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91話 出会いの旅路 17

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 悠然と立つヒョウ型の精霊獣「パルディオ」からラテルがヒョイっと飛び降り、オレの膝の上によじよじと登って来る。

「キュキュン、キュキャキューンキュ!」
 何かを一生懸命説明しているようだが、当然オレにはよく分からないが、たぶんパルディオと一緒に来た事について説明してるんだろう。



 セリアナさんはすでにユグラさんの口から手を離していた。

「突然口塞いでごめんなさいね。
 この状況で人になだれ込まれるとちょっと困るから」

「大丈夫ですけどビックリしました~。
 おっきな精霊獣さんですねぇ」



 パルディオを見ると、一見悠然と立っているが、よくよく見ると挙動がおかしい。
 ソファーに座るオレ達を見ているが、セリアナさんの方は向かず目線だけでチラチラと見ているようだ。


「パルディオ…あなたどうして突然来たの?」
「グルゥ…」

 セリアナさんが話しかけるがパルディオは目線を合わさず、何となくバツが悪そうな感じに一声鳴く。


 と、突然ラテルがオレの膝から降り、パルディオと向かい合う。

「キュンキュキュ、キュキャ!キュン」
「グルルゥ、グルゥ…」

 …何だかラテルがパルディオを説得しているような感じで、パルディオはぼそぼそと鳴き返している。


 と、パルディオがゆっくりと歩き出しセリアナさんの横へいくと、セリアナさんの脇腹と腕の間に顔を埋め小さく鳴く。

「グルゥ…」
「パルディオ…」

 セリアナさんはゆっくりとパルディオの背中を優しく撫でる。

「そうよね、最近忙しくてあまり呼べてないし、寂しかったわよね、ごめんなさい」


 ラテルもオレの膝の上に戻って来て、胸に顔を埋めて抱きついている。

「普段はどこで呼び出してるんですか?」

「パルディオと夫があんまり仲良くなくて、家では呼んだ事無いの。
 通勤途中にある公園の林で人気ひとけがなければ…って感じかしらね」
 
「なるほど…
 ん?家で呼んだ事無いんですか?」

「ええ、だから実はガルフもパルディオの事は知らないのよ」

「えー! 息子さんに教えてないんですか?」

「小さい頃は怖がるだろうと思って呼ばなかったし、"見習い"になってからは、私について回る事も無くなったし、機会が無かったのよ」

(…ガルフの言ってた"ヒョウの精霊獣を連れた強い冒険者"って…)



ーーーーーーーーーー

 なんだか脱線したがラテルの魔力情報をオレのカードに登録し、無事使役登録も終わった。
 セリアナさんは、これからは家でもパルディオを呼ぶ事にするらしい。

(夫〈 使役獣になってしまったのか…会ったことは無いが不憫ふびんだな…)


 セリアナさんは他にもオレに用事があったらしいが、今日は依頼が終わって王都に着いたばかりだし使役登録も長引いてしまったので、2~3日後にまた訪ねるという事になった。




 セリアナさんとユグラさんはそのまま何か打ち合わせをするらしく、宿への地図をもらってオレだけで1階へ戻った。
 

…ガシッ


 受付カウンター前を歩いていると、突然後ろからかなりの力で肩を掴まれる。


「よう、お前がガルフの後輩ってヤツだろ?
 ちょっと顔貸せよ」



 振り向いたそこには、老年に差し掛かっていそうだが2mはありそうな巨漢でガタイのいい、黒髪の犬獣人の男がいた。





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