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55.10階層
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幸いにも隠し部屋から10階層へはそれほど時間をかけることなくたどり着くことができた。
ケントたちの実力ならば魔物を避けて進むより、倒した方が早いので脳内マップで最短ルートを進んだおかげだ。
道中フロスティが魔杖をもった状態での戦闘をしてみたが、流石というべきかなかなかの威力だった。
魔杖を鑑定したときにあった「効果を4倍にする」というものをケントは単に攻撃力が4倍になるものだと思っていた。
だがフロスティの様子を見るとどうやら攻撃力だけでなく発動速度、発射速度共に魔杖装備前と比較してはるかに速くなっている。
おそらく魔杖を装備するとスキルレベルを2つほど押し上げてくれるのではないだろうか。
もちろん消費MPが2倍になるというデメリットもあるが、威力が向上している分燃費は良くなっている。
自分の放つ魔法の威力に興奮し、バカスカ魔法を放ってボス戦前にMPを無駄に消費しようとするフロスティをなだめるのに苦労した。
そんな一幕はあったものの、とくに問題もなく10階層へたどり着いた。
10階層へ降りるとそこには両開きの大きな扉があった。
見上げるほどの大扉にはゴブリンと思われる醜悪な魔物の絵が刻まれている。
ゴブリンジェネラル、それが10階層のボスである。
ゴブリンの上位種であるゴブリンジェネラルは、同レベルなら少数のオークを相手取って戦えると言われている。
先日森に出現したオークの群れ程の脅威はないが、オーク単体よりは強いといったところだ。
オーク単体がCランクパーティー推奨であることから、ゴブリンジェネラルを倒すにはCランクパーティーの内でもある程度の実力が必要であることが予測できる。
「それじゃあ行こうか」
3人はボス部屋へと続く大扉へと足を進める。
こんな大きな扉を本当に開けることができるのか少し疑問だったが、大扉に近づくと触れてもいないのに勝手に開き始めた。
(自動ドアか~。
確かにこんな大きな扉を力ずくで開けるのはボスを倒すより苦労しそうだよな)
そんなことを考えながらケントはボス部屋へ侵入した。
ちなみにこの大扉は冒険者が部屋から出るまで閉まることは無いらしい。
危なくなったら逃げることのできる親切設計のようだ。
そんなボス部屋だが、ボス部屋といっても華美な装飾が施されているわけでもなく、上の階層と見た目に違いはない。
だが、その部屋はただただ広かった。
ゴブリンジェネラルを見たことは無いが、この広い部屋が必要になるほど大きくも機動力があるわけでもないだろう。
しかし、もし他のボス部屋も同じくらい広いとしたら、それはその広さが必要なボスが下層にはいるということを示唆している。
いずれまみえるであろう敵を想像しつつ、足を進める。
部屋の中ほどまで来たところで、正面の少し離れたところに黒い靄のようなものが集まり始めた。
それは少しずつ凝縮していき、ゴブリンジェネラルを形成していった。
昔、この黒い靄の状態のボスに攻撃をした冒険者がいたらしいが、ダメージを与えることができなかったらしい。
もちろんその冒険者の攻撃力が低かっただけで、ケントならばダメージを与えることができるかもしれないが、初めてのボス戦だ、勝てるかわからないような相手ならともかく、ゴブリンジェネラル程度に後れを取ることは無いだろう。
ケントは大人しくゴブリンジェネラルが顕現するまで待つことにした。
悪役がヒーローの変身を待っているときってこんな気分なのかな~とどうでもいいことを考えていると、ゴブリンジェネラルの形成が終わった。
「ギャッ、ギャアァー!」
不快な奇声を上げながら、手に持つ木製の棍棒を頭上に掲げるゴブリンジェネラル。
大きさはオークより少し小さいだろうか。
それでもゴブリンよりは大きな体躯は筋肉の鎧で覆われており、痩せ細ったゴブリンとは迫力が違う。
雄叫びを上げ終わったゴブリンジェネラルがこちらへ向かって走り始めた。
「それじゃあ、作戦通りに」
「ええ」
「ああ」
2人の返事を聞き、ケントもゴブリンジェネラルの方へ足を進める。
作戦といっても大したものではない。
ケントとミランダでゴブリンジェネラルを押さえ、フロスティが魔法を叩きこむというだけだ。
フロスティのおかげでボス討伐ができたとするつもりなので、できるだけそれに沿うようにしたのだ。
どうでもいいようなことだが、嘘をつかないことに越したことは無い。
主にケントの精神衛生的に。
ゴブリンジェネラルの大ぶりな棍棒の振り下ろしを横へ跳ぶことで危なげなく躱したケントは、振り下ろした腕を斬りつけた。
今回ケントは魔剣に魔力をわずかしか流していない。
あまり魔力を流すと切れ味が上がり過ぎて一太刀でゴブリンジェネラルを倒してしまいかねないからだ。
ミランダやフロスティにとって初めてのボス戦をケント1人で倒してしまっては味気ないだろう。
なのでケントは今回ほとんど強化していない魔剣のみで戦い、魔法も使用しないことにした。
もちろん危険な状態になれば、躊躇なく使うつもりだが。
そんな訳でケントの斬りつけを受けたゴブリンジェネラルは、負傷はしたものの戦闘に影響が出るほどの傷は負わなかった。
「ギィッ、ギィッ!」
奇声を上げながら、己を切りつけたケントの方へ体の向きを変えるゴブリンジェネラル。
そのがら空きになった背後をミランダが一閃した。
「グギャーッ!」
背中を斬りつけられたことが不快だったのか、ゴブリンジェネラルはその場で無茶苦茶に棍棒を振り回し始めた。
そんな攻撃をケントとミランダはゴブリンジェネラルから距離をとることで、問題なく躱す。
「行くぞ!」
フロスティの掛け声とともに飛んできたファイヤーボールは、暴れるゴブリンジェネラルの顔面に見事命中した。
魔杖で強化されたフロスティのファイヤーボールの威力はすさまじく、吹き飛ばされたゴブリンジェネラルはそのまま転倒した。
とはいえ流石はボスといったところだろうか。
フロスティの一撃を受けてもなお立ち上がろうとするゴブリンジェネラル。
ケントとミランダはすかさず手足を斬りつけ、ゴブリンジェネラルが立ち上がるのを妨害する。
「次行くぞ!」
フロスティの声を受け2人が距離をとったところで、再びフロスティのファイヤーボールがゴブリンジェネラルの顔面に直撃した。
立ち上がろうとしていたゴブリンジェネラルの体躯がまたもや倒れ伏す。
流石に2発目は耐えきれなかったのかゴブリンジェネラルはそのまま霧散し、後にはゴブリンジェネラルの魔石と宝箱が残されていた。
ケントたちの実力ならば魔物を避けて進むより、倒した方が早いので脳内マップで最短ルートを進んだおかげだ。
道中フロスティが魔杖をもった状態での戦闘をしてみたが、流石というべきかなかなかの威力だった。
魔杖を鑑定したときにあった「効果を4倍にする」というものをケントは単に攻撃力が4倍になるものだと思っていた。
だがフロスティの様子を見るとどうやら攻撃力だけでなく発動速度、発射速度共に魔杖装備前と比較してはるかに速くなっている。
おそらく魔杖を装備するとスキルレベルを2つほど押し上げてくれるのではないだろうか。
もちろん消費MPが2倍になるというデメリットもあるが、威力が向上している分燃費は良くなっている。
自分の放つ魔法の威力に興奮し、バカスカ魔法を放ってボス戦前にMPを無駄に消費しようとするフロスティをなだめるのに苦労した。
そんな一幕はあったものの、とくに問題もなく10階層へたどり着いた。
10階層へ降りるとそこには両開きの大きな扉があった。
見上げるほどの大扉にはゴブリンと思われる醜悪な魔物の絵が刻まれている。
ゴブリンジェネラル、それが10階層のボスである。
ゴブリンの上位種であるゴブリンジェネラルは、同レベルなら少数のオークを相手取って戦えると言われている。
先日森に出現したオークの群れ程の脅威はないが、オーク単体よりは強いといったところだ。
オーク単体がCランクパーティー推奨であることから、ゴブリンジェネラルを倒すにはCランクパーティーの内でもある程度の実力が必要であることが予測できる。
「それじゃあ行こうか」
3人はボス部屋へと続く大扉へと足を進める。
こんな大きな扉を本当に開けることができるのか少し疑問だったが、大扉に近づくと触れてもいないのに勝手に開き始めた。
(自動ドアか~。
確かにこんな大きな扉を力ずくで開けるのはボスを倒すより苦労しそうだよな)
そんなことを考えながらケントはボス部屋へ侵入した。
ちなみにこの大扉は冒険者が部屋から出るまで閉まることは無いらしい。
危なくなったら逃げることのできる親切設計のようだ。
そんなボス部屋だが、ボス部屋といっても華美な装飾が施されているわけでもなく、上の階層と見た目に違いはない。
だが、その部屋はただただ広かった。
ゴブリンジェネラルを見たことは無いが、この広い部屋が必要になるほど大きくも機動力があるわけでもないだろう。
しかし、もし他のボス部屋も同じくらい広いとしたら、それはその広さが必要なボスが下層にはいるということを示唆している。
いずれまみえるであろう敵を想像しつつ、足を進める。
部屋の中ほどまで来たところで、正面の少し離れたところに黒い靄のようなものが集まり始めた。
それは少しずつ凝縮していき、ゴブリンジェネラルを形成していった。
昔、この黒い靄の状態のボスに攻撃をした冒険者がいたらしいが、ダメージを与えることができなかったらしい。
もちろんその冒険者の攻撃力が低かっただけで、ケントならばダメージを与えることができるかもしれないが、初めてのボス戦だ、勝てるかわからないような相手ならともかく、ゴブリンジェネラル程度に後れを取ることは無いだろう。
ケントは大人しくゴブリンジェネラルが顕現するまで待つことにした。
悪役がヒーローの変身を待っているときってこんな気分なのかな~とどうでもいいことを考えていると、ゴブリンジェネラルの形成が終わった。
「ギャッ、ギャアァー!」
不快な奇声を上げながら、手に持つ木製の棍棒を頭上に掲げるゴブリンジェネラル。
大きさはオークより少し小さいだろうか。
それでもゴブリンよりは大きな体躯は筋肉の鎧で覆われており、痩せ細ったゴブリンとは迫力が違う。
雄叫びを上げ終わったゴブリンジェネラルがこちらへ向かって走り始めた。
「それじゃあ、作戦通りに」
「ええ」
「ああ」
2人の返事を聞き、ケントもゴブリンジェネラルの方へ足を進める。
作戦といっても大したものではない。
ケントとミランダでゴブリンジェネラルを押さえ、フロスティが魔法を叩きこむというだけだ。
フロスティのおかげでボス討伐ができたとするつもりなので、できるだけそれに沿うようにしたのだ。
どうでもいいようなことだが、嘘をつかないことに越したことは無い。
主にケントの精神衛生的に。
ゴブリンジェネラルの大ぶりな棍棒の振り下ろしを横へ跳ぶことで危なげなく躱したケントは、振り下ろした腕を斬りつけた。
今回ケントは魔剣に魔力をわずかしか流していない。
あまり魔力を流すと切れ味が上がり過ぎて一太刀でゴブリンジェネラルを倒してしまいかねないからだ。
ミランダやフロスティにとって初めてのボス戦をケント1人で倒してしまっては味気ないだろう。
なのでケントは今回ほとんど強化していない魔剣のみで戦い、魔法も使用しないことにした。
もちろん危険な状態になれば、躊躇なく使うつもりだが。
そんな訳でケントの斬りつけを受けたゴブリンジェネラルは、負傷はしたものの戦闘に影響が出るほどの傷は負わなかった。
「ギィッ、ギィッ!」
奇声を上げながら、己を切りつけたケントの方へ体の向きを変えるゴブリンジェネラル。
そのがら空きになった背後をミランダが一閃した。
「グギャーッ!」
背中を斬りつけられたことが不快だったのか、ゴブリンジェネラルはその場で無茶苦茶に棍棒を振り回し始めた。
そんな攻撃をケントとミランダはゴブリンジェネラルから距離をとることで、問題なく躱す。
「行くぞ!」
フロスティの掛け声とともに飛んできたファイヤーボールは、暴れるゴブリンジェネラルの顔面に見事命中した。
魔杖で強化されたフロスティのファイヤーボールの威力はすさまじく、吹き飛ばされたゴブリンジェネラルはそのまま転倒した。
とはいえ流石はボスといったところだろうか。
フロスティの一撃を受けてもなお立ち上がろうとするゴブリンジェネラル。
ケントとミランダはすかさず手足を斬りつけ、ゴブリンジェネラルが立ち上がるのを妨害する。
「次行くぞ!」
フロスティの声を受け2人が距離をとったところで、再びフロスティのファイヤーボールがゴブリンジェネラルの顔面に直撃した。
立ち上がろうとしていたゴブリンジェネラルの体躯がまたもや倒れ伏す。
流石に2発目は耐えきれなかったのかゴブリンジェネラルはそのまま霧散し、後にはゴブリンジェネラルの魔石と宝箱が残されていた。
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