45 / 98
ホノカ編
四十五話 眠い授業
しおりを挟む
「うぅ……」
「ヒカゲさん、起きて下さい」
身体をゆさゆさとされて、浅い所に浮かんでいた意識が浮上させられる。もう少し長く深い場所にいたくて、また戻そうと抵抗するも、何度も呼びかけられ、ついには目を開けた。
「おはようございます!」
「お、おはよう……」
朝から凄く元気でいるけど、こちらはそのテンションについていけず、少し落ち着いて欲しかった。
すでにコノは着替えていて、また祈り手の服を着用して髪もしっかり整えられている。
「眠そうですね」
「あんまり寝れなかったんだ」
コノのせいでねとここの中で付け加えておく。何だか無理矢理起こされたからか、多少苛立ってしまっていて、深呼吸して気分を落ち着かせる。
「大丈夫ですか? コノとしてももっと寝て欲しいんですけど、今日は学び舎に行かなきゃなので……」
「わかってる、すぐに準備するよ」
白い霧に包まれた頭を強引に働かせて立ち上がる。服を脱いで着るという行為は面倒なため、制服を出現させ身にまとう。
「わわっ凄いです。今のは魔法ですか?」
「どうだろう? 魔法かはわかんないけど、特殊な施しはかかってるんだ」
簡易的な支度を済ませた後に、居間に行くとすでに食事が並べられていた。
「いただきます」
四人で席についてから朝ご飯を食べる。正直、食欲はほぼないので気乗りしないが、残すわけにもいかず胃へと詰め込んだ。
「ごちそうさまでした」
食べ終えてから、コノは部屋に戻り外に出るための本格的に身支度を整え出し、押し入れから出した緑の手提げバッグに、教科書みたいな大きめの本を何冊か入れた。
「二人共お弁当作ったからね」
部屋に来たイチョウさんが風呂敷に包んだ弁当箱を渡してくれる。
「ありがとーお母さん」
「ありがとうございます」
僕はリュックにそれを入れて背負った。それと暇つぶしのために小説を借りる。これで準備は完了だ。
「じゃあ行きましょう」
僕たちは家から出て学び舎のある北側へと向かった。朝の冷たい空気に肌が触れると、ぼんやりとしていた意識が多少ましになってきた。
「今更だけど僕も行っていいのかな」
「大丈夫ですよ。祈り手の護衛以上に大切な事はないってわかっていると思うので」
神木の前に来るとそこに巫女服姿で、赤色の手さげバッグを持つホノカがいて、僕たちを見るなり駆け寄ってくる。
「おはよう! 一緒に行こうぜ」
「おはようホノカ。行こう行こうー」
そういう事でホノカも加わり三人で向かった。同じ生徒らしい人も五人くらい見かける。どの子も二人よりも一回り年下の姿をしていた。
「よし、じゃあ空飛ぶからな。コノは準備良いか?」
「い、いいよ。覚悟決めたから」
学び舎のある木のマンションの前に到着。二階に行くためにコノとホノカは呪文を唱え、空飛ぶ魔法を発動させた。
「……よ、よし! は、早く入ろう」
コノは魔法を解除すると即座に扉を開けて中へと入った。僕とホノカは顔を見合わせ苦笑する。
「あっ、強い人だ!」
「遊びに来たんですか?」
「やっぱり一緒にいる」
玄関には昨日の朝に出会った子供たちがいて、ちょうど靴を脱いでいたところだった。
「ヒカゲさんはね、コノの護衛をしてくれてるんだよ。だから遊びに来たんじゃなくてお仕事してるんだー」
「へーやっぱりすげぇ強いんだなー」
「かっこいいです」
「恋人みたい」
最後の女の子の言葉に、ホノカがビクッと反応した。さらに何か圧力のある視線を送られる。
会話はそこで途切れて、靴を玄関に揃えてから三人は慌ただしく左の部屋に入っていく。
廊下が置くまで真っ直ぐ伸びていて、その間に左に三つの部屋、反対にも同じ部屋数があった。
「オレ達の教室はここだ」
左側の一番奥の扉を開けると、そこは八人くらいの人が入れそうな広い畳の部屋だった。前方に先生用らしい机と青の座布団があり、手前の方には二人分の赤い座布団とそれぞれ二つ机が置いてある。
ホノカは左コノが右に隣り合って座った。僕も二人の後方に座ろうとすると後ろの扉から人が入ってきて。
「おーす。あっヒカゲくんこれ敷いて」
「え……サグルさん?」
「コノ達、上級クラスの先生はサグにぃなんです」
聞き覚えのある気だるげな声だと思ったらそれはサグルさんで。まさかの彼が先生だった。僕は持ってきてくれた青の座布団の上に座る。
「この学び舎は、下級、中級、上級の三つのクラスに分かれているんですよ。今年からコノ達は上級になったんです」
「あの子達は?」
「学び始めたばかりですから下級クラスですね」
前方の先生であるサグルさんは、机に本を広げる。それと同じように二人も出すと。
「そんじゃ、始めるぞー」
その彼のかけ声と共に授業が始まった。最初の科目は国語らしく、言葉を学んだり小説の長文読解なんかをしていた。コノは得意そうに発表をしているけど、ホノカは苦手そうに頭を抱えている。
何だか日本でやっていた事と似ているから、つい過去のことを思い出してしまう。それを振り払い小説を取り出してそっちに意識を向けた。
三十分くらいで国語の授業が終了して、十分の休憩を挟んで、次は数学の勉強がスタートする。
こっちでも、小難しい公式の名前が出てくるけど、聞いたこともないものばかりで、遠くから見ている立場からは何が何だかわからなかった。半分呪文のように聞こえて、眠気が復活してくる。何とかそれに耐えて本のページをめくるも、たまに同じ行を繰り返し読んでしまって進みが遅くなった
この科目に関してはホノカかが得意そうに問題を解いているけど、コノはずっと首を傾げていた。
「じゃあ、三限目は魔法についてだ」
「やったー。もう数字は見たくない」
「オレは長い文章を読みたくない」
魔法の授業になると、二人のテンションが高まった。僕もそれには興味があり、少し授業の方に聞き耳を立てる。好奇心によって眠気に対抗できそうだ。
「じゃあまずは水の上級魔法の呪文を覚えてもらう。二人共その教科書に書いてあるの読んでみてくれ」
「シ流雨ノミス激イ水ヲリウ海カ……」
「シ流雨ノミス激イ水ヲリウ海カ……」
「シ流雨ノミス激イ水ヲリウ海カ……」
やばい、やばい、やば過ぎる。二人が覚えようと意味不明な単語の羅列何度も発声するため、段々とそれによって睡眠へと誘われてしまう。
そういえば、睡眠魔法とかあるのだろうか。いや、そんな事より何とか意識を保たないと。
「……」
もう小説に何が書いてあるのかわからなくなってくる。頭もかくかくしてきて、心地の良い深い水の中に半分意識が落ちていく。
「シ流雨ノミス激イ……」
「シ流雨ノミス……」
とうとう限界がきて、僕は抵抗する力を緩めて目を瞑り遠ざかる呪文の声に誘われるように意識を手放した。
「ヒカゲさん、起きて下さい」
身体をゆさゆさとされて、浅い所に浮かんでいた意識が浮上させられる。もう少し長く深い場所にいたくて、また戻そうと抵抗するも、何度も呼びかけられ、ついには目を開けた。
「おはようございます!」
「お、おはよう……」
朝から凄く元気でいるけど、こちらはそのテンションについていけず、少し落ち着いて欲しかった。
すでにコノは着替えていて、また祈り手の服を着用して髪もしっかり整えられている。
「眠そうですね」
「あんまり寝れなかったんだ」
コノのせいでねとここの中で付け加えておく。何だか無理矢理起こされたからか、多少苛立ってしまっていて、深呼吸して気分を落ち着かせる。
「大丈夫ですか? コノとしてももっと寝て欲しいんですけど、今日は学び舎に行かなきゃなので……」
「わかってる、すぐに準備するよ」
白い霧に包まれた頭を強引に働かせて立ち上がる。服を脱いで着るという行為は面倒なため、制服を出現させ身にまとう。
「わわっ凄いです。今のは魔法ですか?」
「どうだろう? 魔法かはわかんないけど、特殊な施しはかかってるんだ」
簡易的な支度を済ませた後に、居間に行くとすでに食事が並べられていた。
「いただきます」
四人で席についてから朝ご飯を食べる。正直、食欲はほぼないので気乗りしないが、残すわけにもいかず胃へと詰め込んだ。
「ごちそうさまでした」
食べ終えてから、コノは部屋に戻り外に出るための本格的に身支度を整え出し、押し入れから出した緑の手提げバッグに、教科書みたいな大きめの本を何冊か入れた。
「二人共お弁当作ったからね」
部屋に来たイチョウさんが風呂敷に包んだ弁当箱を渡してくれる。
「ありがとーお母さん」
「ありがとうございます」
僕はリュックにそれを入れて背負った。それと暇つぶしのために小説を借りる。これで準備は完了だ。
「じゃあ行きましょう」
僕たちは家から出て学び舎のある北側へと向かった。朝の冷たい空気に肌が触れると、ぼんやりとしていた意識が多少ましになってきた。
「今更だけど僕も行っていいのかな」
「大丈夫ですよ。祈り手の護衛以上に大切な事はないってわかっていると思うので」
神木の前に来るとそこに巫女服姿で、赤色の手さげバッグを持つホノカがいて、僕たちを見るなり駆け寄ってくる。
「おはよう! 一緒に行こうぜ」
「おはようホノカ。行こう行こうー」
そういう事でホノカも加わり三人で向かった。同じ生徒らしい人も五人くらい見かける。どの子も二人よりも一回り年下の姿をしていた。
「よし、じゃあ空飛ぶからな。コノは準備良いか?」
「い、いいよ。覚悟決めたから」
学び舎のある木のマンションの前に到着。二階に行くためにコノとホノカは呪文を唱え、空飛ぶ魔法を発動させた。
「……よ、よし! は、早く入ろう」
コノは魔法を解除すると即座に扉を開けて中へと入った。僕とホノカは顔を見合わせ苦笑する。
「あっ、強い人だ!」
「遊びに来たんですか?」
「やっぱり一緒にいる」
玄関には昨日の朝に出会った子供たちがいて、ちょうど靴を脱いでいたところだった。
「ヒカゲさんはね、コノの護衛をしてくれてるんだよ。だから遊びに来たんじゃなくてお仕事してるんだー」
「へーやっぱりすげぇ強いんだなー」
「かっこいいです」
「恋人みたい」
最後の女の子の言葉に、ホノカがビクッと反応した。さらに何か圧力のある視線を送られる。
会話はそこで途切れて、靴を玄関に揃えてから三人は慌ただしく左の部屋に入っていく。
廊下が置くまで真っ直ぐ伸びていて、その間に左に三つの部屋、反対にも同じ部屋数があった。
「オレ達の教室はここだ」
左側の一番奥の扉を開けると、そこは八人くらいの人が入れそうな広い畳の部屋だった。前方に先生用らしい机と青の座布団があり、手前の方には二人分の赤い座布団とそれぞれ二つ机が置いてある。
ホノカは左コノが右に隣り合って座った。僕も二人の後方に座ろうとすると後ろの扉から人が入ってきて。
「おーす。あっヒカゲくんこれ敷いて」
「え……サグルさん?」
「コノ達、上級クラスの先生はサグにぃなんです」
聞き覚えのある気だるげな声だと思ったらそれはサグルさんで。まさかの彼が先生だった。僕は持ってきてくれた青の座布団の上に座る。
「この学び舎は、下級、中級、上級の三つのクラスに分かれているんですよ。今年からコノ達は上級になったんです」
「あの子達は?」
「学び始めたばかりですから下級クラスですね」
前方の先生であるサグルさんは、机に本を広げる。それと同じように二人も出すと。
「そんじゃ、始めるぞー」
その彼のかけ声と共に授業が始まった。最初の科目は国語らしく、言葉を学んだり小説の長文読解なんかをしていた。コノは得意そうに発表をしているけど、ホノカは苦手そうに頭を抱えている。
何だか日本でやっていた事と似ているから、つい過去のことを思い出してしまう。それを振り払い小説を取り出してそっちに意識を向けた。
三十分くらいで国語の授業が終了して、十分の休憩を挟んで、次は数学の勉強がスタートする。
こっちでも、小難しい公式の名前が出てくるけど、聞いたこともないものばかりで、遠くから見ている立場からは何が何だかわからなかった。半分呪文のように聞こえて、眠気が復活してくる。何とかそれに耐えて本のページをめくるも、たまに同じ行を繰り返し読んでしまって進みが遅くなった
この科目に関してはホノカかが得意そうに問題を解いているけど、コノはずっと首を傾げていた。
「じゃあ、三限目は魔法についてだ」
「やったー。もう数字は見たくない」
「オレは長い文章を読みたくない」
魔法の授業になると、二人のテンションが高まった。僕もそれには興味があり、少し授業の方に聞き耳を立てる。好奇心によって眠気に対抗できそうだ。
「じゃあまずは水の上級魔法の呪文を覚えてもらう。二人共その教科書に書いてあるの読んでみてくれ」
「シ流雨ノミス激イ水ヲリウ海カ……」
「シ流雨ノミス激イ水ヲリウ海カ……」
「シ流雨ノミス激イ水ヲリウ海カ……」
やばい、やばい、やば過ぎる。二人が覚えようと意味不明な単語の羅列何度も発声するため、段々とそれによって睡眠へと誘われてしまう。
そういえば、睡眠魔法とかあるのだろうか。いや、そんな事より何とか意識を保たないと。
「……」
もう小説に何が書いてあるのかわからなくなってくる。頭もかくかくしてきて、心地の良い深い水の中に半分意識が落ちていく。
「シ流雨ノミス激イ……」
「シ流雨ノミス……」
とうとう限界がきて、僕は抵抗する力を緩めて目を瞑り遠ざかる呪文の声に誘われるように意識を手放した。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる