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1.陥落した城塞都市
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国境近くの城塞都市。
隣国からの侵攻を幾度となく退けてきた実績を誇り、これからも国を守り続けていく。
都市に住む誰もがその事を疑わなかった。
そんな油断があったのだろう。
もっとできたことがあったはずだ。
そんな後悔ばかりが胸の内に積もっていく。
リリーヤ・ステークスは、燃え落ちる都市を見ながら崩れ落ちた。
◇
その侵攻はあまりに苛烈だった。
隣国が秘密裏に開発していた、対城塞都市用の魔道兵器。
それは魔術師が放つ魔法の射程距離を伸ばすというものだった。
弓も届かぬ遠距離から、都市内部に向けて一方的に放たれる魔法の嵐。
城塞都市の兵たちもただ黙って見ていたわけではない。
必死で魔法のレジストにあたった。
しかし、頭上から降り注ぐ魔法を防ぐというのは容易なことではない。
元々、この城塞都市の兵士は、見上げるような高さをした、堅牢な城壁を活かした守衛に特化していた。
そのため、その城壁を悠々と越え、都市内部に降り注ぐ魔法を対処する術などろくに持ち合わせていなかったのだ。
突然襲った魔法の雨の前に、無敗を誇っていた城塞都市はあっさりと陥落した。
◇
都市を治めていたステークス家は、早々に降伏を決意。
燃え盛る都市を見て、これ以上民を失うということを許容などできなかった。
領主と夫人、そしてその息子は、乗り込んできた敵兵の手によってあっさり処刑された。
目の前で首を刎ねられ、冷たくなっていく両親と弟の姿は、リリーヤを絶望させるには十分だった。
領主の娘であるリリーヤは、若い女であるという理由だけで生かされた。
両親や弟が殺されたのに自分は生かされる。
その事実は領主の娘として悔しかったが、それと同時に死なずにすむとわかりホッとしている自分もいた。
どれだけ誇りをもって生きようとも、死ぬのは怖い。
どれだけ惨めであろうとも、生かされたのなら生を全うしよう。
だが、そんなリリーヤの決意は、呆気なく打ち砕かれることになる。
隣国からの侵攻を幾度となく退けてきた実績を誇り、これからも国を守り続けていく。
都市に住む誰もがその事を疑わなかった。
そんな油断があったのだろう。
もっとできたことがあったはずだ。
そんな後悔ばかりが胸の内に積もっていく。
リリーヤ・ステークスは、燃え落ちる都市を見ながら崩れ落ちた。
◇
その侵攻はあまりに苛烈だった。
隣国が秘密裏に開発していた、対城塞都市用の魔道兵器。
それは魔術師が放つ魔法の射程距離を伸ばすというものだった。
弓も届かぬ遠距離から、都市内部に向けて一方的に放たれる魔法の嵐。
城塞都市の兵たちもただ黙って見ていたわけではない。
必死で魔法のレジストにあたった。
しかし、頭上から降り注ぐ魔法を防ぐというのは容易なことではない。
元々、この城塞都市の兵士は、見上げるような高さをした、堅牢な城壁を活かした守衛に特化していた。
そのため、その城壁を悠々と越え、都市内部に降り注ぐ魔法を対処する術などろくに持ち合わせていなかったのだ。
突然襲った魔法の雨の前に、無敗を誇っていた城塞都市はあっさりと陥落した。
◇
都市を治めていたステークス家は、早々に降伏を決意。
燃え盛る都市を見て、これ以上民を失うということを許容などできなかった。
領主と夫人、そしてその息子は、乗り込んできた敵兵の手によってあっさり処刑された。
目の前で首を刎ねられ、冷たくなっていく両親と弟の姿は、リリーヤを絶望させるには十分だった。
領主の娘であるリリーヤは、若い女であるという理由だけで生かされた。
両親や弟が殺されたのに自分は生かされる。
その事実は領主の娘として悔しかったが、それと同時に死なずにすむとわかりホッとしている自分もいた。
どれだけ誇りをもって生きようとも、死ぬのは怖い。
どれだけ惨めであろうとも、生かされたのなら生を全うしよう。
だが、そんなリリーヤの決意は、呆気なく打ち砕かれることになる。
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