2 / 3
2.清め
しおりを挟む
私は二人を先導して聖堂の奥にある扉を開く。
あまり広くない部屋。
脱衣所だ。
そこには二人の修道女が待機していた。
『聖女』のお務めについて知っている数少ない者たちである。
ロフトたちを招き入れ扉を閉めると、私は深呼吸をした。
「それではこれよりお務めを始めます」
修道女たちに目配せをする。
すると手慣れた動きで私の身につけたものに手を伸ばした。
純白のベールをとり、一枚着の修道服を脱がしていく。
その間、私はされるがままだ。
服くらい一人で脱げるが、お務めの間はすべてのことを彼女たちに任せなければならない。
それがロフトの決めた規則だからである。
パサリと修道服が床に落ちる。
その下には、簡素な下着に覆われただけの裸体があった。
サイトの視線を背中に感じている間も、修道女の手によって下着すらも取り払われていく。
「おおっ!」
サイトが思わずといった風に歓声をあげた。
普段ベールの下に隠れている黄金色の髪は、緩くウェーブを描きながら、抜けるように白い背の中ほどまで伸びている。
細い首筋。
滑らかな鎖骨から視線を下ろすと、そこに実る二つの果実。
修道服の上からでもその存在感を主張していたそれは、衣服の束縛から解放され弾むように生っている。
縦長のへそと見事な弧を描くくびれ。
肉付きのいい臀部から伸びるしなやかな脚。
そしてその間にある女の部分。
狭い脱衣所の中。
手を伸ばせば触れられてしまう距離で、私はそのすべてを晒していた。
正直、同姓の修道女に見られるのだって恥ずかしい。
それに加えて今日は何度も見られているロフトだけではなく、初めて見られるサイトまでいるのだ。
皆が服を着ているなかで自分だけが裸体を晒しているという状況に顔が熱くなる。
だがお務めは、裸体を晒して終わりではない。
私は一糸纏わぬ姿のまま、脱衣所の奥にある扉を開いた。
湿度の高い室内。
うっすらと立ち込める湯気の中には、湯の張られた浴槽があった。
「グフフッ! ここで『聖水』が作られているのか!」
サイトの声が浴室に反響する。
「……それではこれより、身を清めます」
私は肩幅に足を開き、両腕を地面と水平になるよう伸ばした。
すかさず修道女たちが私の身体を洗い始める。
「『聖水』を生み出す前に、必ず修道女たちの手によって、身体の隅々まで洗うようにしている。瓶詰めする前にろ過はしているが、それでも『聖水』に不純物が混入するリスクは少しでも排除したいからな」
「グフフッ、なるほど。ですが父上。ミレーユ様であれば、そのままのほうが高く買い取る者もいるのでは?」
「確かにそういう物好きもいるだろうが、その付加価値をつけるには、『聖水』の秘密をある程度周知する必要があるからな。いずれは一部の金持ち相手に売り出してもいいかもしれないが、まだその時期ではない」
私の洗体される姿を眺めながら、下衆な会話をする二人。
それにしてもやはり、サイトはロフトから『聖水』の秘密について事前に説明を受けているらしい。
『聖水』。
傷口にかければたちまちそれを癒し、口に含めばあらゆる病を治す。
この世のものとは思えない圧倒的な効能を秘めたその水は、『聖女』であるミレーユの手によって作り出されているとされているが、その詳細な製法を知る者はごくわずかだ。
元々豊かだったグリメンス領は、この『聖水』によって更に発展した。
怪我や病気で亡くなる者が激減したのだ。
単純な労働力の質が他領のものとは比較にならなくなるのだから当然だろう。
人々は『聖水』をありがたがり、ミレーユのことを『聖女』と崇めるのに時間はかからなかった。
(本当のことを知っても、みんなは私を慕ってくれるのかしら……)
いつも思うことだ。
『聖水』の秘密を知ってしまえば、きっと私のことをよく思わない人間が出てくると。
そう考えると、ロフトの命で『聖水』を作っているということ自体が、ロフトに対する弱みになってしまっているのだから皮肉なものだ。
修道女の立てるかすかな水音だけが聞こえてくる。
一人は上半身を重点的に洗っていた。
身体を洗うのにタオルは使わない。
泡立てた石鹸を掬い、素手で優しく擦っていく。
首を包み、肩を撫で、脇から指先まで流れるように手を滑らせていく。
絹のように滑らかな背中を上下に擦る。
そして二つの果実を掬い上げるようにして丹念に洗い上げる。
豊かなそれは、修道女の手の動きに合わせて柔らかく弾んでいく。
けっして強くない穏やかな刺激と、己だけが裸体を晒しているという羞恥で、頂がツンと尖っていく。
その様すらロフトたちに見られていると思うと、それだけでのぼせてしまいそうになる。
一人は下半身を重点的に洗っている。
ほどよく肉のついた臀部を揉み込み、大腿、ふくらはぎへと下りていく。
当然、普通であれば他人に触れられることなどない奥の奥まで丹念に洗われる。
優しい指先の動きに合わせて、チラチラと桃色の中身が見えてしまっていることだろう。
それは官能を呼び覚ますことを目的としたものではないが、それでも他人に触られているという状況だけで沸き上がるものがどうしても出てくる。
石鹸ではない水気があることを修道女は気がついているに違いない。
同性とはいえ、無防備に身体中をまさぐられるのはどうにも慣れそうにない。
更に今日は、修道女の手によって揺れる肉をロフトたちに見られてしまっている。
お務めだと言葉を取り繕っても、実際行っているのは男の前で裸体になり、隅々まで晒しながら洗われているだけだ。
ロフトたちの好色な視線をみれば、今の私はただの見世物だと嫌でも実感せざるをえない。
あまり広くない部屋。
脱衣所だ。
そこには二人の修道女が待機していた。
『聖女』のお務めについて知っている数少ない者たちである。
ロフトたちを招き入れ扉を閉めると、私は深呼吸をした。
「それではこれよりお務めを始めます」
修道女たちに目配せをする。
すると手慣れた動きで私の身につけたものに手を伸ばした。
純白のベールをとり、一枚着の修道服を脱がしていく。
その間、私はされるがままだ。
服くらい一人で脱げるが、お務めの間はすべてのことを彼女たちに任せなければならない。
それがロフトの決めた規則だからである。
パサリと修道服が床に落ちる。
その下には、簡素な下着に覆われただけの裸体があった。
サイトの視線を背中に感じている間も、修道女の手によって下着すらも取り払われていく。
「おおっ!」
サイトが思わずといった風に歓声をあげた。
普段ベールの下に隠れている黄金色の髪は、緩くウェーブを描きながら、抜けるように白い背の中ほどまで伸びている。
細い首筋。
滑らかな鎖骨から視線を下ろすと、そこに実る二つの果実。
修道服の上からでもその存在感を主張していたそれは、衣服の束縛から解放され弾むように生っている。
縦長のへそと見事な弧を描くくびれ。
肉付きのいい臀部から伸びるしなやかな脚。
そしてその間にある女の部分。
狭い脱衣所の中。
手を伸ばせば触れられてしまう距離で、私はそのすべてを晒していた。
正直、同姓の修道女に見られるのだって恥ずかしい。
それに加えて今日は何度も見られているロフトだけではなく、初めて見られるサイトまでいるのだ。
皆が服を着ているなかで自分だけが裸体を晒しているという状況に顔が熱くなる。
だがお務めは、裸体を晒して終わりではない。
私は一糸纏わぬ姿のまま、脱衣所の奥にある扉を開いた。
湿度の高い室内。
うっすらと立ち込める湯気の中には、湯の張られた浴槽があった。
「グフフッ! ここで『聖水』が作られているのか!」
サイトの声が浴室に反響する。
「……それではこれより、身を清めます」
私は肩幅に足を開き、両腕を地面と水平になるよう伸ばした。
すかさず修道女たちが私の身体を洗い始める。
「『聖水』を生み出す前に、必ず修道女たちの手によって、身体の隅々まで洗うようにしている。瓶詰めする前にろ過はしているが、それでも『聖水』に不純物が混入するリスクは少しでも排除したいからな」
「グフフッ、なるほど。ですが父上。ミレーユ様であれば、そのままのほうが高く買い取る者もいるのでは?」
「確かにそういう物好きもいるだろうが、その付加価値をつけるには、『聖水』の秘密をある程度周知する必要があるからな。いずれは一部の金持ち相手に売り出してもいいかもしれないが、まだその時期ではない」
私の洗体される姿を眺めながら、下衆な会話をする二人。
それにしてもやはり、サイトはロフトから『聖水』の秘密について事前に説明を受けているらしい。
『聖水』。
傷口にかければたちまちそれを癒し、口に含めばあらゆる病を治す。
この世のものとは思えない圧倒的な効能を秘めたその水は、『聖女』であるミレーユの手によって作り出されているとされているが、その詳細な製法を知る者はごくわずかだ。
元々豊かだったグリメンス領は、この『聖水』によって更に発展した。
怪我や病気で亡くなる者が激減したのだ。
単純な労働力の質が他領のものとは比較にならなくなるのだから当然だろう。
人々は『聖水』をありがたがり、ミレーユのことを『聖女』と崇めるのに時間はかからなかった。
(本当のことを知っても、みんなは私を慕ってくれるのかしら……)
いつも思うことだ。
『聖水』の秘密を知ってしまえば、きっと私のことをよく思わない人間が出てくると。
そう考えると、ロフトの命で『聖水』を作っているということ自体が、ロフトに対する弱みになってしまっているのだから皮肉なものだ。
修道女の立てるかすかな水音だけが聞こえてくる。
一人は上半身を重点的に洗っていた。
身体を洗うのにタオルは使わない。
泡立てた石鹸を掬い、素手で優しく擦っていく。
首を包み、肩を撫で、脇から指先まで流れるように手を滑らせていく。
絹のように滑らかな背中を上下に擦る。
そして二つの果実を掬い上げるようにして丹念に洗い上げる。
豊かなそれは、修道女の手の動きに合わせて柔らかく弾んでいく。
けっして強くない穏やかな刺激と、己だけが裸体を晒しているという羞恥で、頂がツンと尖っていく。
その様すらロフトたちに見られていると思うと、それだけでのぼせてしまいそうになる。
一人は下半身を重点的に洗っている。
ほどよく肉のついた臀部を揉み込み、大腿、ふくらはぎへと下りていく。
当然、普通であれば他人に触れられることなどない奥の奥まで丹念に洗われる。
優しい指先の動きに合わせて、チラチラと桃色の中身が見えてしまっていることだろう。
それは官能を呼び覚ますことを目的としたものではないが、それでも他人に触られているという状況だけで沸き上がるものがどうしても出てくる。
石鹸ではない水気があることを修道女は気がついているに違いない。
同性とはいえ、無防備に身体中をまさぐられるのはどうにも慣れそうにない。
更に今日は、修道女の手によって揺れる肉をロフトたちに見られてしまっている。
お務めだと言葉を取り繕っても、実際行っているのは男の前で裸体になり、隅々まで晒しながら洗われているだけだ。
ロフトたちの好色な視線をみれば、今の私はただの見世物だと嫌でも実感せざるをえない。
10
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【R18】触手に犯された少年聖女を見て興奮した俺はヒトとして獣人として最低です
アマンダ
恋愛
獣人騎士のアルは、護衛対象である少年と共に、ダンジョンでエロモンスターに捕まってしまう。ヌルヌルの触手が与える快楽から逃れようと顔を上げると、顔を赤らめ恥じらう少年の痴態が――――。
連載中の『世界のピンチが救われるまで本能に従ってはいけません!!〜少年聖女と獣人騎士の攻防戦〜』のR18ver.となります。おなじく『男のフリした聖女は触手にアンアン喘がされ、ついでに想い人の獣人騎士も後ろでアンアンしています。』の続編・ヒーロー視点となっています。
本編は読まなくてもわかるようになってますがヒロイン視点を先に読んでから、お読みいただくのが作者のおすすめです!
ヒーロー本人はBLだと思ってますが、残念、BLではありません。
オークションで競り落とされた巨乳エルフは少年の玩具となる。【完結】
ちゃむにい
恋愛
リリアナは奴隷商人に高く売られて、闇オークションで競りにかけられることになった。まるで踊り子のような露出の高い下着を身に着けたリリアナは手錠をされ、首輪をした。
※ムーンライトノベルにも掲載しています。
放尿騎士と聖女王女
豆丸
恋愛
ワガママお転婆第六王女アンジェシカは家庭教師から逃げ出し西棟東屋に向かう途中、聖騎士ルシルのおしっこを浴びてしまう。
怒ったアンジェシカは仕返しにルシルにおしっこをかけると言い出すが、え?これ?恥ずかしの私じゃない?となる話。
※聖水プレイあります、苦手な人は回れ右で。 頭空っぽで温かい心で読んで下さい。
ムーンライトにも投稿しています。
【R18】少年のフリした聖女は触手にアンアン喘がされ、ついでに後ろで想い人もアンアンしています
アマンダ
恋愛
女神さまからのご命令により、男のフリして聖女として召喚されたミコトは、世界を救う旅の途中、ダンジョン内のエロモンスターの餌食となる。
想い人の獣人騎士と共に。
彼の運命の番いに選ばれなかった聖女は必死で快楽を堪えようと耐えるが、その姿を見た獣人騎士が……?
連載中の『世界のピンチが救われるまで本能に従ってはいけません!!〜少年聖女と獣人騎士の攻防戦〜』のR18ver.となっています!本編を見なくてもわかるようになっています。前後編です!!
ご好評につき続編『触手に犯される少年聖女を見て興奮した俺はヒトとして獣人として最低です』もUPしましたのでよかったらお読みください!!
森の天才薬師の最高傑作! 感度100倍の媚薬を飲んで、放置されたらどうなるのか!?
大和ラカ
ファンタジー
森に暮らしている天才薬師、エリーナ・ロブロイ。
彼女は毎日のように研究に明け暮れている。
助手であり幼なじみであるジャック・ロゼッタもその研究に付き合っていた。
しかし、その研究というのは性的快楽を求める研究であり、ジャックはそれらに振り回されていた。
今回も新たなものを開発したようだが、なんとそれは感度100倍の媚薬だった。
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる