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2.月曜日
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月曜日。
俺はいつもよりかなり早めに登校した。
リリには目印としてヘアゴムをつけてもらうことになっている。
しかし、今日一日でリリの正体を突き止めるとなると、やはり時間が足りない。
クラスの中にリリがいればそれでいい。
だが、もしリリが他のクラスの生徒だった場合、普通に生活していては顔すら合わせないまま終わってしまうことだってありえる。
猶予は五日間あるのだからその間に見つけることができればいいわけだが、二つ目以降のお願いをより楽しいものにするためにもできれば初日にリリの正体を特定しておきたい。
そこで俺は登校する生徒の中からリリを見つけ出すことにした。
場所は四階の男子トイレ。
校舎の四階には特別教室しかなく、朝のこの時間に四階のトイレを使用する者はいない。
そしてトイレの窓からは、校門が良く見えるのだ。
あらかじめ用意しておいた双眼鏡を取り出すと、俺は校門のほうを覗き込んだ。
ポツリ、ポツリと朝練のある部活の生徒たちが登校してくる。
その内、赤いリボンをした二年生の女子だけを注意深く観察していく。
こうして改めて見ると、同じ学年でも名前を知らない女子が結構いることに気がつく。
俺自身社交性のあるほうではないといえばそれまでだが、折角の高校生活なのに異性の影一つない己の現状に悲しくなる。
観察を初めて一時間くらいしたころ。
未だに俺はリリを見つけられていなかった。
まだ始業時間に余裕はあるが、それでも焦る気持ちが沸いてくる。
そのときだった。
「来たっ!」
ようやく目的の人物が現れた。
編み込みまではさすがに見えないが、確かに明るい緑色をしたヘアゴムをしている。
俺はスマホで少し前に送られてきた、朝の分のリリの画像を見る。
顔は写っていないが、後ろで一つ結びにした艶やかな黒髪は、今登校してきた人物のものと比べて相違ない。
彼女がリリだ。
「それにしても、まさかリリの正体は泉堂さんだったのか」
泉堂百合。
勉強も運動もそつなくこなし、生徒会にも所属する優等生。
俺のクラスメートでもある。
普段、ストレートな髪型の百合が、今日に限ってわざわざ緑色のヘアゴムで髪を一つにまとめているのだから、リリであることはまず間違いないだろう。
エロアカのユーザーネームがリリだったことから、もしかしてとは思っていた。
だがまさか、本当にあの百合がリリだったなんて。
正直、リリの正体が俺の好みの女子ではなかった場合、こんなことすぐにやめるつもりだった。
いくら多感な男子高生といえども、さすがに女子なら誰でも興奮できるわけではない。
そんな中で、百合は俺の大本命だった。
見た目はドストライクであり、優しく正義感のある性格も悪くない。
クラスメートとはいえ、ほとんど話したこともない高嶺の存在。
そんな百合の弱みを俺は握っているのだ。
「くっくっくっ……」
噛み殺しきれなかった笑いが静かなトイレに響く。
これから一週間、あの百合が俺の手のひらの上で踊らされるのだ。
いつもと変わらない、澄ました顔で歩いている百合を双眼鏡で眺めながら、俺は興奮を募らせた。
俺はいつもよりかなり早めに登校した。
リリには目印としてヘアゴムをつけてもらうことになっている。
しかし、今日一日でリリの正体を突き止めるとなると、やはり時間が足りない。
クラスの中にリリがいればそれでいい。
だが、もしリリが他のクラスの生徒だった場合、普通に生活していては顔すら合わせないまま終わってしまうことだってありえる。
猶予は五日間あるのだからその間に見つけることができればいいわけだが、二つ目以降のお願いをより楽しいものにするためにもできれば初日にリリの正体を特定しておきたい。
そこで俺は登校する生徒の中からリリを見つけ出すことにした。
場所は四階の男子トイレ。
校舎の四階には特別教室しかなく、朝のこの時間に四階のトイレを使用する者はいない。
そしてトイレの窓からは、校門が良く見えるのだ。
あらかじめ用意しておいた双眼鏡を取り出すと、俺は校門のほうを覗き込んだ。
ポツリ、ポツリと朝練のある部活の生徒たちが登校してくる。
その内、赤いリボンをした二年生の女子だけを注意深く観察していく。
こうして改めて見ると、同じ学年でも名前を知らない女子が結構いることに気がつく。
俺自身社交性のあるほうではないといえばそれまでだが、折角の高校生活なのに異性の影一つない己の現状に悲しくなる。
観察を初めて一時間くらいしたころ。
未だに俺はリリを見つけられていなかった。
まだ始業時間に余裕はあるが、それでも焦る気持ちが沸いてくる。
そのときだった。
「来たっ!」
ようやく目的の人物が現れた。
編み込みまではさすがに見えないが、確かに明るい緑色をしたヘアゴムをしている。
俺はスマホで少し前に送られてきた、朝の分のリリの画像を見る。
顔は写っていないが、後ろで一つ結びにした艶やかな黒髪は、今登校してきた人物のものと比べて相違ない。
彼女がリリだ。
「それにしても、まさかリリの正体は泉堂さんだったのか」
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俺のクラスメートでもある。
普段、ストレートな髪型の百合が、今日に限ってわざわざ緑色のヘアゴムで髪を一つにまとめているのだから、リリであることはまず間違いないだろう。
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だがまさか、本当にあの百合がリリだったなんて。
正直、リリの正体が俺の好みの女子ではなかった場合、こんなことすぐにやめるつもりだった。
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そんな中で、百合は俺の大本命だった。
見た目はドストライクであり、優しく正義感のある性格も悪くない。
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そんな百合の弱みを俺は握っているのだ。
「くっくっくっ……」
噛み殺しきれなかった笑いが静かなトイレに響く。
これから一週間、あの百合が俺の手のひらの上で踊らされるのだ。
いつもと変わらない、澄ました顔で歩いている百合を双眼鏡で眺めながら、俺は興奮を募らせた。
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