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98話 出会いの旅路 22

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 魔道具店のカウンター前、ファル爺の出してくれた椅子にラテルと座り、3人で紅茶を楽しんでいる。
 多少の罪悪感を感じながらも生い立ちを話し、現在護衛依頼で王都を訪れている事を話した。


「なるほどのう。
 しかし、始めたばかりの錬金術で作った装飾品が献上品になるとは、リルトは空間魔法だけでなく錬金術にも才能があるという事だな」

「"発想の勝利"ってだけなんじゃないかな?
 こんなのなんだけど…」

 と、ストレージからアクセサリーを取り出す。
 途中宿に泊まった時など、護衛の合間に少し作り貯めていたものだ。

 エルフだしファル爺が喜ぶかと思い、色の濃さや明るさの違う緑の宝石を使って"世界樹"を表現したモチーフの入ったペンダントを出してみた。


 ファル爺はカウンターの裏から手袋を取り出し、そっとペンダントを持つと、世界樹のモチーフをジッと見つめる。


「…なるほど、献上品にもなるわけじゃ。
 こんなものそこらの錬金術師がいくら修行しようと、作れるはずが無いからのう」

「え?」

「…気づいていなかったのか、危ういのう。
 リルトや、ここで錬金術をしてみなさい、"錬金盤"を出さずにな」

「え? 錬金盤が無きゃ出来ないでしょ?」

「いやリルト、出来るはずじゃ。
 "創造錬金術師"であるお前なら」

「…"そうぞう"? イメージって事?」

「いや、無から有を産み出す、"天地創造"のそうぞうじゃ」


「創造錬金術師…」

 鳥肌が立った。
(あった、そういえばあったよ。"キャラクリ"のスキル一覧表に。
 ぼぼ何でも作れるぶっ壊れチートだ)


「…【ステータス】」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【職業】
・【D・S】
 身体強化
 空間察知
 空間蹴り
・【創造錬金術師】
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「は?」

(なんだ?いつの間に変わった? それに"錬金術師"で覚えていたスキルはどこにいった?)


「…混乱しとるようじゃな。
 わしが昔出会った"勇者"であり"創造錬金術師"のユウタは、何も手に持っていない状態から空中でインゴットを混ぜ合わせて剣を作っておったぞ」

「何も持たず空中で…」

(どういう原理なんだ?錬金盤は?素材は?)

 オレはまずストレージの素材数を確認してから簡単な腕輪を目の前の空中にイメージする。

 注視していた何も無い空中に、うっすらと光の帯が集まり絡まりあって腕輪の形になると、一瞬強く光り、プラチナにトパーズで出来たライン状の模様の入った腕輪が完成し、オレの手のひらに落ちてくる。

「おお、見事だな」


 オレは腕輪を見ながら、
「いや、あちこち作りが荒いよ、これならいつもの作り方の方がいいね」

「何やら"作る工程のイメージ"が重要だ、とか言っておったな」

「なるほどね、これは練習が必要だなぁ」

「あとは何を言っておったか…なにせかなり古い記憶だからのう」

 ファル爺は片手で頭を抱え空を仰ぎ目を閉じる。

「ああ、そういえばユウタの作るゴーレムは他とは一線を画す出来でな、微精霊を使った"えーあい"と言う部品が入っていると言っておったか」



「AI?」

 さすがは勇者、好き放題やってるな…




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