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10.変化していくアミーラ
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「旦那様! 今この子動きましたよ!」
ベッドの上で微笑みながら大切そうにお腹をさするアミーラ。
その姿を微笑ましく思いながら、私もアミーラのお腹へとそっと手を伸ばした。
アミーラの腹部はすっかり大きくなり、端から見ても妊娠中であることは明らかだった。
時々体調を崩すこともあったが、大きな問題になることはなく母子ともに健康なまま過ごしている。
それも主治医であるアルトのお陰であることは認めざるをえないだろう。
「元気な子になりそうだな」
「そうですね。今から楽しみです」
どこから見ても微笑ましい夫婦の姿。
しかし、それを引き裂くように寝室の扉がノックされた。
「失礼します。奥方様、診察のお時間です」
「……では私は仕事に戻る」
「はい。お仕事頑張ってください」
寝室の扉を開けると、そこに立っていたアルトと目があった。
いつもと変わらない、張り付けたような微笑み。
だがその目はこれから起こる出来事を、そしてそれを聞いた後の私の反応を想像して愉悦に染まっていた。
アルトと入れ替わるように寝室を後にする。
これから寝室で繰り広げられる痴態を止めることはしない。
既にそんなことはできないというところまで、私の心は蝕まれてしまっていた。
◇
「本日はこのところ行っている乳房マッサージを行いました」
アミーラが妊娠してから二つの季節を越えていた。
書斎では既に恒例となっていたアルトによる診察報告が行われていた。
「乳房マッサージは、出産後スムーズに母乳が出るようにするために必要なものです。
まずは乳輪マッサージです。
両手の人差し指と中指を乳輪の回りに置いて軽く押し、乳頭を突出させます」
アミーラの張りのある柔らかな乳房。
そこに両手を添えて指を動かすアルトを脳裏に思い描く。
「次に乳頭乳輪を親指、人差し指、中指の三本の指の腹で優しく挟んだり、こよりを作るように指を動かして引っ張ったりして、乳首をほぐして差し上げました。
日頃の成果もあり、今ではこれくらい伸びるんですよ」
アルトが指先で長さを示した
妊娠前に比べ、アミーラの乳首はいくらか色素が強くなっていた。
その乳首をアルトの指がマッサージと称して蹂躙していく。
「そしたら今日はなんと乳汁が出たんですよ。
これは乳管が開いたサインであり、出産後にスムーズな母乳分泌が期待できますよ。
量は少ないですが、旦那様にも見ていただこうと思い、採取させて頂いてきました」
アルトが懐から小瓶を一つ取り出した。
中には少量の白い液体が入っている。
「これがアミーラ様の乳汁です。味は……、ほのかな甘味がありますね」
あろうことかアルトは私の前で小瓶の中身を煽って見せた。
本来であればこれから産まれてくる私たちの子供だけが知るはずの味。
それを赤の他人であるアルトが知った。
「母乳の味も子育てには大切ですからね。
タンパク質をしっかりと含んだ栄養バランスの良い食事を摂ると、母乳の味も良くなります。ポイントは脂質を控えることですね。
産後は母乳の味が良いかどうか私のほうで確認しながら、アミーラ様の食事を調整していきましょう。
それがアミーラ様とお子様のためですから」
「あ、ああ。そうだな……」
アミーラの乳をアルトが飲むのは必要なことなのだ……。
だからこれは不埒な行為ではない……。
「乳汁が出始めると乳垢という白いものが乳頭に付着します。
これをこのまま放置すると乳管のつまりや母乳の分泌を妨げてしまう原因となります。
ですので、定期的にオイルを染み込ませたガーゼなどで優しく拭き取る必要がありますね。
こちらは診察の度に乳垢がないか私のほうで確認して、清拭することにします」
「そうか……、それは助かる」
「いえ、それが私の仕事ですから」
そう、仕事だ。
アルトがアミーラの乳首を清潔にするのも必要なことなのだ。
「大丈夫です。全て私に任せてください。
アミーラ様の身体のことを一番良く知っているのは私なのですから」
「ああ、そうだな……。よろしく頼む」
アルトに任せれば問題ない……。
独りになった書斎で、私はいつものように己を慰めた。
ベッドの上で微笑みながら大切そうにお腹をさするアミーラ。
その姿を微笑ましく思いながら、私もアミーラのお腹へとそっと手を伸ばした。
アミーラの腹部はすっかり大きくなり、端から見ても妊娠中であることは明らかだった。
時々体調を崩すこともあったが、大きな問題になることはなく母子ともに健康なまま過ごしている。
それも主治医であるアルトのお陰であることは認めざるをえないだろう。
「元気な子になりそうだな」
「そうですね。今から楽しみです」
どこから見ても微笑ましい夫婦の姿。
しかし、それを引き裂くように寝室の扉がノックされた。
「失礼します。奥方様、診察のお時間です」
「……では私は仕事に戻る」
「はい。お仕事頑張ってください」
寝室の扉を開けると、そこに立っていたアルトと目があった。
いつもと変わらない、張り付けたような微笑み。
だがその目はこれから起こる出来事を、そしてそれを聞いた後の私の反応を想像して愉悦に染まっていた。
アルトと入れ替わるように寝室を後にする。
これから寝室で繰り広げられる痴態を止めることはしない。
既にそんなことはできないというところまで、私の心は蝕まれてしまっていた。
◇
「本日はこのところ行っている乳房マッサージを行いました」
アミーラが妊娠してから二つの季節を越えていた。
書斎では既に恒例となっていたアルトによる診察報告が行われていた。
「乳房マッサージは、出産後スムーズに母乳が出るようにするために必要なものです。
まずは乳輪マッサージです。
両手の人差し指と中指を乳輪の回りに置いて軽く押し、乳頭を突出させます」
アミーラの張りのある柔らかな乳房。
そこに両手を添えて指を動かすアルトを脳裏に思い描く。
「次に乳頭乳輪を親指、人差し指、中指の三本の指の腹で優しく挟んだり、こよりを作るように指を動かして引っ張ったりして、乳首をほぐして差し上げました。
日頃の成果もあり、今ではこれくらい伸びるんですよ」
アルトが指先で長さを示した
妊娠前に比べ、アミーラの乳首はいくらか色素が強くなっていた。
その乳首をアルトの指がマッサージと称して蹂躙していく。
「そしたら今日はなんと乳汁が出たんですよ。
これは乳管が開いたサインであり、出産後にスムーズな母乳分泌が期待できますよ。
量は少ないですが、旦那様にも見ていただこうと思い、採取させて頂いてきました」
アルトが懐から小瓶を一つ取り出した。
中には少量の白い液体が入っている。
「これがアミーラ様の乳汁です。味は……、ほのかな甘味がありますね」
あろうことかアルトは私の前で小瓶の中身を煽って見せた。
本来であればこれから産まれてくる私たちの子供だけが知るはずの味。
それを赤の他人であるアルトが知った。
「母乳の味も子育てには大切ですからね。
タンパク質をしっかりと含んだ栄養バランスの良い食事を摂ると、母乳の味も良くなります。ポイントは脂質を控えることですね。
産後は母乳の味が良いかどうか私のほうで確認しながら、アミーラ様の食事を調整していきましょう。
それがアミーラ様とお子様のためですから」
「あ、ああ。そうだな……」
アミーラの乳をアルトが飲むのは必要なことなのだ……。
だからこれは不埒な行為ではない……。
「乳汁が出始めると乳垢という白いものが乳頭に付着します。
これをこのまま放置すると乳管のつまりや母乳の分泌を妨げてしまう原因となります。
ですので、定期的にオイルを染み込ませたガーゼなどで優しく拭き取る必要がありますね。
こちらは診察の度に乳垢がないか私のほうで確認して、清拭することにします」
「そうか……、それは助かる」
「いえ、それが私の仕事ですから」
そう、仕事だ。
アルトがアミーラの乳首を清潔にするのも必要なことなのだ。
「大丈夫です。全て私に任せてください。
アミーラ様の身体のことを一番良く知っているのは私なのですから」
「ああ、そうだな……。よろしく頼む」
アルトに任せれば問題ない……。
独りになった書斎で、私はいつものように己を慰めた。
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