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178話 ラスカリア 12

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…チュン、チ、チチチ、チュンチュン…

…スー、ピスー

 半分ほど開いた目にオレの腕でぐっすりと眠り小さく寝息をたてるラテルが映る。
 ラテルの上にはラテルのしっぽを掛け布団にして瑠璃が寝ている。

(…もう朝か、まだめちゃくちゃ眠いけど、…今日は二度寝は無理か…)


 寝起きのよく回らない頭で最近の事をつらつらと思い浮かべる。


 ダンジョン攻略は順調。
 今は17階、アンデッドとノーマルコボルドが両方出てくる厄介な階層。
 双方は争ってるので共闘はしないが、戦闘終了した途端もう片方が襲ってくるような連戦がちょくちょく発生していやらしい。

 レベルは28まで上がった。
 アンデッド戦が多いのでヒールがライトからミドルへクラスアップ、いくつかキュアも覚えた。
 前衛のポラリスが強すぎなのでやっぱりステータス値は魔法使い系の伸びだ、肉弾戦の訓練しなきゃだなぁ…


 ダンジョン攻略よりもそれ以外の時間の方が大変で、一時期行っていた"見習い"への依頼は時間が取れないので、お金と飴と干し肉を預けて冒険者ギルドに丸投げした。
 見習いちゃん達には出会うとオレが直接やれと文句言われるけど…


 拠点づくりは現在母屋おもやの建築中。
 高い鉄柵で囲い木をいくつか植えたので、堂々と魔道具を組み込んでいる。
 まぁ忍び込んで盗んだところで起動させるスイッチ部分が付いて無いので何も出来ない。


 後の食事と睡眠以外の時間は魔道具作りに全て持っていかれてる。
 アリルメリカのお姫様が来ちゃったせいで、元々やろうとしていた事に合わせて、後々やろうと計画していた事まで前倒しで同時進行する事になっちゃった事が原因だ。
 元々やろうとしていた方はファル爺にも助言を貰ってやっと昨日遅く完成した、ギリギリだったなぁ…

 もう片方は内容が内容なのでファル爺にもまだ見せられない。
 完成は…もうちょいかかりそうだなぁ。

「ラテル、瑠璃、そろそろ起きようか?」

「キューン…」
「ピー…」



ーーーーーーーーーー

「リルトくんおはよう!」
「おはようございます」

「おはよー、リーチェさんとルーサさんずいぶん早いね、今日はどうしたの?」

「今日は気分転換でダンジョン行こうと思って!
 …あの、良かったら一緒に」

 二人は連日連夜、王と通信で話し合っているらしく、寝不足の疲れた顔で現れる事もよくある。


「あぁ、ごめんね、今日はボク用事があってダンジョン行かないんだ」

「そ、そんな…」
 リーチェさんはガックリしていて、ルーサさんはそれを呆れ顔で見ている。

(リーチェさんには何か一目惚れされちゃったっぽいんだよなぁ…)

 まぁ直接アプローチがある訳じゃないから何ともだけど、中央大陸屈指の大国のお姫様だもんなぁ。
 厄介な匂いがプンプンする…


 オレ達のテーブルには全員集合している。

「リルトおはよう、とうとう今日か」
 ファル爺は楽しげだ。

「結局滑り込みだったね」

「お前が変に細かいところに拘るせいだろうが」



「リルト様、少し顔色が優れませんよ? 遅くまで作業してらしたのでしょう」
 大司教は心配そうに覗き込む。

「まぁ間に合ったから、今日からはちゃんと寝ますよ」



「リルトおはよう」

「おはよう、ポラリスは今日どうするの?」

「決めてない、たまには街をブラブラしようかな」

 ポラリスはだんだんアクティブになってる。
 オレのせいで強制的に一目に晒されてるうちに慣れてきたっていうのが大きいのかな?



「リルトくんおはよう!いよいよ今日ね!」

「おはようレシアナさん、今日はよろしくね」

「任せて!しっかり援護するわよ!」
 レシアナさんは朝から鼻息が荒い。


 席に着き朝食を始める。

「さて、どうなるかな?」




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