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244話 ルティスタ 7
しおりを挟む顔合わせも済んだのでネレイアを帰らせ、呆れ顔の治まらないギルド長をよそに届いたお茶を飲む。
「キュー♥」
「紅茶を飲んでる…可愛いです♥」
マリーベル嬢は動物園につれて来てもらって、初めて珍しく可愛い動物を間近で見た子供のようにキラキラした瞳でラテルを見ている。
「…あの精霊、かなりの力を感じたぞ。
あのクラスが複数体…もう戦闘力だけで言えばSランクだな」
ギルド長は呆れ顔から真面目な顔になりこちらを見る。
「いえ、別に冒険を手伝ってもらうために彼女達に身体を与えた訳じゃないので。
まぁ緊急時には手を借りる事もありますが、基本的にはボクの冒険者としての能力評価には加えて欲しくはないですね」
「…そうか。
だがお前に危険があればあの精霊達が動くのだろう?
…そういえば王都の事件の時は?」
「あぁ、あの時はまだ"精霊の身体を作る"なんて出来なかったので。
あの時彼女達がいれば…まぁ無傷だったんでしょうね」
実はキュベレーから王都での犬ジジイの話を聞いたらしく、精霊の一人は今この時もオレの護衛をしている。
頑な娘で、
「自由に好きな事をしていいんだよ?」
と言ってるんだけど一切聞かず常に側にいる。
キュベレーは、
「それがあの子の"好きな事"なので自由にさせてあげて下さい」
と言って放置だし…
「まぁリルトがどれだけヤバい力の持ち主だったとしても、オルガスティアはリルトに多大な恩義がある」
ダラッとソファーに背を預け、足を組み紅茶を飲みながらアレクトス伯が言う。
(…不妊治療の事、かな?)
「そしてこれからウチの領もさらに助けてもらう可能性があるんだ。
だから何か困った事があれば何時でも相談してくれていいんだぜ?」
「ありがとうございます」
「まぁ適当な俺に相談するよりマリウスにした方がいいと思うけどな? はっはっは」
「お父様!」
「お前…いつの間に宰相閣下に相談出来るような恩を売ったんだ?」
ギルド長がまた呆れ顔に戻ってしまった。
「なんてったって、飛空艇作ってもらうんだからな。
これで世界中にオルガスティアの名が轟くぜ!」
「はぁっ?!」
「えっ!?」
(あっ、サラッとバラした…まぁ時間の問題だし別にいいか)
「作ってって…あの"空船の守り人号"はお前が…?」
「ええ。ボクが錬金術で創り出したものです」
一瞬の静寂。
「で、ウチの国は一番乗りで作ってもらうんだ。
あぁ、ギルド長は分かってると思うが、マリーベル。
この事はまだ内密な段階だ。誰にも話すなよ?」
「わ、分かりましたっ」
「…飛空艇まで作れるのか…もう冒険者なんてする必要ないんじゃないのか?」
「まぁ収入、という面だけ見ればそうですね」
いずれ神になった時の為にも世界中を見ておきたい、っていうのもあるけど、ただ単にオレが異世界を見て回りたいのが殆どのウェイトを占めてるんだけどね。
「そうか…まぁ冒険者は自由な職業だ。やるのも辞めるのもお前の自由だからな」
「じゃあリルト、そろそろその"冒険者"ってヤツの話に移ろうか?」
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