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11.出産
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ついにその日が訪れた。
「旦那様っ! 奥方様が産気づかれました!」
入室の許可を出すよりも早く書斎へと入り込んできたメリーが声をあげた。
主に対して不敬な振る舞いであり、本来なら叱責ものだが、今回ばかりは仕方ないだろう。
「状況はどうなっている?」
「現在、アルト様を中心に、子を取り上げた経験のあるメイドたちで出産の準備を行っております」
「そうか……」
私は背もたれに身体を預けた。
元々出産予定日は近かった。
動揺こそあるが、出産を迎えるための準備に問題はないはずだ。
「アルト様より伝言がございます」
「伝言だと?」
「出産とは母体に著しく負担をかける行為です。
是非とも奥方様の側にいて励まして頂きたい、と」
「私が立ち会っては出産の邪魔にならないか?」
「問題ありません。私が寝室を後にするときも、奥方様は酷く辛そうなご様子でした。どうかお声をかけて差し上げてください。きっと励みになるはずです」
「……わかった、すぐに行こう」
私が居たところで邪魔になると思い、出産に立ち会うつもりはなかった。
だが、側にいてもいいのなら。
私の存在が少しでもアミーラの励みになるのなら。
せめて声だけでも届けたい。
私たち二人の子供なのだから。
「入るぞ」
寝室に入ると、そこには予想通りの衝撃的な光景が広がっていた。
汗に濡れた髪を額に張りつけ、苦悶の表情を浮かべるアミーラ。
着替える余裕もなかったのだろう。
寝巻きである薄いネグリジェは汗ですっかり透けてしまっており、豊満な胸の頂まではっきり確認できる。
脚は大きく広げられており、下着のない剥き出しの女性器の前には真剣な表情のアルトが座っていた。
出産だ。
それは十分に理解している。
しかし、今まで話にしか聞いていなかった、アルトがアミーラの裸体を見ているという状況に、股間が膨れるのを感じた。
あまりに背徳的な光景。
侯爵婦人であり、第三王女でもあるアミーラが、夫である私以外の男の前で無防備な姿を晒している。
それはこれまでアルトから聞かされてきた診察での話よりも、遥かに己の中の劣等感と高揚感を刺激した。
「旦那、様……」
だが途切れそうなか細いその声に、私は我に返った。
「旦那様っ! 奥方様が産気づかれました!」
入室の許可を出すよりも早く書斎へと入り込んできたメリーが声をあげた。
主に対して不敬な振る舞いであり、本来なら叱責ものだが、今回ばかりは仕方ないだろう。
「状況はどうなっている?」
「現在、アルト様を中心に、子を取り上げた経験のあるメイドたちで出産の準備を行っております」
「そうか……」
私は背もたれに身体を預けた。
元々出産予定日は近かった。
動揺こそあるが、出産を迎えるための準備に問題はないはずだ。
「アルト様より伝言がございます」
「伝言だと?」
「出産とは母体に著しく負担をかける行為です。
是非とも奥方様の側にいて励まして頂きたい、と」
「私が立ち会っては出産の邪魔にならないか?」
「問題ありません。私が寝室を後にするときも、奥方様は酷く辛そうなご様子でした。どうかお声をかけて差し上げてください。きっと励みになるはずです」
「……わかった、すぐに行こう」
私が居たところで邪魔になると思い、出産に立ち会うつもりはなかった。
だが、側にいてもいいのなら。
私の存在が少しでもアミーラの励みになるのなら。
せめて声だけでも届けたい。
私たち二人の子供なのだから。
「入るぞ」
寝室に入ると、そこには予想通りの衝撃的な光景が広がっていた。
汗に濡れた髪を額に張りつけ、苦悶の表情を浮かべるアミーラ。
着替える余裕もなかったのだろう。
寝巻きである薄いネグリジェは汗ですっかり透けてしまっており、豊満な胸の頂まではっきり確認できる。
脚は大きく広げられており、下着のない剥き出しの女性器の前には真剣な表情のアルトが座っていた。
出産だ。
それは十分に理解している。
しかし、今まで話にしか聞いていなかった、アルトがアミーラの裸体を見ているという状況に、股間が膨れるのを感じた。
あまりに背徳的な光景。
侯爵婦人であり、第三王女でもあるアミーラが、夫である私以外の男の前で無防備な姿を晒している。
それはこれまでアルトから聞かされてきた診察での話よりも、遥かに己の中の劣等感と高揚感を刺激した。
「旦那、様……」
だが途切れそうなか細いその声に、私は我に返った。
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