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116話 新たな道標 7
しおりを挟む「うん、いいよ、パーティー組もう」
正直に言えば、そう告げたオレの中に打算が無かった訳じゃない。
ポラリスはダークエルフ、オレの秘密をしゃべって回るような知り合いもほとんどいないだろうし、自分で言っていたようにパーティーを組んで冒険する事を望んでいても、受け入れてくれる者は希だ。
そんな受け入れてくれたオレの秘密をしゃべって嫌われるような事はしないだろう。
後は何だろう…境遇に負けずに飄々としているポラリスの心の強さに、つい協力したくなったのかな?
自分でもよく分からないけど、表情にあまり出ていないなりにキラキラとした瞳をしているポラリスを見ると、これで良かった気がする。
「じゃあとりあえず、これからよろしくポラリス」
オレはポラリスに手を差し出す。
ポラリスは一瞬呆けていたがすぐに気づきオレの手を取る。
「よろしくリルト」
突然の展開に呆気にとられたセリアナさんとレシアナさんの顔は二人揃って口が開いていて面白かった。
ーーーーーーーーーー
パーティーを組む事にはなったが、まだオレは療養中の身の上でもう2~3日はここにいる事にしている。
だからとりあえずはポラリスに訪ねて来てもらって、これからどんな風に行動するかの方針等を話し合う事にした。
3人が帰り部屋にオレとラテルだけになると、瑠璃がフワフワと飛び現れた。
(最初はイラっとしたけど、よく考えたらラテルだって言う事聞かない事もあるし、…使役した経緯がアレだから無意識に敵視してたかもな)
オレは大小のお皿にオレンジジュースを出し、サイドテーブルに置く。
「キューン♪」
「ピッ?」
ラテルは嬉しそうで、瑠璃は首を傾げている。
ジュースを飲む2匹をよそにオレはステータスを確認する。
レベルは20、ゴブリンアサシンに泣かされた後にちょこちょこ依頼は受けていたから少しだけは上がっているな。
ただ"位相転移"からの魔法一発、とかで倒してばっかりだったからたぶん魔法関連以外の能力値はあまり伸びてないだろうな。
ふと見覚えの無いスキルに気がつく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【死線の空隙】
(【D・S】職業スキル)
アクティブスキル
身体が生命の危機を感じる事で無意識化で発動する。
発動中は思考速度、魔法構築・発動速度に大幅な加速が加えられる。
発動時間:スキルレベル×5sec
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
("あの時"のヤツだ、これをあのタイミングで偶然習得したから犬ジジイの攻撃がスローに見えたのか)
いや、偶然あのタイミングだったんじゃなく、"生命の危機"を感じたからこそあそこで習得出来たのか…
スキルレベルは2になっている、途中さらに周囲が遅く感じたけど、あの瞬間に上がったのか?
…このスキルのレベル上げがどれくらい大変か分からないけど、レベルが上がればかなりのぶっ壊れスキルだ、オレの防御魔法の錬度が高くなれば鉄壁だろう、…あの時の二の舞はごめんだし、ちょっと防御については気合いを入れて練習しよう。
考え込んでいる間に、ふと気がつくと瑠璃がオレの髪を梳かしていた。
「その小さいブラシ、何処で売ってるの?」
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