてくれてありがとうベティ」
俺が名前を呼べば嬉しそうに笑う彼女、ベティは妖精のようだった。
後からやってきた使用人が俺が起きてることに驚いて慌ててこの家の当主であるベティの父親を呼んでこれば俺は気を失いたくなった。
ここは国でも1、2を争うクラーク公爵家の屋敷だった。
慌ててお礼を言い出て行こうとすれば俺の服をくんっと強くはない、でも確かに引っ張られた。
力の先を見てみればそこには俺の服の裾を掴んだベティがいた。
「どこにいくのヴィンセント?」
首を傾げるベティにどう説明したものかと思っていればこの家の当主であるクラーク公爵がそんな俺たちの様子を見て口を開いた。
「いく当てがないならうちで働けばいい。娘は君を気に入っているようだ。もちろん教育はきちんとつけさせてもらうけれどね」
俺は公爵の言葉にそんな恩は受けれないと否定を返そうとしたがさらに強く握られた裾にそんな言葉は消された。
嬉しそうにキラキラとした目でこっちを見上げてくるベティに俺は降参だと白旗をあげたのだ。
「改めて自己紹介をしようか。私はこのクラーク公爵家の当主ダニエル・クラークだ。隣にいるのが妻のアーネスト・クラーク」
当主様が自分と隣で静かに微笑む奥様の紹介をし、俺の隣で服の裾を掴むベティへと視線を向けた。
ベティはその視線を受けると俺の前へと来てスカートをちょこんと持ち上げ礼をした。
「エリザベス・クラークよ。よろしくねヴィンセント」
にっこり笑ったベティを可愛いと思い眺めていた俺がベティが愛称であることに気づくのはそれから数時間後のことだった。
これが俺が16、主人であるベティが4つの時の出会いである。
生きていくことに必死で盗みも暴力も出来ることはなんでもやって死なないために生きていた。
そんなある日、俺は失敗をした。
その結果として指一つ動かせないような状態で道に倒れていた。
自分の呼吸がゆっくりになっていることが自分でもわかった。身体のどこにも力なんて入らなかった。
明確に感じた『死』の恐怖。
声を上げることも身体を動かすことも出来ないのに何故か涙だけは流れて止まらなかった。
そんな時、後ろから声をかけられた。
振り返ることもできない俺はその声をきちんと聞き取ることもできなくてその姿を認める前に俺は意識を手放した。
気づけば豪華なベッドに寝かせられていた。
起きて辺りを見渡していればカチャリと開く扉。
顔を現したのは幼い少女だった。
3つや4つなんじゃないかと思うその子どもは俺が起きていることに気づくと近寄ってきて俺の寝るベッドへと腰を下ろした。
「いたいところは?おいしゃさまはねつがあるからしばらくはねてあんせいにしてなさいっていってたわよ」
少々舌足らずに告げられた言葉に自分が彼女に助けられたことを知る。
「君が助けてくれたのか…」
俺の言葉に彼女はにこりと微笑んだ。
「きみじゃないわ。ベティはベティっていうのよ。おなまえは??」
彼女の言葉に俺は笑いをこぼした。
「ヴィンセントだよ。助けてくれてありがとうベティ」
俺が名前を呼べば嬉しそうに笑う彼女、ベティは妖精のようだった。
後からやってきた使用人が俺が起きてることに驚いて慌ててこの家の当主であるベティの父親を呼んでこれば俺は気を失いたくなった。
ここは国でも1、2を争うクラーク公爵家の屋敷だった。
慌ててお礼を言い出て行こうとすれば俺の服をくんっと強くはない、でも確かに引っ張られた。
力の先を見てみればそこには俺の服の裾を掴んだベティがいた。
「どこにいくのヴィンセント?」
首を傾げるベティにどう説明したものかと思っていればこの家の当主であるクラーク公爵がそんな俺たちの様子を見て口を開いた。
「いく当てがないならうちで働けばいい。娘は君を気に入っているようだ。もちろん教育はきちんとつけさせてもらうけれどね」
俺は公爵の言葉にそんな恩は受けれないと否定を返そうとしたがさらに強く握られた裾にそんな言葉は消された。
嬉しそうにキラキラとした目でこっちを見上げてくるベティに俺は降参だと白旗をあげたのだ。
「改めて自己紹介をしようか。私はこのクラーク公爵家の当主ダニエル・クラークだ。隣にいるのが妻のアーネスト・クラーク」
当主様が自分と隣で静かに微笑む奥様の紹介をし、俺の隣で服の裾を掴むベティへと視線を向けた。
ベティはその視線を受けると俺の前へと来てスカートをちょこんと持ち上げ礼をした。
「エリザベス・クラークよ。よろしくねヴィンセント」
にっこり笑ったベティを可愛いと思い眺めていた俺がベティが愛称であることに気づくのはそれから数時間後のことだった。
これが俺が16、主人であるベティが4つの時の出会いである。
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