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ホノカ編
三十六話 ホノカ
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「見てわかると思いますけど、ホノカはもう一人の祈り手なんですよ」
「じゃあ幼馴染の二人で祈るんだ」
「はい! 何だかすっごい運命なんですよね!」
コノはホノカに親しげにボディタッチ。それにホノカは少し嫌がる素振りを見せつつも、満更でもなさそうで頬がほんのり赤らんでいた。
「う、運命とかそんな大層なもんじゃないだろ」
「そうかなー? だって七年に一度で、しかも同時に幼馴染の二人って超レアじゃない?」
「まぁそれはそうだけど、オレ達エルフは長生きだし、一度選ばれた奴は外れるから、超レアってほどじゃないだろ」
そう言われると意外にもありえそうな確率な気がしてくる。
「でもでも、二人で神様に選ばれるのは物語の主人公みたいだし、すっごい素敵じゃない?」
「ただ祈るだけの人だし、物語にはならんだろ」
「もう、ホノカはすーぐ理屈っぽく言うんだから」
「コノハは夢見すぎなんだよ」
二人は仲よさげにじゃれ合いの言い争いをする。対して僕は完全にその輪の中の外にいて、居心地悪く見ていた。
「まったく……ヒカゲも大変だろ、こういう感じだからさ」
「なにさーこういう感じって。ヒカゲさん、そんな事ないですよね?」
突然そのバトルフィールドに立たされた。二人からどちら側につくのか問いただす視線を送られる。
「えっと……ほんのちょっとだけ大変かも」
好意を向けられて嬉しいは嬉しいのだけど、困ってしまうのも事実で、思わずそう言ってしまう。
「そ、そんな~」
「本当にちょっとだけだから……その、気にしないで」
「あはは、やっぱりコノハはもう少し現実を見る目を持つべきだな」
僕のせいでコノはしょぼんとしてしまい、どうしようかと思考を張り巡らせてると、手にあるぬいぐるみを思い出して。
「ご、ごめん。これもふもふして元気だして」
「あ……ふふっ、ヒカゲさんってやっぱり可愛いですよね」
コノのぬいぐるみを手渡す。彼女はそれをむにむにさせて、微笑んだ。
「そのぬいぐるみオレか?」
「うん。何か記念で作ったとか言ってたよ」
「……それを買ったのか」
ホノカの表情が理解できないってわかりやすく言っていて少し引きつっていた。
「何か可愛らしい趣味してんな」
「いいよね、あんなに強いのにギャップがあって」
「お、おう」
何だか二人の価値観のズレが、僕とアオを見ているようで、つい過去の光景を想起させてしまう。
「オレなら強い武器とか買うけど、ヒカゲはそういうのには興味ないのか?」
「僕は昔から可愛い系が好きだったんだよね」
変身ヒーローよりも魔法少女系のおもちゃを良く買ってもらっていた。アオはその反対。でも、互いに理解し合って、一緒に遊んでいた。
「わぁコノと一緒ですね。やっぱり運命の出会いだったんですよ!」
「おいおい、ただ趣味が同じだけだろ」
「それだけじゃないもん。出会ったこととか色々含めてそう感じたの。ホノカが何を言っても絶対運命だから」
「はいはい、わかったよ」
コノの頑として譲らないといった様子にホノカは呆れ顔で折れる。
「それより、二人は何してたんだ?」
「ヒカゲさんに村の案内をしていたの」
「ふーん。じゃオレも一緒していいか?」
僕とコノは同時に頷く。そうして、立ち話を終わらせて、ホノカと一緒に北側の方に向かうことに。
神木のある場所から学び舎の方面の道も傾斜になって長い道が伸びている。前なら辟易していただろうけど、最近鍛え出した僕としてはトレーニングになりそうで、意気揚々と進んだ。
「学び舎って言いましたけど、実はそこにホノカの家でもあるんです」
「どういうこと?」
「他の人の家みたいにでかい木の中に学び舎とオレん家があるんだ。他にも医療所も入ってる」
そう会話して、少し息が上がりだしたぐらいにようやく登りきった。そこは、整地された場所は限られておりあまり広さがなくて、幅も五人くらいが横に並べるくらい。そこから先は深い森になっている。道としては直線のみで、その奥には太く高さのある木があった。
「あそこです」
「めっちゃ大きいね」
「この村の中で一番だからな」
異世界の学び舎とはどんな感じなのだろう。戦い方の勉強とか魔法の勉強とかするのかな。そんな風に色々と想像していると、レイアちゃんのことを思い出す。彼女も学校に通っていたっけ。
「……そういえば」
レイアちゃんが死んでしまったのはカイトさんとエルフの村でテーリオ族の人に襲われたからだった。そして、つい最近にコノがテーリオ族の中のウルフェンに殺されそうになっていた。それに村の中でも暴れていると言っていたし。
「まさか」
「どうしたんですか?」
色々なことが繋がり、思考の方に意識が集中してしまい足を止めてしまう。どうして気づかなかったんだろう。自分のバカさ加減に呆れそうになる。
「あいつらが侵入してきたぞー!」
突如南の方面から大声が聞こえてきた。その切羽詰まった声音に、思わず振り返ってしまう。それから間もなくして悲鳴や戦闘の音が鳴り響いた。瞬時にあの人狼の姿が思い浮かんで。
「くそっまたかよ!」
「嫌……」
恐らくその侵入者とはウルフェンのことだろう。ホノカは怒りを滲ませていて、コノは身体を縮こませて怯え出す。
平穏な村の日常は破壊され、強い緊迫感が満たした。
「じゃあ幼馴染の二人で祈るんだ」
「はい! 何だかすっごい運命なんですよね!」
コノはホノカに親しげにボディタッチ。それにホノカは少し嫌がる素振りを見せつつも、満更でもなさそうで頬がほんのり赤らんでいた。
「う、運命とかそんな大層なもんじゃないだろ」
「そうかなー? だって七年に一度で、しかも同時に幼馴染の二人って超レアじゃない?」
「まぁそれはそうだけど、オレ達エルフは長生きだし、一度選ばれた奴は外れるから、超レアってほどじゃないだろ」
そう言われると意外にもありえそうな確率な気がしてくる。
「でもでも、二人で神様に選ばれるのは物語の主人公みたいだし、すっごい素敵じゃない?」
「ただ祈るだけの人だし、物語にはならんだろ」
「もう、ホノカはすーぐ理屈っぽく言うんだから」
「コノハは夢見すぎなんだよ」
二人は仲よさげにじゃれ合いの言い争いをする。対して僕は完全にその輪の中の外にいて、居心地悪く見ていた。
「まったく……ヒカゲも大変だろ、こういう感じだからさ」
「なにさーこういう感じって。ヒカゲさん、そんな事ないですよね?」
突然そのバトルフィールドに立たされた。二人からどちら側につくのか問いただす視線を送られる。
「えっと……ほんのちょっとだけ大変かも」
好意を向けられて嬉しいは嬉しいのだけど、困ってしまうのも事実で、思わずそう言ってしまう。
「そ、そんな~」
「本当にちょっとだけだから……その、気にしないで」
「あはは、やっぱりコノハはもう少し現実を見る目を持つべきだな」
僕のせいでコノはしょぼんとしてしまい、どうしようかと思考を張り巡らせてると、手にあるぬいぐるみを思い出して。
「ご、ごめん。これもふもふして元気だして」
「あ……ふふっ、ヒカゲさんってやっぱり可愛いですよね」
コノのぬいぐるみを手渡す。彼女はそれをむにむにさせて、微笑んだ。
「そのぬいぐるみオレか?」
「うん。何か記念で作ったとか言ってたよ」
「……それを買ったのか」
ホノカの表情が理解できないってわかりやすく言っていて少し引きつっていた。
「何か可愛らしい趣味してんな」
「いいよね、あんなに強いのにギャップがあって」
「お、おう」
何だか二人の価値観のズレが、僕とアオを見ているようで、つい過去の光景を想起させてしまう。
「オレなら強い武器とか買うけど、ヒカゲはそういうのには興味ないのか?」
「僕は昔から可愛い系が好きだったんだよね」
変身ヒーローよりも魔法少女系のおもちゃを良く買ってもらっていた。アオはその反対。でも、互いに理解し合って、一緒に遊んでいた。
「わぁコノと一緒ですね。やっぱり運命の出会いだったんですよ!」
「おいおい、ただ趣味が同じだけだろ」
「それだけじゃないもん。出会ったこととか色々含めてそう感じたの。ホノカが何を言っても絶対運命だから」
「はいはい、わかったよ」
コノの頑として譲らないといった様子にホノカは呆れ顔で折れる。
「それより、二人は何してたんだ?」
「ヒカゲさんに村の案内をしていたの」
「ふーん。じゃオレも一緒していいか?」
僕とコノは同時に頷く。そうして、立ち話を終わらせて、ホノカと一緒に北側の方に向かうことに。
神木のある場所から学び舎の方面の道も傾斜になって長い道が伸びている。前なら辟易していただろうけど、最近鍛え出した僕としてはトレーニングになりそうで、意気揚々と進んだ。
「学び舎って言いましたけど、実はそこにホノカの家でもあるんです」
「どういうこと?」
「他の人の家みたいにでかい木の中に学び舎とオレん家があるんだ。他にも医療所も入ってる」
そう会話して、少し息が上がりだしたぐらいにようやく登りきった。そこは、整地された場所は限られておりあまり広さがなくて、幅も五人くらいが横に並べるくらい。そこから先は深い森になっている。道としては直線のみで、その奥には太く高さのある木があった。
「あそこです」
「めっちゃ大きいね」
「この村の中で一番だからな」
異世界の学び舎とはどんな感じなのだろう。戦い方の勉強とか魔法の勉強とかするのかな。そんな風に色々と想像していると、レイアちゃんのことを思い出す。彼女も学校に通っていたっけ。
「……そういえば」
レイアちゃんが死んでしまったのはカイトさんとエルフの村でテーリオ族の人に襲われたからだった。そして、つい最近にコノがテーリオ族の中のウルフェンに殺されそうになっていた。それに村の中でも暴れていると言っていたし。
「まさか」
「どうしたんですか?」
色々なことが繋がり、思考の方に意識が集中してしまい足を止めてしまう。どうして気づかなかったんだろう。自分のバカさ加減に呆れそうになる。
「あいつらが侵入してきたぞー!」
突如南の方面から大声が聞こえてきた。その切羽詰まった声音に、思わず振り返ってしまう。それから間もなくして悲鳴や戦闘の音が鳴り響いた。瞬時にあの人狼の姿が思い浮かんで。
「くそっまたかよ!」
「嫌……」
恐らくその侵入者とはウルフェンのことだろう。ホノカは怒りを滲ませていて、コノは身体を縮こませて怯え出す。
平穏な村の日常は破壊され、強い緊迫感が満たした。
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