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234話 ラスカリア 40
しおりを挟む「四天筆頭がデイメンティーナ様の専属?…メサリエル、天界では何が起きている?」
メサリエルがオレを見る。
「教えてあげれば?
あ、でもまだ邪神とか悪神の命令で動いてるヤツがいる可能性があるんだっけ?
…じゃあエレスマデュア、これはナイショの話って事にしてね?」
「かしこまりました。 ここでの話は全てわたくしの胸の内に秘めるとお約束いたします」
オレはメサリエルを見る。
「…始まりはこのリルト様が天界に…」
ーーーーーーーーーー
「…リルト様」
話を聞いたエレスマデュアのオレを見る目がさらに熱を帯びている。
オレはあくまでもアドバイスしただけなのに、メサリエルも、天界で出会った他の天使達も"天界を救った救世主"みたいに見てくるんだよなぁ…
(…まぁでも今回は都合がいいか?)
「エレスマデュア」
「はい、リルト様」
「ヒマなら、オレの元で仕事でもする?」
ビクンッとエレスマデュアが背筋を伸ばし、ツッと一筋の涙を流すと、地面に頭を擦りつけ平伏する。
「あ、ありがとうございます。
わたくしエレスマデュアは、これよりリルト様の手足となって身を粉にして働く所存でございます。
どうぞ、如何様にも御命令下さい」
「うん、よろしくね。
といっても普段はオレは今みたいに冒険者をしてて、手を借りる事はないからなぁ…」
オレは腕を組んで考える。
「では、普段は【使い魔】として使役して頂く、というのはどうでしょうか?」
と言うとエレスマデュアは闇の魔力で自身を覆い、小さくなって形を変えていき一匹の真っ黒い子猫に変わる。
「おお、可愛い!」
オレは子猫を抱き上げ撫でる。
白目部分は透き通るような水色、黒目は大きくつぶらな瞳で愛らしい。
背中を撫でると感触の違う箇所がありよく見るとそこには小さなコウモリの羽があった。
「…ウイングキャット、という魔物に擬態したようですね…」
何故かジト目でオレを見ているメサリエルが説明してくれた。
「鑑定」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ウイングキャット(幼体)】
レベル:30
種族:魔獣
スキル:飛翔・身体強化・闇魔法
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「鑑定も通るんだね」
オレは子猫を撫でながら言う。
「ニャ~ …は、はい、あの、これでどうでしようか?」
「うん、いいね。
これなら普段から連れて歩けるね」
「あ、ありがとうございます」
「でも…喋って平気?」
オレはメサリエルを見る。
「…ウイングキャットは成長すれば人を乗せて飛べる程の大きさとなるので、騎獣として使役されている事もあり知能は高いですが、人語を話せる程の水準では無いのでダメですね」
「では、わたくしからリルト様へ贈り物をさせて頂きます」
「え?」
エレスマデュアがそういうと、闇の魔力がオレに纏わりつき、一瞬頭の奥がチクッと痛む。
〘リルト様、聞こえますか?〙
「おっ? 頭の中でエレスマデュアの声が聞こえる」
「【念話】というスキルですね。
リルト様も試して下さい」
〘…エレスマデュア。 こんな感じかな?〙
〘はい、成功です。聞こえております〙
ステータスを確認すると確かに"念話"が追加されていた。
「ありがとうエレスマデュア」
オレは子猫を撫でる。
「い、いえ、わたくしはリルト様の下僕ですからお気になさらず」
「リルト様…使役するのはいいですが、その名前はよろしくないです」
何となく刺々しい雰囲気のメサリエルが言う。
「そうなの?」
「一部の悪魔崇拝者や、学者などは【魔界六公・エレスマデュア】という名前を知っていますから」
「そっか、…じゃあこの姿の時は"エレ"って事で」
「かしこまりました…ニャ~」
「…また安直な」
ーーーーーーーーーー
「はぁ~、エレちゃん可愛い過ぎる~」
「ナー…」
「ルーサ…元悪魔なのに気にならないの?」
「可愛いは正義よ」
メサリエルも去り、今は玉座の間でストレージに入り休憩している。
ルーサさんはエレを抱いてとろけそうな顔をしている。
やはりこちらの状況が見えていなかった皆には、悪魔はメサリエルが調伏し、オレの使い魔になったと説明した。
オレに跪いていたのも、天使の気配を感じ取っていたと説明すると皆納得していた。
「しかし…あの時の護衛騎士が天使様だったとは…
どうりで勝てる気がしない訳ですよ」
オセットさんがしみじみ言う。
「ははは、騒ぎになりますから、王様や宰相くらいには話してもいいですけど、ナイショですよ?」
「心得ております」
ヨハスさんが応える。
「さて。
何か余計な事も起きたけど、無事裏ルートを攻略したわけだし、ギルドへ報告に戻ろうか?」
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